なぜ今、自家消費の太陽光なのか? vol.2
2. 企業が環境経営に力を入れている
●環境に関する様々なキーワード
自家消費を調べてこのブログに辿り着くくらいだから、もはや耳にタコができるくらい聞いているかもしれない「RE100」「SDGs」「ESG経営」。
・RE100
使用する電力の100%を再生可能エネルギーにより発電された電力にする事に取り組んでいる企業が加盟している国際的な企業連合。
RE100のHP:http://there100.org/
・SDGs
2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」にて記載された2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。17のゴール・169のターゲットから構成され、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っている。 SDGsは発展途上国のみならず、先進国自身が取り組むユニバーサル(普遍的)なものであり、日本としても積極的に取り組んでいる。
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/sdgs/about/index.html
・ESG経営
ESGとは企業が長期的な成長を遂げるために、3つの要素「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(企業統治)」を重視する考え方。
とまあ固い言葉を並べたが、要するに環境に配慮しましょうっていう流れが日本企業にきている。
●RE100と加盟企業、その取り組み
RE100はもともとイギリスを拠点に活動する国際環境NGO「クライメイト・グループ(TCG)」が2014年に創立した。
・グローバル企業
アップル、イケア、マイクロソフト、Facebook、Google、Adobe、BMW、CHANELなど
・日本企業
イオン、丸井、ソニー、パナソニック、楽天、リコー、アスクルなど
大手企業から「自社で使用する電気をすべて再エネに」と掲げ、様々な取り組みを行っている。
イオンは、2050年までに店舗でのCO2排出量を0にすべく「太陽光発電設備の導入」「再生可能エネルギーの自社調達」「再エネ供給契約」などを掲げ取り組んでいる。
丸井は、みんな電力の「RE100プラン」という、再エネ由来の電力を使用するトライアルに参加し、2030年までに事業で消費する電力を100%再エネに切り替える。
ソニーは、海外の事業所ではすでに再エネ導入が進み、タイや日本での製作所にも太陽光発電設備を導入し自家消費を行うに加え、自己託送サービスにより事業所間での電力融通を行い需給管理を試みる考えだ。
こういった取り組みはどんどん進んでいるが、これは大手上場企業に限ったことではない。
●中小企業にも環境経営の影響が?
環境配慮、いわゆるCSRアピールは上図のようなメリットが得られる。
① 企業が環境に対する目標設定を行い投資家・一般消費者に対して告知
② 実行
③ 実際の効果情報を開示し、外部機関も利用しながら評価を受ける
①~③により
・顧客ロイヤルティの醸成ができ、ロイヤル顧客を育成し実際の購買行動に良い影響が得られる
・ESG投資家などから投資を受けられる
・銀行からの融資が可能になる
などのメリットが享受できる。
というより、大手企業にとってはもはや「使命」なのだ。
では中小企業など、その大手企業から仕事をもらっている企業はどうか?
もちろん、同様に環境配慮しなければならない。大手企業は取引会社にも同様に環境配慮を呼び掛けている。
例を挙げると、アップルは部品会社などパートナー企業にも環境配慮を呼びかけている。推奨される行為のチェックリストまで提供しているそうだ。その企業が望めば環境対策の相談に乗ったり、環境対策の支援もしているという。「100%再生エネルギーでの製造」への呼びかけには、16カ国にある日本企業3社を含む44社のパートナーが賛同した。
こういった取り組みの背景には「あなたたちも私たちと関わるなら環境配慮しなさい、さもないと」という含みがあるようにも思える。
中小企業の環境配慮に対する意識向上の施策
とはいえ私が中小企業に訪問する中で、環境に対する意識が強い中小企業は多くない。
それよりも企業存続のための行動が必要だ、売上向上だ、経費削減だ、など目の前の経営に力を入れてしまう。
もちろん、最優先でやるべきことであることは間違いないのだが、上記の通り環境対策は中長期的な成長を考えるととても大事なことである。
そのため、中小企業の環境対策に対する施策が公民ともに行われている。
・環境省のエコリース促進事業
家庭、業務、運輸部門を中心とした地球温暖化対策を目的として、一定の基準を満たす、再生可能エネルギー設備や産業用機械、業務用設備等の幅広い分野の低炭素機器をリースで導入した際に、リース料総額の1~5%を補助する補助金制度が利用可能。
なお、東北三県(岩手県、宮城県、福島県)における補助率は10%。
2020年度は115のリース会社が採択されている。
https://www.eco-lease.or.jp/
・東京都の地産地消型再生可能エネルギー導入拡大事業
都内に自家消費型再生可能エネルギー発電等設備及び再生可能エネルギー熱利用設備を設置する民間事業者に導入費用の一部を補助。
中小企業は最大2/3の補助、それ以外は最大1/2の補助。
これは2020年度も実施されるといわれている。
https://www.tokyo-co2down.jp/company/subsidy/chisan-chisho/index.html
こうした施策を利用することで、大手企業だけでなく中小企業への再エネ導入・環境配慮への意識向上を目指しており、ここからも自家消費が注目されている理由が伺える。