
誤認逮捕4(取調べ、勾留請求)
翌朝、担当刑事が来て勾留の手続きが行われた
地裁に赴き勾留請求、警察は48時間しか勾留権限はない
「人ひとり法的に拘束するのは大変なんや」と刑事
警察は逮捕後48時間の勾留権限を超えたら釈放するか
法的に身柄は警察から検察に移行しなければならない
とはいえ、これまでと変わらず身柄は署の留置場に預けられたまま
厳密には検察預かりなのだろう

本来なら身柄は拘置所に移行するのだろうが
ひと通り、警察の調べを終えたら
書類上は検察へ送られる
以降の取り調べは地検で行われる。
送検ってやつか、
これが拘束を伴わない場合は書類送検になるのか
以降は預けられた留置場で過ごすこととなる
便宜上、警察の調べを終えても
そのまま検事調べが始まる

毎日、7時起床、洗面時間
その後に朝食のパンと紙パックのジュースが配られ
10時から順番に先述した運動時間
以降は取り調べのための待機
それぞれ担当刑事が各々容疑者を連れ出しにくる
当然、ほとんどの者はすでに検察送りとなった身であり、
実際には裁判待ち
日がな一日、檻の中で過ごす
持ち込めるのは書物、筆記用具、多少の衣類、といった程度
相手がいるものは手紙を書いたり、
あるいは本を読んだり
よくそれだけ寝られるな、というほど寝ている者もいる
拘置所に比べ自由度は高い
私の場合、読書したり、
日替わりの担当看守たちと雑談したり
ラジオも聴ける選局権はないが・・・
春夏は高校野球、
日曜日は競馬中継や大相撲といった内容だ
ジャパンカップの日、担当看守と競馬の予想を競い
1、2、3位を3人で的中させ、
本当に誰か買わなかったの?と
盛り上がったものだ。
冬季は週に一回の入浴、夏季は二回
朝から順に浴室へ連れて行かれ入浴する
当時の風呂場は鉄格子から外の空を眺められた
さながら露天風呂だ
翌日、「レネさん現場検証らしい」と
担当ではない刑事が3名来ていて車に乗せられる
平成4年当時
刑事たちはシートベルトしないで発進
事件現場に向かう
現場のスーパーの開店前
当時の事を詳細に聴かれ現場の確認
1時間ほどで終了
難解な事件でもない、ただの暴力事件だ
さっさと終わらせたいに違いない
午前中に終え、署に戻る
再び、留置場での生活
かくして時々、刑事が引っ張り出しに来てくれる
「レネさん、調べ来たわ」と看守
そのまま取調室へ
待っていた担当刑事がコーヒーを注文してくれる
「どうや、調子は?」という具合から
雑談が始まり、時々、面白い情報も聞かせてくれる
ある日、取調室に移動する途中に
すれ違った女性職員が美人だったので
「今の人、綺麗でしたねぇ」というと

「言うとこか?あとで笑
こんど会ったら電話番号聴くか?」と
「なんでやのん、僕みたいな罪人、
誰が相手にしてくれんねん笑」
と関西ならではの掛け合いするほど
和んだ空気を作ってくれた。
1時間ほど喋って
「また、来るわな」と刑事が所轄へ戻る
はじめは担当刑事を前に、色々と身の上のこと聞かれる
調書(正式に何というのか知らないが)には
生い立ちからこれまでのこと
事件移管すること、さまざまなことを書き込む
友人の名前を聞かれた時は躊躇したが、
「んなもん、わざわざ本人まで確認に行かへんよ
そんな時間ないし、とりあえずお前さんの人となりを
書かにゃならんのや」

それから事件の経緯やら、色々書き込み
「そろそろ昼飯食べよか」と
規定の弁当が配られる
昔の刑事ドラマみたいに
「腹減っただろ?大人しく吐けばカツ丼食わせてやるぞ」
みたいな展開ではない。
刑事はその間、一人にしてくれて
ゆっくり食べ終え15〜20分で戻ってきた
「食後のコーヒー飲むか?」とコーヒーを片手に
そして取り調べというより雑談の続き
それほど重大意見でもないし、形だけの調べ
大した事件ではないから、取り調べも少なく
事実関係を記載するだけ
……検察調べ、裁判へ