Cinzanoドライベルモット
普段は陽が傾いてから店を開けるカルロが、気まぐれに太陽がまだ高い位置にある時間から扉を開けていると、たいていキヨトがロードバイクに乗ったまま店内に入ってくる。
夜明け前から市場で働いた彼はカウンターに片手をもたせ掛け、サドルに跨ったままCinzanoを注文する。
その日は既に、後ろのスタンドテーブルでシェパードを連れた男が2杯目の黒ビールを飲み干すところだった。
男はグラスとコインをカウンターに置き、扉の方へ歩きながら ”チャオ” と片手を上げるとキヨトも目で応える。
カルロ