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日本じゃないところで生活していれば、それが贅沢な話なんだと理解してはいる。してはいるのだけども…。

数年前。母の日のこと。

楽天で注文していた品物は、母のもとには届かなかった。

実家に電話して届いていないことを確認してから発送元のショップに直接電話をしてみた。

電話に出たのはとても丁寧な人で、こちらの名前を告げるとすぐに反応してくれた。彼女が言うには「送り先の住所に番地がなく、それをうかがうメールを送っていた」らしい。

通常みるメインのフォルダに届いていたら当然発見しているのだが、どうやらプロモーションのフォルダの方に振り分けられていたようで、そこまでは俺もチェックをしてはいなかった。

明日以降の発送になるということで電話を切ったのだが、もやもやが残る。

番地を書かなかった俺が一番悪い。それはそうだ。
ただ、実家は田舎で「矢野」なんて家は近所にも町内にも他に一軒もないんだから、番地なんてなくても品物は届く。現にこれまで母に送った荷物はそれで届いていたのだ。

とはいえ、発送元はそんなことは知るはずもなく、確実にするために「番地」を尋ねてくれたのだ。まあ当然のことだ。マニュアルにもそうしろとあるのだろう。

しかし、だ。メールを送ったのに返信が来ない。ただ「母の日」という限定的な日限があるのだ。とすれば、日本人ならここはもう一つ動いてくれてもいいんじゃないだろうか。

注文者は発送先の電話番号の提供を強制?されている。発送元の店は送り先の電話番号を持っているのだ。

注文にも時間的に余裕があった。
母の日のギフトというのは注文時にアンケートに答えたから店側はちゃんと知っているはずだ。
返信メールが来ないまま発送日ギリギリになった時点で、電話の一本を入れてくれても罰は当たるまい。

などと、日本のサービスに甘える側としては思ってしまう。

番地を書かなかった俺が世界で一番悪い。
そうではあるのだが、「何のための電話番号だよ!」とどうしても思ってしまうところが、世界で一番悪い男の悪いところなんだろう。

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