キャンドルフェスティバル in キャンベラ
オーストラリアの首都キャンベラ。
日本の奈良市と姉妹都市関係にある。
古都奈良は計画都市であり、キャンベラは現代の計画都市であるからだそうだ。
毎年10月にキャンベラ奈良平和公園(←こういう名前なのだ)にてキャンドル・フェスティバルが開催される。奈良市から高校生が修学旅行に来て、合唱を披露したりする。
2008年から計10回呼んでいただき、大書パフォーマンスをさせていただいている(残念ながら今年は開催が見送られた)。
2008年当時はまだ9月に行われていた。
9月のキャンベラはまだ冬の名残があってとても寒かった。ただのだだっ広いだけの公園で、屋根のある処がなく、霧雨がずっと振っていたときなんかは気温が低いうえに雨に濡れて、だけど避難するところもなくて、とにかく寒くて寒くて大変だった。終わるまで帰れないし。
それもあってイベントが10月に変更になり、少しはましになった。相変わらず屋根はないけども。
毎年イベントは大盛況。
大体キャンベラなんて普段からやることがなく、ひとつ大きなイベントがあれば住民皆総出で来るのだ。
だから会場は、人、人、人、人だらけ。
どんどん人間が湧いてくる。
ものすごい数の人類で公園が溢れかえる。
露店の数も2008年当時よりもぐっと増えた。
なかでもシドニーの誇るフジベーカリーは長蛇の列。
他に焼きそばや、焼き鳥など、日本の祭を思わせる店が並ぶ。
さて、野外で書くのは気持ちがいい。
どれだけ墨を飛び散らかしても問題ないところがいい。
見に来てくださってる皆さんには一応事前にアナウンスがしてあるので、墨まみれになりたい人はかぶりつきで見ている(そんな奴はいない)。
大使ご夫妻も見に来てくださる。
話はさせていただくが握手はできない。ほとんどの場合俺の手が墨だらけなのだ。美術をやっていれば手がインクまみれなのも気にはならないだろうけど、そうでない人はやっぱし嫌だと思う。嫌だと思うだろう気持ちは理解できる。大使のお召し物が汚れてもまずいし。
写真の作品は2m x 8mだが、これだけ書くのは大変だ。
体力がいる。それをキープするために、ボディコンバットに書の稽古以上に心血注ぐ(←なぜ?)。歳をとると全で動くのは大変なのだ。「世界が平和で皆様が幸福でありますように」
とにかく日本の誇る言霊パワーをつかって、
どうにかして皆が安心して生活していける状態をキープしたい。
紙がデカければデカいほど威力も増すのか、増さないのか…。
持っているバケツは大使館からお借りしたものだけど、
「書道用」と書かれているところがいかにもちゃんとしている。雑巾を絞るバケツの方がきれいだから、一緒にしたくなかったに違いない。
最初はJapan Foundation(国際交流基金)から連絡があった。
日本大使館からの依頼なんだけどって言われたときは驚いた。
シドニーキャンベラ間の送迎とホテルも準備されていた。海外生活をしていて祖国の機関から仕事の依頼がくるというのは、やってきたことが公的に認められたようでやっぱり嬉しかった。何の伝手もコネもなく一人で活動を始めて地道にやってきたのだ。
2003年にはスペシャルスキルのカテゴリーでアーティストとしてオーストラリアの永住権が下りていて、このときはオーストラリアの国がお墨付きをくれた。胸を張ってアーティストと言っていいと認めて貰った。
2010年には作品が外務本省の審査を通って日本国の国有財産として大使館収蔵となり、日本の国からも作品が公式に認められた。
2ヶ国がオッケーをくれたのだから、名刺にも堂々とアーティストの肩書を付けている。