単なるオシャレで終わらない、エコとしての古着とは?
オシャレが環境に与える影響
ファッション業界は2番目に地球を汚染している産業だと言われています。たとえば、農薬や染料の化学物質が川や海に流れて起こる水質汚染、配送の際に出た排気ガスによる大気汚染、大量生産による在庫処分……。ほかにもさまざまな問題を引き起こしているのが現状です。要するに、新しい服をつくるたびに環境へ負荷をかけているのです。
特に、アパレルの大量廃棄問題は深刻化しています。ファストファッションの流行により、トレンドを押さえた服が低価格で大量に生産・販売されています。それにともない、トレンドが変われば古いものを捨て、新しいものを購入する消費スタイルが当たり前になってきました。
(VOGUE 「気づいてる?ファストファッションの裏にある真実。」より)
このような問題の解決を目指しながら、オシャレを実現する方法はあるのでしょうか。ファッションを楽しみつつ地球を守る手段として、古着が注目されています。
アメリカの古着ユーザーの意識
古着を身にまとって気候変動反対を訴える若者たち
アメリカでは、古着を着ることがエコだと考える若者が多くいるようです。2019年9月20日に各地でおこなわれた気候変動ストライキでは、全身古着を着て参加する若者の姿が多く見られました。
(WIRED 「気候変動ストライキで語られた、若者たちが「地球」のために古着を選ぶ19の理由」より)
エコを意識した古着屋
アメリカの古着チェーン店「Buffalo Exchange」は、環境に配慮していることをコンセプトに運営しています。店内には環境への配慮を呼びかける装飾品が飾ってあり、お客さんに古着を着る意味を考えてもらう機会を与えています。
(「REDUCE REUSE RECYCLE」と装飾されたBuffalo Exchangeの店内
引用: The State Press「The way you shop can affect your carbon footprint」)
また、買い物袋を提供する代わりに、5セント分の寄付カードを渡すという、環境や地域を守る慈善活動を行っています。服を売る際は、現金またはお店で古着を買う際に使えるストアクレジットで還元されます。そのため、服を買うためだけでなく、不要な服を売る目的でも利用しやすい古着屋です。
(執筆者撮影、買い物袋の代わりにもらった寄付カード(左)をボックス(右)に投入する)
古着屋だけでなく、リサイクルショップでも古着を購入
古着の購入先として、アメリカではスリフトストアが普及しています。スリフトストアとは、お客さんが寄付したものを格安で販売し、売り上げを慈善活動に使う非営利的なリサイクルショップです。2019年2月末、ニューヨークのファッションイベント「ReFashion Week NYC」がファッションショーをおこないました。ショーで使われたアイテムは、すべてスリフトストアに寄付されたものです。スタイリストらのコーディネートを通して、スリフトストアの有用性が伝えられています。
(IDEAS FOR GOOD「古着でランウェイ?!NYのファッションイベント「“Re”Fashion Week」が提案する、エコ×オシャレのはじめ方」より)
日本における古着の可能性
日本でも、インスタグラムで「#古着」の投稿が740万件を越えるほど人気を集めています(2020年3月時点)。これほど人気があるのですから、古着に「エコ」という付加価値を付けたオシャレの楽しみ方が浸透すれば、環境へ配慮する意識も高まっていくのではないでしょうか。気候変動が問題になっている今、一度購入した服を長く大切に着る消費行動が私たちに求められています。
執筆=滝 真由子
編集=中原 愛海