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アメリカの国際政治学のPhDに行く方法①:米国修士 or 直接博士?

さて、今回は『アメリカの国際政治PhDに行く方法』の第1回目として、A. 大学学部や修士課程でアメリカに来る道と、B. いきなりアメリカのPhDに申し込む道について説明します。どちらの道も長所と短所があるので、自分のバックグラウンドや目的に合った道を選びましょう。

A. 大学学部・修士課程でアメリカに来る道

アメリカのPhDプログラムに進学する前に、大学学部や修士課程でアメリカに来る道は非常に現実的な選択肢の一つ。私の周りでアメリカのPhDに進んだ人は、このAパターンが多数派かなと思います。

主なメリットは以下です。

  • アメリカの教育システムへの適応:学部でリベラルアーツのカリキュラムを経験したり、修士課程で国際関係論の基礎をしっかり固めることで、PhD進学に向けた土台を築くことができる。

  • 英語力・研究力の向上:英語力を向上させたり、研究能力を鍛えたりする機会が豊富にあるため、PhDプログラムの出願書類においてより説得力のある志望動機書(Statement of Purpose)を書くことができる。

  • 良い推薦状の獲得:研究分野に精通した指導教授の推薦状を得ることで、出願時に大きなアドバンテージを得られる可能性が高い。
    ⇒ しかし、良い推薦状を獲得できないこともある。推薦状を書く教授はこの学生は自分の教えた学生のうち上位何%かというのを答える必要があり、1%、5%、10%と答えさせる。ここで最低でも上位5%と言ってもらえないと厳しい。
    ⇒ 大学院に入ったものの、推薦状を断られて必要な3通を確保できない場合もある。特に全員がPhDを目指すような修士課程に行ってしまうと推薦状を確保できないことがある。

私は戦略コンサルで5年働いて、1500万円ぐらい貯金を作ってからアメリカに来ました。一旦自分の研究したい内容と合致する企業に就職して、お金をためて修士に来るというのも一つの手です。
しかし以下のようなデメリットもある。

  • 高価な学費:例えば私が通ったジョージタウン大学の修士課程の学費は、年間約50,000ドルで生活費で別途30,000ドルは必要。合計で年間80,000ドル。修士プログラムはだいたい2年なので、修士課程に160,000ドル(約2,500万円)必要という計算になる。
    ⇒ 日本の奨学金制度を利用して、学費をカバーすることは可能
    ⇒ 私費留学生は大学から奨学金もらうことができる。私はジョージタウン大学から7割の奨学金オファー、タフツ大フレッチャーから6割の奨学金オファーがあった。これを利用すれば学費を抑えることができる
    ⇒ 留学制度が充実している企業や官僚の留学制度を使う(しかしだいたいプログラム終了後、3~5年程度働くことが求められるので、そのあとそのままPhDに進学する道は塞がれる)

B. いきなりアメリカのPhDに申し込む道

日本の学部・大学院からストレートでアメリカのPhDに申し込む道ももちろんあります。特に、政治学のメソドロジーが強い(らしく)、日本の教授に有力な推薦状を書いてもらい、進学する道です。ただ自分はこの道ではないため、よくわからないので適宜修正するかもしれません。

主なメリットは以下です。

  • 省エネ:アメリカでの修士課程を経ないことで、大幅な金銭的な節約になる。また、おそらくこの道を通る人は、出願数がAの道より少ないはず。というのも、日本の先生とのコネクションを利用して、応募するため、ある程度数が絞られてくる。そしてたぶん受かりやすい。あとはその研究室で海外進学した人も多いからノウハウが溜まっていて、一人で準備するより楽。

  • 日本のコミュニティとつながりがある:日本の学会にも属しているので、就職で日本に帰りやすそう。

デメリットは以下です。

  • メソドロジー:あくまで私の周りベースですが、この道は政治学・メソドロジーをやりたい人にとっては一番いい道だと思うが、いわゆる国際関係論や地域研究で、国際的に名前が通る日本の先生は極めて少ない。

  • アメリカ生活辛そう:この道の人は、いつも日本に帰りたそう。笑 やはり修士を経てそれでもアメリカでPhDを目指そうと思った人と、いきなりPhDで来た人ではアメリカへの馴染み方に違いがある。

総括すると、メソドロジー研究、統計とかやりたい人は、日本の大学・大学院を出て、教授に推薦状を書いてもらってアメリカのPhDを目指すのがよさそう◎
国際関係論や地域研究に興味がある人は、奨学金制度を利用するとか、一度民間就職してアメリカの修士を経て、PhDを受けるのがいいんじゃないでしょうか。

次回は、このどちらかの道を通って、PhDに応募する段階になったときに、何をすればいいのか書きます。

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