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2・23 天皇誕生日、女性・女系天皇、皇位継承、皇室典範などを考える

 天皇誕生日ということで、喫緊の課題である皇位継承問題について考えてみた。

 結論から言えば、「万世一系」の皇位継承は、男系男子誕生の機会を広く担保する側室制度というものなく、その維持は極めて困難、もしくは不可能であるという現実を直視して議論、決着をしなければならないと思う。

 天皇制そのものについては、メリット、デメリット双方を認め、天秤にかけた上、日本人はこの制度から卒業したほうが良いのではないか、とのいうのがわたしの意見だ。(↓下記記事、最終段落)

 しかし、存続が国民の総意であるとするならば、現状を踏まえた上で、皇位継承の在り方の現実的な落としどころを決着すべきだろう。


■歴代・女性天皇、8人も


 これまでの女性天皇は8人と、意外にも多いのですね。

1.推古天皇(すいこてんのう)(在位:593年 – 628年)
2.皇極・斉明天皇(こうぎょくさいめいてんのう)(在位:642年 – 645年、655年 – 661年)
3.持統天皇(じとうてんのう)(在位:686年 – 697年)
4.元明天皇(げんめいてんのう)(在位:707年 – 715年)
5.元正天皇(げんしょうてんのう)(在位:715年 – 724年)
6.孝謙・称徳天皇(こうけんしょうとくてんのう)(在位:749年 – 758年、764年 – 770年)
7.明正天皇(めいしょうてんのう)(在位:1629年 – 1643年)
8.後桜町天皇(ごさくらまちてんのう)(在位:1762年 – 1771年)

 いずれも、男子皇位継承者が幼かったり、政局の安定のための必要性のためだったりなど、中継ぎ、一時的即位であった。
 推古天皇は在位期間37年と長く、これは聖徳太子が摂政として活躍したことに関連し、上記例外と云える。

 これら歴代女性天皇は、お世継ぎはされず、「万世一系」が保たれてきた(
とされる)。

 ちなみに、推古天皇は7名の子をもうけているが、後を継いだのは前の前の天皇、敏達天皇の孫である舒明天皇。彼は男系の血統を持つ皇族であり、推古天皇の即位期間中に成長し、次の天皇として即位した(とされる)。

■皇室典範は時代に合っているのか

 
 旧皇室典範は、1889年(明治22)大日本帝国憲法と同時に制定され、、皇位継承は男系男子に限定される。
 第二次世界大戦後、1947年(昭和22)に改訂された現行の皇室典範では、「男系男子」規定は旧法から引き継がれ、皇族の範囲が明確化、皇族の婚姻や離脱、皇室会議などの規定が整備される。

 皇位継承者を男系男子に限るとの規定は、「万世一系」を保ち、「安定的な皇位継承のため」であるようであるが、それは側室制度という慣習を前提にしており、その制度が事実上消滅した現代における実行性はそもそも疑問視されていいのだろう。

 以下、今後の皇位継承のいくつかのパターンを。

 天皇陛下・皇后陛下の唯一のお子さま、敬宮愛子さまが女性天皇に即位するためには、皇室典範を改訂する必要があり、「万世一系」は保たれない。

 継続的な皇位継承のために、女系天皇(母親が皇族で父親が一般人の場合、その子供が即位することを意味)を認めるという意見も出てきているが、この場合も皇室典範の改定が必要、「万世一系」は保たれない。

 女性皇族が結婚後も皇籍に留まる「女性宮家」創設案が話題だが、こちらは公務軽減に資するが、皇位継承者を増やすという関連においては、女系継承となるから「万世一系」は保たれない。

 もしくは、今上天皇に側室を認めて、男児の出産を期待するか。
 だれが側室になるの?とても国民の理解、支持が得られるとは思えない。

第一章 皇位継承
第一条 皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。

皇室典範

■側室制度なしの「万世一系」?

  
 近代化に伴い、家族制度が変化、一夫一婦制となり、これまで慣習的に行われてきた側室制度は消滅する。
 
同制度は、「人倫にもとる」として昭和天皇が強く否定されたとも云われる。

 皇嗣である秋篠宮文仁親王(悠仁さまの父)が皇位継承順位第1位であり、秋篠宮文仁親王が天皇に即位した後、悠仁さまが次の皇位継承者として即位することが現在の皇室典範に沿った継承のあり方にはなる。

 しかし、側室制度が時代にそぐわないものになってしまった現在において、お世継ぎの不確定さは今後も深刻に継続する。

 「万世一系」の継続は、著しく困難であり、皇位継承者に多大なプレッシャーを与えるものとなる。

 有名なところでは、明治天皇の側室は公式5名、非公式7名おり、皇后との間に子ができず、5男10女の子を側室の間でもうける。しかし、5男のうち4男は夭折、残った1男が大正天皇となる。
 側室制度をもってしても、男系男児の維持は容易ではない。

■国民の女性天皇容認、9割超え

 
 
2024年4月に行われた共同通信の調査では、約90%の国民が女性天皇を支持。女系天皇についても84%が支持している。
 さて、これを阻むものは、非現実的かつ不合理な「伝統文化」に固執するものでなくて、何なのだろう。

 現在、旧宮家(戦後に皇籍を離脱した皇族の家系)の男系男子を皇族として養子縁組することで皇位継承者の数を増やし、継承の安定性を確保するという案も出ているが、呼び戻される旧宮家もたまったものではない。具体的候補者は誰なのだ。そこまでして血統維持が必要か。
 愛子天皇容認9割の日本人が、男系男子に強い拘りをもっているとは思えない、と考えるのは私だけか。

  女性天皇容認9割の国民の意思は、ポピュリズムとして無視されるのか。

 2024年10月、女性への差別撤廃を目指す国連の委員会に、日本の皇位継承を男系男子に限ると定める皇室典範は女性差別に当たるとして改正するよう勧告される始末。
 「男系男子」は、日本独自の伝統文化か、国際基準に則さない時代遅れか—。

■精神論でなく、現実的議論を

  
 第1代・神武天皇から、第126代・今上天皇まで約2700年もの間貫かれた「万世一系」(実際は第26代継体天皇より前の皇位継承実態や実在は不明なとも)。うん、確かに、今後も厳かに守っていきたいような気もする。

 しかし、それが時代にそぐわないもになってしまった以上、「守るべき」との精神論では現状突破は不可能だ。

 側室制度の復活は、女性天皇容認以上の国民からの支持を得られるのか。

 それを実行したところで、その天皇および皇位継承者は、現代社会における「象徴」(憲法1条)としての国民の支持を得られるのか。

 ジェンダー平等が進められ、LGBTQ理解促進法も成立した現在、時代の変化とともに、しなやかな変化を認めることもわが国の誇るべき「伝統文化」ではなかろうか。

 そんなこんな考えめぐらせてみたが、今後も不確実、理不尽な期待を国民から強いられる続ける天皇家、皇族の方々が気の毒でならない。

第1条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

日本国憲法


肝心の令和天皇の御御影がなく、失礼いたします


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