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社労士試験 1年目の失敗(2020/8/24加筆)

こんにちは。れんです。
令和2年度の社労士試験、まずは何よりお疲れさまでした。

今回の本試験は相変わらず予想の斜め上から出題される選択式労一において、さらに上を行く形式で出題され、択一式も昨年よりも難易度が上がった(引用:TAC試験講評速報より)ともいわれ、負担の大きい試験だったと思います。

そんな中で、SNSで自己採点の結果を報告されている方々のコメントを拝見しました。合格ラインに乗った方、思うような結果が出なかった方、さまざまな反応がありました。

社労士試験は非常にやっかいなことに、実力が伴っても一般常識科目という特殊な科目の影響があり残念な結果になってしまうことも多いです。そんな中、私は実力が伴っていなかったため、初年度は選択式択一式共に合格ラインに乗らず、不合格となってしまいました。

しかし、私自身も社労士試験の勉強時間の目安である1000時間は勉強し、合格ラインに乗っているつもりでした。しかし、結果を見れば一般常識科目以外でも実力が足りていませんでした。

私がなぜ合格を逃してしまったのか?しっかり勉強したはずなのに、一般常識科目以外で点数が足りなかった方、私と同じ経験があるかもしれません。

以下のような思考をお持ちの方は、私と同じような失敗を犯している可能性があります。なぜなら、まさに初学者の時、私が持っていた思考だからです。

✔ 社労士の試験を突破するにはアウトプットこそ至高である
✔ 本試験での様々な問題に対応するために、より多くの問題に触れておかないといけない
✔ 社労士試験の勉強時間の大部分は、問題を解く→解説を読む→次の問題へ、の繰り返しだ


上記の思考はある意味では正しいのですが、ある意味では落とし穴になります。今回は上記思考をお持ちの方向けに、本試験の落とし穴とその回避術の一つとして私のケースを紹介します。


初年度(初受験)の結果

初年度の私の成績は以下の通りです。
選択式試験 総合点での足切りなし(科目別足切り 労働一般 国民年金法)
択一式試験 総合点での足切りなし(科目別足切り 厚生年金保険法)

計15科目のうち、12科目で合格ラインに乗りましたが3科目で足切りとなり、不合格となりました。選択式、択一式ともに合計点での足切りはありませんでしたので、初年度は科目ごとの足切りの怖さを知った苦い受験記憶となりました。


その科目、本当に得意科目ですか?

今回の記事では足切りとなった科目である年金2科目について、特に失敗の分析と改善点をお示ししたいと思います。

受けた直後はこの結果はものすごく意外であり、かつショックが大きかったです。というのも、国民年金法、厚生年金保険法ともに、自身では「得意科目」であると「確信していた」からです。

しかし、後々振り返った際に気づいたのは、その「確信」は「単なる思い込み」に過ぎなかったということです。

今振り返ると、初年度はこの思い込みにより自身の科目ごとの学習比率に偏りがありました。試験日当日を迎えて自己採点をするまで、私はこの思い込みから抜け出すことができなかったのです。

結果として「試験本番日に苦手科目を作らない(残さない)」という合格に必要なステップを知らず知らずのうちに破ってしまっていたため、不合格という結果として表れてしまいました。

それではなぜその思い込みの罠にはまり続けたのでしょうか。またどうすればその罠を回避することができたのでしょうか。順を追って解説していきます。

思い込みから抜け出せなかった理由「なんとなく解けてしまっていた」

学習を重ねる中で、国民年金法、厚生年金保険法は最も重要な科目だと思っていました。この2つの年金科目は、選択式の中では10/40(25%)、択一式の中では20/70(28.6%)の点数割合を占めています。「年金を制する者は社労士試験を制す」といった格言もあるくらいです。

個人的に年金は元々興味を持っていた科目であることもあり、各単元ごとに学習していた際や模試の成績等では比較的自分の得点源となっていたため、本試験を受けるまで「自分は年金科目が得意なのだ」との思いに埋め尽くされていたのでした。

ではなぜ学習段階では得点源になっていた年金科目が実は得意だと思い込んでいた科目に過ぎず、当日点数がのびなかったのでしょうか。

得意科目のはずが当日伸び悩んだ理由「反射的に回答を行ってしまっていた」

日ごろ問題演習でアウトプットをしていると、同じような問題を目にする機会が多くなります。それは過去問や手元の問題集などを繰り返して説いていることに由来しますが、「問題文を読んでいるとなんとなくここが間違っている」というのがわかるようになってくるのです。

日ごろの練習問題では素直にキーとなるワードで正誤を判定できるように問題が作られている(これは自身の見解ですのであしからず)ことが多いため、コツをつかむとなんとなくでも正解を選べてしまうことが多かったです。

しかしいざ本試験となると、そうはいきません。

本試験では、同じ条文を元に、同じ論点を聞いてきたとしても問題の出し方が違えば全く違う問題に見えてしまいます。問題演習ばかりを行い、一つの条文の一つのキーとなるワードだけにフォーカスをして学習をしていると、別のキーワードで問題が作られたとき、いくら勉強していたとしても本試験で点数は上がりません。

こんな経験はありませんか?「同じ論点の過去問はなんとなく解けるけど本試験になると途端に解けなくなる。」

それはまさに、同じ過去問のアウトプットを繰り返した結果、問題と解説をを覚えてしまった状況に他ならないと思います。

解説に条文そのものが乗っているケースは多くないと思います。問題文のどこが間違っているか、その部分のみの解説しか書いていません。解説しか読んでいないと、同じ条文から出ているはずなのに解説ではキーワードの一つしか学習していないので、同じ条文の他のキーワードから出題されたときに途端に手詰まりになってしまうのです。

なまじ苦手意識を持たない分、直前期では学習のウェートが下がっていました。その状態で本試験に臨むと、日ごろから回答してきた「コツ」で回答し、条文上の根拠なく反射で回答を出してしまい、結果として誤答を選んでしまうということになります。

この「コツ」は条文の一部分でしかないことに気づかずに、です。

反射回答をなくすためにはどうすればいいのか?

ここまで読んでいただいたら見当がつくかもしれません。上記の答えは「条文の文言を一つ一つ正確に記憶すること」です。

1年目に受験をするときの勉強は「アウトプット」が中心でした。問題を解き、解答を見る、合っているか確認する、そして次の問題へ、という流れです。問題と解答をセットで学習することで同じ問題には対応することができるため、比較的労力を少なく模試などの点数を上げていくことが可能だからです。

特に社労士の試験は過去問と同じ問題が出ることもあり、一発合格を目指す勉強方法としては今でもこのアウトプット中心で対策をするのがベストだと思っています。

ただし、アウトプットに偏ってしまうとどうしても見たことがある問題に引っ張られることになります。例えば、この問題は見たことがある、これは見たことがない、というようにどうしても回答の基準が「見たことがあるかどうか」に偏ってしまうことになるでしょう。

当時の心境は、インプット用のテキストに載っている条文について、一度は問題の形式でアウトプットをしておきたい、でした。

アウトプットの量をできる限り増やし、問題を解くことに勉強時間の多くを費やす。そうすれば本試験でも見たことのある問題が多く出るはず、その確率を上げたい、そんな心境です。そのため、初学者にして模試を4つ、スクールの答案練習問題、市販の予想問題、これらに手を出し、条文をきちんとインプットする作業がおろそかになっていました。

確かに、本試験ではなんとなく見たことのある問題がほとんどでした。もちろん、過去本試験で全く出されていない通達などは初見ですし、1問5肢丸々1つの細かい論点から出され他場合はお手上げですが、その肢以外は見たことがある問題も多く、対応はできるはずでした。

しかし、結果はあっていると思っている問題でぽろぽろ取りこぼすことになりました。「なんとなく見たことがある」という判断基準で誤答を選んだ結果といえます。

私はこの年の試験を通して「この問題は過去やったあの問題ではああだったからこれは正解だ」という思考回路ではなく「条文にはこう書いてあったからこの問題は必ず正解だ」というように、正誤判定の根拠を条文にすることが非常に重要だと学びました。そのためには根拠を持って正解できない問題について、面倒でもテキストで条文を確認する作業が必要になってくるのではないかと思います。

また、年金科目については状況を図で再現してみるといった方法も必要です。条文を正確に理解し、それを正確に図で再現する。文言の暗記だけでなく地道な練習が必要です。

実際2年目に受験をしたときには、アウトプット中心ながらも都度条文インプットを組み合わせて学習を進め、年金科目については国年・厚年合計で19点という自身の得点源としておくことができ結果合格をすることができました。

まとめ

問題を解いて回答を出すアウトプット作業が重要なのは言うまでもありません。

ですが、アウトプットしてあってた間違ってたという作業だけでなく、条文を根拠になぜその問題があってるのか間違っているのかを確認することが、合格に近づく道ではないかと思います。

苦手科目を見破る、苦手科目を穴埋めする、そのためにアウトプットをしつつきちんとインプット教材で条文を読む。この繰り返しが必要です。

ただし、初めて学習をする方などはどうしてもそこまで手が回らないことも考えられますので、間違えた問題だけでもそのように確認をすることが出来れば、少なくとも自分と同じような間違いを繰り返すことはなくなるのではないかと思います。

今この瞬間が、社労士試験まで最も時間がある瞬間です。ぜひこの瞬間を大事にして合格を勝ち取ってください。

Twitter:@ren_sharoushi

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