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【エッセイ】散策という名の「旅」

旅行は好きだが、好きじゃない。

知らない土地に行くのは好きだ。

土地の名物を味わうのも好きだし、何ともない街並みを歩くのも好きだ。

名所に行って絶景を愛でるのも好きだし、その土地の博物館や民族館に赴き、歴史に思いを馳せるのも好きだ。

最近は美術も面白いと感じてきたので、美術館やギャラリーを巡るのも面白いと思う。

だが、旅にはお金がかかる。
本当に、お金が、かかる。

移動だけなら良いが、泊まるとなると嫌になるくらいお金が、飛ぶ。

VRにハマってるんだからVRで済ませろよ、と思うこともあるが、現実の旅はまた、VRとは違う良さがある。

特に今は同居人もいるため、おいそれとぶらりひとり旅なんぞできる身分ではない。

だから、旅は好きだが、そこにかかる諸々の出費は、好きじゃない。

だから私はよく、近所を探索する。
近所の入ったことのない路地や、通ったことのない道を目的もなく突き進む。

時間がある時はひと駅、ふた駅ほど移動して、そこに何があるのかを歩いて確かめる。

そこには、小さな神社があれば、地域密着の文化センターのようなものがある。

石畳にレトロを感じることがあれば、アーケード街に心を躍らせることもある。

そして気づく。さぁ、どうやって帰ればよいのだろうか、と。

あっちに行ったりこっちにいったり。
見知った道に出ることもあれば、まったく知らない場所に出ることもある。

見知った場所、近所なのにまったく知らない世界がそこにある。

そんな散策を、私は、「旅」と称してみたくなる。

そして明日も、そんな他愛のない旅に、出たくなる。

そんな、夜の話。

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