マガジンのカバー画像

VRC小説

16
VRChatを舞台にした短編小説群。続き物だったりそうじゃなかったりします。
運営しているクリエイター

#ショートショート

【SS】何者でもない、ぼくら

【SS】何者でもない、ぼくら

「いってらっしゃいませご主人様。また次のお帰りを、お待ちしております」

私たち庶民の想像する貴族の社交場が、ここに広がっていた。

黒と金色で飾られた室内。天井は高く、大きなシャンデリアがいくつも吊るされ、室内を煌々と照らしていた。

床には赤いカーペットが敷き詰められており、ゴミひとつ落ちていない。

壁際には年代物を思わせる花瓶が等間隔に飾られ、色とりどりの花束は花瓶の中でみずみずしく咲き誇

もっとみる