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「経済成長信仰」の理由、複利の重要さ

ニュースでよく出るし、ジャーナリストも良く言うこの単語。なぜ経済成長が大事だといわれるのか?お偉い方は何故こんなにも経済成長を重視するのか?少しでも参考になれば幸いです。


なぜ経済成長が大事だといわれるのか?

いきなり本題に入る前に、まず1つ質問。

・現代で年収500万円で暮らす
・1930年あたりで同じ年収500万円で暮らす

この2つのうち、あなたならどっちを選ぶ?ただ前提として、「1900年代前半に年収500万円」といえば現代の6000万円くらいに相当し、大金持ち。大豪邸に住み、使用人を雇えて、好きなものを食べて飲める。

ただ、現代のような技術はない。移動に時間と危険性が伴い、スマホやパソコンも無ければ医療も進んでいない。それでは改めてどっちを選ぶかな?

この質問には3人に2人くらいが現代の方を選ぶらしい。もっと時代を戻せば、さらにさらに大名級の暮らしができるかもしれないが、もっと多くの人が現代を選ぶようになるだろう。

さて、何が言いたいかというと、この問いは経済成長が重視される理由を簡潔に気づかせてくれるということ。

なぜあんなにも「経済成長!経済成長!」と主張されるのか?それは、過去のある時代の水準、文明で裕福に暮らすよりも、現代のようなさまざまな恩恵を受けられる方がいい、その方が良い面がある、ということになる。

小さな積み重ねが大きな発展を生む

経済成長は、年を経るごとに積み重なっていく。そして年間成長率のわずかな違いが、何十年後かの生活水準を大きく変える。

経済の規模は、預金が「複利」で増えていくように大きくなっていく。例えば、ある国の経済成長率が年間1%だとする。そして、その国の現在のGDP100だと仮定する。

この1%という数字は、わずかなものに思えるかもしれない。たしかにこの率で経済成長を10年間続けても、まだ110にしかならない。

しかし25年後は128、40年後には149と、年が経つほどだんだんと膨らんでいくことが分かる。わずか年1%だけの成長であっても、半世紀経つのを10年残して水準を1.5倍にまで引き上げることができる。

同じように、年間成長率が3%場合はどうか?最初のGDPは同じく100だと考える。3%というのは、現実にここ20〜30年のアメリカの実際の平均的な経済成長率とほぼ同じ。

10年後→134
25年後→209
40年後→326

こんな感じで、年間3%平均で経済成長ができれば40年で経済規模が3倍以上にもなる。

銀行に預けるのと同じで、複利がのちのち大きな差を生むわけだ。

さらに経済成長率が5%だと、どうだろう?景気のいい時のアメリカや、何年かのブラジル、メキシコはこの率で成長してる。

10年後→163
25年後→339
40年後→704

四半世紀のうちに3倍の水準まで引き上がる。

8%の場合はどうだ?8%の経済成長というのはなかなか難しくて、少なくとも長期にわたってこの数字をキープした国はほとんどない。1960年代〜1970年代の奇跡と言われた時代の日本や、ここ30年の中国くらいです。いや中国すげえな。

10年後→216
25年後→685
40年後→2172

10年ですでに2倍。25年で6.8倍というのは、若者が中年になるまでに街並みが群馬の田舎から東京に変わるくらいじゃないかな?笑(今住んでるのが群馬だから例にしただけで群馬をディスってる訳じゃないです)

まあこんな感じで、
・年間成長率のわずかな違いが、驚くほど大きな差を生む。
・長い目で見れば、人々の生活水準を上げるには経済成長が有効的。

ということが分かる。

話がそれるが、この複利の考え方は重要。金があるところに金が集まるというのも理解できる。あるいは毎日のわずかな積み重ねが、(勉強でもスポーツでも)将来的にとてつもなく大きな差を生むということをしめしている。

発展途上国はなぜ貧しいままなのか?

発展途上国は先進国に追いつけるのか?もちろんさっき見たように高い経済成長率を保っていれば十分にできる。実際に経済や技術が遅れていても、「他の国が苦労して作り上げてきた技術や知識を、そのまま利用でき、それによりすばやく成長できる」という利点もある。(これがいわゆるキャッチアップ効果)

こういう風に考えれば、最貧国や発展途上国の一人当たりGDPが先進国に追いつくのも時間の問題で、当たり前だと思えちゃう。

しかし少なくともここ100年以上もの間、豊かな国と貧しい国との格差は開いている。たとえば、1870年時点で貧しい国々と豊かな国々の1人当たりGDPの格差は、9倍程度だった。それが1960年には38倍、1990年には45倍と、どんどんと開いていってるという現実。

なぜ最貧国は取り残されてしまうのか?これは、グローバル化のせいではない。むしろグローバル化は、インドや中国などの経済成長を強力に後押ししました。

グローバル化が貧困国を生んでいるわけではなく、それよりも貧困国がグローバルな動きに参加できないことが問題なんです!

現実として、貧困国が先進国の生活水準に追いつくには50年以上の歳月が必要と言われてる。それも、爆発的な経済成長を続けると仮定した場合だ。

まとめ

複利の話は身に沁みる。努力の成果というものは、始めのころは見えないけれど、後になってぐんぐんと出始める。

あと、政治家が貧困国の問題解決とか国の貧しい地域に手を出したがらない理由が分かったね。なぜなら短期的に成果が出にくい(見えにくい)し、それだと自分の評価が良くない。選挙に勝てない。結果的に見ないふり、あるいは後回しというわけだ。

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