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GDPってなんぞや?サラッと基礎編

GDPくらい詳しく説明できないでどないすんねん。ということで、まとめてみた。

GDPの定義

「GDPは、1年間に生産(供給)された最終生産物の総額」

噛み砕くと、国全体でどれだけのものが生産され、売られたか、サービスされたかということ。生産されたものって、基本的には同時に消費されてると考える。だから1年間にどれだけのものが買われたか、というふうに消費の面から見ることもできる。ということは、GDPが大きければ経済の規模が大きそうというイメージがまず湧いてくる。

GDPは需要と供給の面から見れる

具体例で説明してく。2009年のアメリカのGDPは14.2兆ドルで、当時のドル円のレートは90~95くらいだったかな?まあたとえば1ドル95円で考えると2009年のアメリカのGDPは日本円で1392兆円くらいとなる。一年もの間に、1392兆円分の生産やサービスがされたって、ちょっと想像つかないな。

本題で、アメリカの2009年は、
①生産(供給)の面で

66.2%がサービス
13.4%が耐久財(冷蔵庫とか車とか)
13.4%が非耐久財(食べ物、衣服)
7.7%が構造物

足して100%を超えるのは在庫に回されているとでも考えよう。「生産」というと形あるものを想像しがちだけど、医療、教育、金融、法律相談とかいった無形なサービスも生産物に含まれる。そしてこれが、アメリカの場合は半分以上も占めている。これこそアメリカがサービス経済だといわれるゆえんであり、またGDPの中でサービスの占める割合は増えてきてる。

もう、現代には物が溢れきってる証拠かもね。

②消費(需要)の面から見ると、

70%が個人消費
11%が企業の設備投資(年によって大きく変わる)21%が政府支出
残りが純輸出

輸出とは、国内で作られたものを海外に売ること。
輸入とは、海外で作られたものを国内で買うこと。

輸出は売れる(=消費される)ことなので国内の需要にプラスされるが、輸入の分は国内の需要から差し引くことになります。これが純輸出。みんなも知っての通り、近年のアメリカでは、輸入が輸出を大きく上回っている。貿易で赤字。

式で表すと、こう。↓  テストに出るやつ。

GDP=消費(C)+投資(I)+政府支出(G)+輸出(X)-輸入(M)

だれが考え、どのように発表されるか?

まず、日本円で1300兆円という膨大なGDPは、だれが計算するのか?それは、アメリカ商務省の「経済分析局」という部署が、あらゆるデータを集めて計算している。

FXをしている人ならみんな知ってると思うけど、アメリカのGDPの値は毎月発表される。
ひと月ごとに、速報値→改定値→確報値とでていく。これが4サイクル。(3×4=12)だから毎月。ちなみに一番注目され、レートが大きく変動するのが速報値。

調べれば簡単に見られるよ!

1人当たりGDP

経済学者や、投資のファンダメンタルズ分析で、「1人当たりGDP」も注目されたりする。これは生活水準を大まかに把握できるシンプルな基準。

どう出すかは簡単。GDPを総人口で割る。
2009年のアメリカの場合、GDP14,2兆ドルの人口3億700万人なので、一人あたりのGDPは約4万6000ドル。一人当たり400万円以上の財の恩恵を受けてることになる。一人当たりGDPは、人口が違う国でも比較できるという利点があるから、ある国とある国、ある時期とある時期、っていうふうに簡単に比較できる。

実質GDP

もう一つ重要なデータとして、GDPのインフレ率を調節した実質GDPというものがある。GDPの数値から物価の変動による影響を取り除き、その年に生産された生産物の本当の価値を算出したもの。

たとえば、日本のGDPが前年より5%も上がったとする。「お、生活水準上がってんじゃん」とか思うかもだけど、ちょい待った。その年に、物価も5%上がってたらどうだろう?生活が楽になったかといえば、そうでもない。

物価が上がっていれば、その分サービスやモノの値段も上がっていることになり、つまり勝手に物価の分だけGDPも上がっているという事実がある。だからニュースでGDPが増えてるとだけ聞いて安直に喜んではいけない。

ある年のGDPの伸びが6%で、その年の物価が2%伸びていたとすれば、インフレ分を引いて「4%」、実際に生産された商品やサービスが増加したということになる。

特に長期的な思考や比較をするときは、このような実質GDPを使って考えることが重要になる。

GDPの欠点①

GDPも一指標であり、人間の創造物。万能ではない。まあ世の中のどんな経済データにも、必ず欠陥があるよね。

まず、GDPの欠点として、「売買の対象とならないものは把握できない」ということがある。例えば物々交換とか、モノを作っても売ってない、タダであげた、とか。GDPは売買されたものの総額で計算されてるからね。

あと、「家庭内の生産」とかもある。近年になって、女性が家庭内で行っていたことが商品やサービスとして市場で売買されるようになった。食事の準備とか、掃除、育児とかとか。過去に売買されてなかったものがサービスとなることで、GDPは上がっているように見えてしまう。以前は見えなかったものが市場に出てきて見えただけの話で、人々の生活水準が良くなったというわけではない。

逆に、人々の生活水準に大きくかかわりながらも、GDPに反映されないものもある。たとえば、ある会社内の人々が生産性を保ったまま労働時間を減らし、働く時間が以前より20%減ったとします。こういったことが大規模で起こっていれば、人々は暮らしがよくなったと大いにいえる。でもこれは、GDPには何の反映もされてない。

そのほかにも、大気汚染が減ってもGDPはプラスにならないし、交通渋滞や通勤時間が増えたとしてもGDPはマイナスにならず、逆にガソリン代やコーヒー代の増加でプラスになってしまうかもしれない。あるいは地震などで大きな被害が出ると、町の修復のため需要や消費が増え短期的にGDPが上がる。

人々の暮らしは悪くなっているのに、GDPがむしろ上がっているという現象も起こりうる。

GDPの欠点②

GDPは最終生産物だけを対象にしたものだから、それを生産するために使われた材料や部品は計算に含まれない。なぜなら生産を重ねるたびにGDPに加算されてしまうと、同じものが何度も計算に入ってきてしまうという重複が起こるから。

あと、所有者が変わるだけの取引も、GDPには含まれない。中古のもの(本や車、不動産)の売買はお金が動いても、GDPには現れません。

「新しく家を買う」「中古の家を改装」はGDPアップだけど、
「中古の家を買う」「親から譲り受ける」はGDPが変わらない。

株式の売買も、所有者が変わるだけで何も生み出されていないので、GDPの対象外。ただし、売買手数料だけはサービスとしてGDPにカウントされる。おもろいね。

GDPの欠点③

グラビア雑誌と靴下が、同じ値段だったとする。でも、価値って同じか?というふうに、GDPの中身の部分についても様々な疑問が投げかけられる。結局GDPとは売買されたものの総額に過ぎず、何らかの価値判断を表すものではありません、ということになる。

欠点多いように見えるね。あー長かった。

GDPで見る大まかなアメリカ経済

1950年から2010年までアメリカの実質GDPは年平均3%のペースで伸び続けてきている。

1950年時点と、2000年半ば時点では、5.5倍のさがある。こういった感じで、GDPって基本的に上昇傾向で動いてきている。

といっても、長期的に下がることもあり、そのことをリセッション(景気後退)という。GDPがどれだけ減れば、どの程度の期間減少すればリセッション、というように明確な定義はないけど、一部の経済学者は、6か月GDPが減るとリセッションだという。

全米経済研究所という判断をしてる場所があって、そこによるとアメリカは1900年から2010年の間に23回リセッションを経験したという。大体5年に一回のペース。 1991年に起こった後、2001年まで一度も起こらなかったから、近年は比較的に緩やかになったと当時の人たちは考えた。そしてそこにあのサブプライムローン問題が起こった。

2007年から2009年のリセッションは極めて長期的で、深刻なダメージを負った。

これらを踏まえてまとめると、
「アメリカの経済は長期的には上昇傾向だが、10年に一度か二度は下降する時期がある」ということになる。

まとめ、感想

欠点が多かったように思えるけど、なんだかんだでGDPはその国の経済状況を知るのに優れてる。1人当たりGDPが大きい国はいろいろな意味で暮らしが豊か。個人消費が多いほうが、暮らしの質が高くて当たり前。より多くのエネルギーを消費している。

投資とかに使える有効な指標でもあるから、ぜひチェックしてこう。

全然サラッとじゃなくてごめん。



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