見出し画像

チョコレートの保管方法と、融点について【カカオバターという奇跡】

チョコレートフォンデュの作り方

俺は大学時代ある有名なチョコレート店でバイトをしていた。個人的に好きだったこともあり、バイト経験や自身での勉強によっていろいろな知識が身についた。

唐突だけど、そんなチョコレートにまつわる過去の事件を話そう。ある日大好きなお店で結構な量のチョコレートを買って車で帰宅。次の日までにやらなきゃいけないレポートがあり、それに頭をとらわれてたのか買ったチョコを車に放置して家に入った。ビールを飲みながらダラダラとだけど無事レポートを片付け就寝する。

次の日になり、「あぁ、そういえば昨日チョコ買ったやん」と思い出す。外はとってもいい天気。車に置きっぱにしたことを思い出し嫌な予感。

取りに行ってみると、案の定そこには紙袋の中に出来上がったチョコレートフォンデュの泉…

チョコレートは何度くらいで溶けちゃうの?

まず前提として、チョコレートが溶けるのはチョコに含まれている「ココアバター(カカオバター)」が原因。ちなみに口の中で滑らかさを作っているのもこのココアバター。

ココアバターというのは、常温では固まってるけど25度を過ぎたあたりから急速に溶け始める。25度というと、5月くらいには最高気温で簡単に到達してしまうくらいの温度だよ。さらに、いくら気温が25度以下であってもポケットの中や暖房が効いた場所など熱が溜まる場所はかなり危ない。冬とかでもポケットの中だと簡単に溶けちゃう。人の体温はだいたい40度あるからね。

で、25度から溶け始めて、完全に溶けてしまう融点というのはずばり33.8度。だいたい32度くらいではもう完全な液体状態になってる。

ココアバターという奇跡

33.8度っていったら、人間の体温のちょい下であることが分かるね。実はこれこそがココアバターの特別なところ。まず、この「体温近くで一気にとける」という植物性油脂はココアバターを除いて他にはないのだ。

体温の少し下で急速に溶けるからこそ、口に入れた時に最高の口どけが楽しめる。もし融点が体温と同じくらいかそれ以上だとしたら、口の中でのっそりと残りつづけるワックスを食べているようになる。逆に33.8度より1、2度低いだけだと、春先でさえすぐに溶けてしまい、冬しか食べれなくなってしまう。

この偶然すごいよね。まさに人間のために作られたとしか思えないような特徴をもっている。ちなみにこのココアバター独特の性質は、口紅などにも利用されているそうだ。

ベストな保管方法は?

それでは、最適な保存温度はどれくらいなんだろう。それは一般的にワインの保存の温度と同じと言われていて、だいたい15〜18度ほど。この温度は、食べる時の最適温度とも言える。

ワインセラーがあるのなら、その中に入れておけば心配ないね。ダークチョコレートはもうちょい高い温度で保管しても大丈夫。ただ、ワインセラーがなくてそんなピンポイントな温度での保管は無理だ、というのが現実だよね。だから、
・夏は冷蔵庫の野菜室に入れる
・冬は暖房の効かない部屋に置いておく
くらいに覚えておこう。

冷蔵庫で良さそうに思えるけど、寒すぎるんだよね。成分がいろいろ分離しちゃったりして、チョコレート本来の口溶けや味わいが楽しめなくなっちゃう。良い商品であればなおさら。そう、なんで保管に気をつけないといけないかというと、チョコレートを最高の状態で楽しむため。

まとめ

特に高品質なチョコレートほどすぐに溶けるよ。夏とかはほんとに秒。

これからチョコレートを食べるときは、ココアバターの融点の奇跡について思いを馳せてみてはいかがでしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?