安心して、待っていればいい。時がくるまで。
「自分自身を、大切にして。俺よりも、まずは自分自身。応援してるから。何よりも大事なのは、自分の心を見失わないこと。灯台の灯りを、見失わないこと。灯台を守っているのは、俺。灯りは、れんの心だよ」
私は学生時代、名古屋に住んでいました。
広い、まっすぐな道がどこまでも続く街。名古屋走り、手羽先、みそカツ。
名古屋という割と名が知られた都市ではありながら、実際に足を運ぶ人は意外とそれほどでもないような、そんな不思議な街に、コメダ珈琲店はありました。
大学まで、自転車で40分ほどの距離でしたが、高台にあったので、坂を上っていくのが大変でした。
コメダ珈琲は、そんな坂の途中に営業していました。
道路から少し離れた奥まった場所に、入口がありました。
喫茶店から出てきた男性は、大学生の私にとって、とても立派な大人の人に見えました。
私はお店に入ろうか、迷いました。
自転車を降りて、しばらく立ち止まっていました。
しかし、当時の私はコーヒーを飲んだことがなく、ひとりで喫茶店に入る勇気もありませんでした。
私はコメダの前を何度も何度も通りながらも、結局一度も訪れることのないまま、名古屋を離れることになりました。
そして、あれから15年以上の歳月が経ち、私は仕事終わりにコメダ珈琲店を訪れることになりました。
当時、コメダは愛知県にしかありませんでした。月日は流れ、あっという間に全国に展開を広げ、私が住むところにもやってきたのです。
それまで私は別の喫茶店を時々訪れていました。仕事終わりに、家とは反対方向のバスに乗って、寄っていたのです。
彼にその話をすると、「コメダは?」と聞かれました。
「コメダ?」私は聞き返しました。
「コメダが近くにあるのですか?」
「あるよ」彼は、何でもなさそうに言いました。
「1本向こうの通りにある。こっちの方が、近いでしょ」
私は彼のひとことのおかげでコメダを知ることができ、かけがえのない時間をここで過ごすことができたのです。
タイトルの言葉は、笹野隆史さんが出演する映画の中で、このようなセリフを言っており、とても心に残っているものです。(細かい部分は違っているかも・・・)
自分にとって核となる部分に近くなるほど、手に入れるのに時間がかかるものなのかもしれない、と感じています。
しかし、長い時間をかけて手に入ったものは、もう、自分の一部であり、離れることはないのです。
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