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#短編小説
一度カーテンが閉まると…
あの部屋に入る時は、冷静に、慎重に。
それが鉄則だ。
私は数枚の衣服を抱きかかえ、その部屋を見つめていた。
入口には門番が威圧感のある笑顔で立っている。一度入ってしまうと手ぶらで出ることは不可能なのではないかと思わせるほどの気迫だ。
もちろん、私もその気でここにやってきたのだが、いざ、あの部屋を前にすると本当に必要なのか、自分の身の丈に合っているのかを考えてしまう。何度も入口の前に立っては、ま
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満開の桜を見上げ、まだ少し堅い制服を馴染ませようと、肩や足を大げさに動かす。
桜の花に出会いを感じていたのは、もう数十年前の話。
いつからか散っていく桜を、くわえタバコでぼんやり見つめるようになった。
あの日の輝きは、もう目の中に残っていない。
少しくすんだ世界の中で生きている。
缶コーヒーを片手に喫煙所のベンチに座る。
たまに吹く風が心地いい。
コーヒーを飲もうとすると、桜の花びらが降って