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2015/1/25 「風の次郎吉−大江戸夜飛翔−」

2015/1/25 「風の次郎吉−大江戸夜飛翔−」

★珍しい顔合わせでの宝塚版「鼠小僧」

 宝塚花組公演「風の次郎吉−大江戸夜飛翔−」(かぜのじろきち、おおえどないとしょー)は、鼠小僧次郎吉を主役に据えた日本物の人情喜劇である。昨今の宝塚歌劇では、いわゆる時代物を上演する機会は少ない。しかも喜劇となると、2007年月組「大阪侍」(主演:霧矢大夢)あたりが最後ということになるだろうか。

 花組は二手に分かれて公演中で、トップスターの明日海りおと花乃まりあコンビは東京国際フォーラムで「アーネスト・イン・ラブ」に出演。「風の次郎吉」の主演は専科の北翔海莉である。彼女は今年6月には星組のトップスターに就任することが決まっている。つまり、北翔主演の花組公演は、これが最初で最後。だからというわけでもないだろうが、宝塚の日本物としては異例のチケット入手難公演となった。

★専科スターと花組中堅スターの組み合わせ

 主な配役は以下の通り。

鳶の次郎吉(鼠小僧)          北翔海莉
遠山金四郎(自称浪人者、鼠小僧を追う) 瀬戸かずや
手妻の幸(手妻の一座の女、女ねずみ)  仙名彩世
あやめ(目明し)            桜咲彩花
甚八(大工、次郎吉の育ての親)     夏美よう
活動弁士/小松屋(老舗の呉服屋)    紫峰七海
花咲(吉原の女郎、次郎吉の幼馴染かよ) 花野じゅりあ
勇人(吉原の男衆)           柚香光
三郎太(呉服屋「橋本屋」の番頭見習い) 水美舞斗
堀田けい(武家のおてんばな娘)     華耀きらり
本田吾助(けいの爺や)         神房佳希
石川一馬(北町奉行所の筆頭与力)    鳳真由
佐久間光江門(北町同心)        冴月瑠那
菊乃師匠(三味線の師匠)        鞠花ゆめ
三助(鳶職人)             天真みちる
真吉(あやめの手下)          真輝いづみ
正太(あやめの手下)          和海しょう
いぶき(「かぐ庵」の女主人)      梅崎衣舞
みや(「かぐ庵」で働く娘)       華雅りりか
きわ(湯女)              朝月きわ
手妻の奈津(手妻の一座の女)      更紗那知
手妻の波留(手妻の一座の女)      春妃うらら
手妻の一八(手妻の一座の男)      飛龍つかさ
錦吾郎(医者)             綺城ひか理
吉次(次郎吉の父)           亜蓮冬馬
よしの(次郎吉の母)/花(団子屋の娘) 美花梨乃
助左衛門(幸の父)           峰果とわ
幸(少女時代)             桜帆ゆかり
次郎吉(少年時代)           澄月菜音

 主演の北翔が演じるのはもちろん鼠小僧である。昼間は鳶の次郎吉、夜はお江戸を騒がす大泥棒、盗んだ金を貧しい物に分け与える「義賊」として庶民から人気を集める。次郎吉の義理の父親で物語のキーとなる大工の甚八を演じるのは専科のベテラン夏美よう。

 二番手格の遠山金四郎に抜擢されたのは、花組の中堅スター瀬戸かずや。ヒロインは手妻芸人幸(ゆき)の仙名彩世と、女目明しあやめ役の桜咲彩花。物語の中で敵役となる与力の石川一馬を演じるのは花組の中堅スター鳳真由。このところ躍進著しい若手スター柚香光は影のある若者勇人役を、水美舞斗は呉服屋の番頭見習い三郎太というそれぞれにしどころのある役を得ている。

★モノクロ映画から舞台へ

 幕が開くと、活動写真の弁士が登場して鼠小僧の物語を語り始める。舞台上には屋根の上を逃げる次郎吉、追う捕方たちのモノクロ映像が映し出される。屋根の上に追い詰められた鼠小僧、というシーンで舞台上に鼠小僧が登場。そして、主題歌とダンスによるプロローグ場面が始まる。映像を使うのは最近の宝塚ではちょっとした流行だが、モノクロ映画のレトロな雰囲気から、次郎吉が舞台上に登場する流れがいい。

 物語の始まりは暗い夜の裏通り。黒覆面に黒装束の男が、裏稼業からの足抜けをしようと「助左衛門」と呼ばれる男(峰果とわ)と言い争っている。もみ合ううちに、助左衛門は男に刺されて命を落とす。幼い娘(桜帆ゆかり)に「ねずみ」とだけ言い残して……。この回想シーンが物語の一種の伏線になっている。

 成長した娘は手妻の幸(仙名彩世)と名乗り、一座を率いて江戸の神田にやってくる。見事な手妻芸(要するに手品である)を見せて人を集めると、次はがまの油売り。口上も鮮やかに傷止めの薬としての効用を謳いあげる。ここは幸を演ずる仙名彩世の独壇場。見事な芸達者ぶりを披露する。

 だが、三助(天真みちる)を伴って現れた次郎吉(北翔海莉)は、がまの油売りに群がる人々に「そんなインチキにひっかるなんて」とバカにして幸を怒らせる。真剣を振り回して追う幸、逃げる次郎吉と三助。そこに割って入ったのが、男勝りな武家の娘堀田けい(華耀きらり)と供の爺や(神房佳希)だ。堀田けいに木刀で打たれ、次郎吉は気絶する。これぞコメディというドタバタ場面である。

★親子の情と殺人事件

 次郎吉と三助がけいと爺やに抱えられるようにして、大工の甚八(夏美よう)の待つ家に帰ってくる。けいは「次郎吉が街で女と痴話ゲンカをしていたのを、自分が勘違いしてしまったのだ」と甚八に説明する。華耀きらりはコメディエンヌの本領発揮。とぼけた味の出た武家のお嬢様を楽しげに演じている。

 皆が帰った後の甚八と次郎吉の会話から、二人が義理の父子であること、次郎吉が夜は鼠小僧として大名や金持ちの屋敷に盗みに入って、いまやその首に賞金がかかっていることなどが語られていく。甚八が過去を回想する場面では、次郎吉の両親は豆腐屋でその評判を妬んだ者に陥れられて死に、甚八は二人から幼い次郎吉を託されて裏稼業から足を洗った、という事情がわかってくる。

 次郎吉自身が昔を回想する場面では、幼い頃から手癖が悪かったこと。それを直してくれたのが、幼馴染のかよ(花野じゅりあ)という少女だったが、借金のカタに売られていってしまったことが語られる。次郎吉が鼠小僧になったのには、両親やかよを自分から奪っていった世間への復讐という思いがあったのだった。

 「もう鼠小僧はやめろ」という甚八に「風向きがわりぃーや」と、悪態をついて飲みに出かけて行く次郎吉。物語を最後まで見た上で振り返ると、この場面で二人の関係がしっかりと描かれていることが、後半第二幕のクライマックスで効いてくる。

 他方、街の暗がりでは橋本屋の主人が黒装束の男に襲われる。「大丈夫ですか」と駆け寄った小松屋(紫峰七海)は助けるフリをして止めを刺す。小松屋を演じる紫峰七海は、もうしゃべり方一つで、嫌な感じの商家の主人を好演している。さすがはベテラン。

★捕らえられた意外な犯人

 静かな場面が続いた後は一転して華やかに。一膳めしやの「かぐ庵」で、いぶき(梅崎衣舞)を中心とする歌とダンスの場面となる。そして、このかぐ庵を訪れる客として、新たな登場人物たちが次々紹介されていく。まず一人目は鼠小僧を追う女目明しのあやめ(桜咲彩花)、その子分の真吉(真輝いづみ)と正太(和海しょう)。続いて、次郎吉と三太もやってくる。あやめは次郎吉にぞっこん。三太はかぐ庵のみや(華雅りりか)に惚れている。

 店にはさらに、橋本屋の手代三郎太(水美舞斗)が登場し、「おそばまだありますか」とおずおずと頼む。もともと酒も飲まない三郎太が倹約しているのは「いい人ができたからだ」と、医者の錦吾郎(綺城ひか理)が冷やかす。

 さらに、自称浪人者のイケメン、遠山金四郎(瀬戸かずや)の登場で女たちは色めき立つ。金四郎に「一緒に飲もう」と声をかける次郎吉。「鼠小僧を捕えたい」という金四郎に、「ねずみは絶対につかまらない」と次郎吉は答える。二人の間に微妙な空気が流れたところへ北町奉行所の石川一馬、佐久間光江門が捕方を連れて現れ、「橋本屋の三郎太はいるか」と声を荒げる。なんと、まじめで働き者として知られる三郎太を橋本屋殺しの下手人、そして鼠小僧としてひっ捕らえていく。金四郎と次郎吉は、共にそれを怪しむのだった。

 と、この辺りまでが物語の序章である。

★真相を探る金四郎と次郎吉

 ここからは、事件の裏を探ろうとする金四郎と次郎吉、それぞれの活躍が描かれていく。金四郎は実は浪人者などではなく、とある旗本の若様で石川一馬とも顔見知りの間柄。石川を褒め称えるふりをして探りを入れる。この物語に登場する遠山金四郎はまだ北町奉行になるよりずーっと前の若い頃という設定だ。

 最近の若い人は「遠山の金さん」というテレビドラマをご存知ないかもしれないが、私くらいの年代だと「遠山金四郎=遊び人のフリをしているけど実は北町奉行、お白州に出ても嘘をつく悪人の前で片肌脱いで桜吹雪の刺青を見せて大どんでん返し」というのが頭に染み付いているので、「奉行じゃない金さん」というのを理解するまで少し時間がかかってしまった。

 他方、次郎吉さんの方はといえば、三味線の稽古にいったり茶屋で草餅を食べて娘たちの喧嘩に巻き込まれたりと、表向きはなかなか事件に関わらない。とはいえ、三味線の稽古場面はなかなかの見どころだ。菊乃師匠(鞠花ゆめ)の三味線と小唄に続いて、生徒役としてずらりと並んだ次郎吉、三助、錦吾郎、みや、きわ、あやめ等が、本当に三味線を弾きながら唄う。宝塚で役者が三味線を弾く場面はたまにあるが、これだけの人数が一斉にやるのは珍しい。とくに菊乃と次郎吉はなかなかの腕前&美声であった。

★派手なアクションの見せ場

 さて、舞台上では三郎太が下手人にされた理由が徐々に明らかになっていく。小松屋は商売敵の橋本屋を亡き者にし、石川と結託してその罪を三郎太になすりつけたのだ。一味には、吉原の男衆(おとこし)である勇人(柚香光)も加わっていた。

 石川一馬役の鳳真由がいい味を出している。青天のカツラに羽織袴、刀を差した姿、そして武家らしいセリフ回しも様になっている。顔立ちが丸顔であまり怖そうに見えないのが弱点だが、この人には役者魂を感じる。

 次郎吉は夜の闇に紛れて忍び込み、三郎太が無実であること。そして、三郎太が吉原の女郎、花咲(花野じゅりあ)と相思相愛の仲であること、その花咲がかつての幼馴染かよであることを知り、二人を助けるべく動き始める。すでに捕まった筈の「鼠小僧」が姿を現したと、世間は大騒ぎ。それを捕まえようとするあやめ、金四郎、そして女ねずみ小僧となった手妻の幸も次郎吉の後を追う。

 宝塚ではアクション場面をダンスで魅せることが多いのだが、今回はダンスではなく本格的な立ち回りと殺陣で、なかなか見ごたえがあった。金四郎と相対した際に、はらりと鼠小僧の黒覆面が落ちて、金四郎と幸の二人はその正体が鳶の次郎吉だと知ってしまう。逃げる次郎吉は客席通路へ。舞台上には再び活動弁士が登場して「このあと25分の休憩に入る」と知らせる。と、ここまでが第一幕である。

 休憩時間中も舞台上のスクリーンには、主な出演者を紹介する映像(静止画)が投映されていた。こうした遊び心は観客にも嬉しい。

★見た目の顔と、裏の顔

 スピーディーな展開の第一幕とは打って変わって、第二幕は事件の裏にある登場人物たちの抱える事情と、それぞれの心情がより深く掘り下げられていく。

 手妻の幸は、優しかった父親の仇「ねずみ」が鼠小僧であると睨み、自分も女ねずみに扮して鼠小僧に巡り合うチャンスをうかがっていた。昼間の手妻一座の明るい娘という顔とは裏腹に、夜は仇を追い求める。次郎吉はそんな幸の思いを組んで、幸に「自分を信じていったん預けて欲しい。三郎太の件が片付いたら必ずなんとかする」と言って、幸に協力を求める。実は、次郎吉には幸の仇の「ねずみ」に心あたりがあったのだ。

 金四郎は遊んでいるように見えて、その実正義感が強く、無実の男を陥れた石川一馬が許せない。彼の関心は鼠を捉えることよりも、石川一味の悪事を暴くことに移っていくのだ。とはいえ、そこはこまめなイケメン君。堀田けいの草履の鼻緒が切れると、こよりを作ってちょちょちょいと直してやって「べっぴんさんへの礼儀」と嘯く。でも、これで堀田けいは金四郎に一目惚れ。お転婆娘が突然花嫁修行に励み出すことになる。

 目明しのあやめは、つかまった三郎太は自分が追っている鼠小僧ではないとわかっているのだが、どうにもならない。しかも、恋しい次郎吉が手妻の幸とばかり一緒にいるので面白くない。三味線の稽古に行っても次郎吉はこない。稽古に加わった堀田けいの下手くそぶりに業を煮やして当たり散らし、二人は互いを「お転婆」「男勝り」と罵り合って喧嘩になる。

 恋に悩むのは乙女ばかりではない。次郎吉の子分格の三助は、かぐ庵のみやに何度も言いよるが、みやは鼠小僧に憧れて見向きもしない。「もし、あんたが鼠小僧なら夫婦になってもいい」と言ったみやの言葉は三助の心にある決意を抱かせる。

★悪役チームの健闘が光る

 第二幕では、悪役チームの面々の思惑も見えて来る。石川一馬が橋本屋殺しの下手人として捉えた三郎太を、わざわざ鼠小僧に仕立て挙げたのは出世のため。そして、小松屋から得た賄賂を使って、女郎の花咲を身請けしようという腹だった。花咲をめぐるライバルである三郎太を消すことができるとなれば一石二鳥である。

 もう一人の悪党小松屋は、あとからやってきた橋本屋が良い品を安く売る誠実な店として人気を集めているのを快く思っていなかった。橋本屋と、その番頭見習いである三郎太がいなくなれば、神田界隈の呉服商売は小松屋の思うがままである。

 石川役の鳳真由が「小松屋、お主もワルよのぉー」という時代劇でお決まりのセリフをためにためてから言うのが客席の笑いをさそう。
時代劇ドラマの洗礼を受けていない若い人たちが、このシーンをどう見るのかはちょっと気になるところではあるが。

 悪役チームの中でもちょっと気の毒なのが男衆の勇人。実は彼が橋本屋殺しの実行犯なのだが、動機は色恋。彼は5年前、ちょうど自分と同じ頃に吉原に連れてこられた花咲(=かよ)に恋をしていた。橋本屋殺しの代償に受け取った金を持って、花咲と共に吉原から逃げ出そうというのが彼の計画だったが、肝心の花咲の心は三郎太にある。しかも、石川と小松屋はすべてを知る勇人を生かしておこうという気はさらさらない。

 この勇人とを演じているのが、目下人気赤丸上昇中の若手スター柚香光(ゆずかれい)。陰のある、それでいて同情の余地もある勇人はなかなかのハマり役だった。アクションも切れがあってかっこいい。でも、歌は精進が必要そうだ。

★クライマックスは再びアクション

 誰もがおかしいと思う中で、三郎太が打ち首獄門と決まってしまう。だが、今まさに処刑されるというその時、鼠小僧と女ねずみ、そしてなぜか黒いほおかむりに黒装束の三助が登場して、石川と小松屋の悪事を暴いてまたまた大立ち回りとなるのである。縄で縛られて処刑を待つ三郎太が、一瞬で小松屋に変わる早変わりはお見事。

 そして、鼠小僧たちに加勢して石川一馬ら一味を叩きのめすのは金さんである。立ち回りは全部峰打ち。細かいことなんだけど、相手を殺さない殺陣というのをきちんとやってるのが気持ち良い。ここにも堀田けいと爺やがあまり役に立たない助太刀として割り込んでくる。

 そして、悪党一味が退治されたあと、女ねずみの幸の前に甚八が現れ「おまえの父を殺したは自分だ」と語りはじめる。幸の父と共に大名の密偵として働いていた頃、甚八は「ねずみ」と呼ばれていたのだ。甚八を殺そうとする幸の前に体を投げ出し、必死で命乞いする次郎吉。「こんなやつでも俺をここまで育ててくれた親父なんだ」と。これまで一度も甚八を「親父」と呼んだことのなかった次郎吉が初めてそう呼ぶのを聞いて、観客も涙、涙である。

 やり場のない悲しみに号泣する幸。甚八さんは、胸を病んでいるという設定で、このあと間も無く死んでしまう。思い切り笑わせておいて、最後に泣かせる。まさに人情物の王道をゆくストーリー展開だった。

★春の予感と恋の予感

 芝居の最後は事件の後日談で締めくくられる。無実を認められ、釈放された三郎太には、吉原の大門に出向くようにと鼠小僧からの手紙が届く。三郎太が言ってみると、そこには恋しい花咲の姿があった。鼠小僧の置いていった小判で、花咲は自由の身となったのだ。

 金四郎は「鼠小僧こそが江戸の町を守っている」と言って、自分の進むべき道を決め、幕臣としての務めを得る。「後に北町奉行、遠山金四郎景元として名を残した」というナレーションの一つも欲しいところだ。堀田けいも目論見どおり金四郎の妻になる。

 三助もかぐ庵の女たちから鼠小僧だと認められて、ようやくみやの心を物にすることができた。だが、幸は一座を連れて江戸を出て行くと次郎吉に語る。二人は惚れ合っているんじゃないかと思っていたが、幸はあやめの背中を押すのだ。賞金首の鼠小僧はいつ捕まって死罪になるかわからない。だが、目明かしの娘と夫婦になれば、次郎吉はもう鼠はやらないだろう。幸のそんな思いが見える。

 「梅は咲いたか、桜はまだかいな」と小唄を歌って、次郎吉とあやめが春を待つ場面で幕となる。

★テレビドラマばりのエンドロール付き

 これでおしまいと思ったら、この先がまだあった。最後はテレビドラマばりの映像によるエンドロール、しかも北翔海莉の歌う演歌版の主題歌付き。それが終わると洋楽+日舞のフィナーレ、そして幕が降りた後のアナウンスまで。もうやりすぎじゃないかと思うくらい畳み掛けてくる。でも、私はこういうのは嫌いではない。

 大衆時代劇の王道を行くストーリーを、宝塚らしく魅せる。その試みは見事に成功していたと思う日舞の振り付けを洋楽に乗せて踊るフィナーレ場面の華やかさも素晴らしかった。主演の北翔は日舞も上手かった。三味線といい日舞といい、かなりの年月をかけて精進したのが見てとれる。やはり芸のある役者は説得力がある。新春早々、いいものを見た。


【作品データ】宝塚花組公演 OH! Edo Night Show「風の次郎吉−大江戸夜飛翔−」は、作・演出 齋藤吉正。2015年1月4日〜12日に大阪・梅田芸術劇場シアタードラマシティ、1月21日〜26日に日本青年館大ホールにて上演。主演は専科の北翔海莉。

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