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推しのいる日々ーその24 推しと迎えた2022年、Papago入れました

 わが愛する推しK-POPアイドルK君☆(仮名)から新年のご挨拶状が届いた。昨年10月に思い切って日本のファンクラブに入会して以来、初めてもらった郵便物だ。グッズもCDもDVDも買わない主義なので私の手元にはK君☆のトレカは一枚もない。このご挨拶状が「生まれて初めて手にする推しのブツ」ということになる。

 グッズやトレカは私には不要と思っていたはずなのにこの気持ちはなんだろう。ムフフフと変な笑いがこみあげてくる。ああ足元が不安だ。またズブズブと沼に嵌っていくのだろうか。

 K君☆は人気K-POPアイドルグループのメンバーの一人だ。容姿端麗、眉目秀麗、手足がスラリと細くてダンスの名手、笑顔がチャーミングでとってもオシャレさんで、その上動物好きで優しくて真面目でお茶目、もう非のうちどころのない素晴らしい青年だ。

 ファンは彼を「私たちのサンシャイン」と呼ぶ。そう、彼は陽光のようにいつも明るく輝いて何かというと暗く落ち込みがちな私の心を照らしてくれる唯一無二の存在だ。

 さて、ご挨拶状はグループのメンバー全員写りのお写真(推定撮影時期は昨年10月下旬、最年少メンバーJK君の髪が緑だからちょうどソウルでオンラインコンサートが開かれた頃だろう)で、裏にはメンバーひとりひとりの手書きの日本語メッセージとサイン(全部印刷)が入っていた。

 「日本語メッセージとサインのみ」というのがなかなか痺れる。「名前書いてなくてもファンならサイン見れば誰が書いたか分かるでしょ」という非常に強いプレッシャーを感じる。「本名でも芸名でもなく愛称だけで誰の話してるか分かるわよね」という宝塚ファンの世界と同様、K-POP界隈においてもファン道は厳しい。たゆまぬ努力と持続的学習が要求されている。

 K君☆のサインだけは私にもすぐに見分けることができた(悪いけど他のメンバーのサインはまだ無理)。彼からの手書きメッセージは「明けましておめでとうございます!みなさんにとって明るくたのしい一年になりますように。ことしもよろしくおねがいします:)」というものだった。

 礼儀正しいK君☆らしい、いかにもな年頭のご挨拶だ。ただ、さすがに韓国の人だからひらがなが多いし筆跡は拙い。ひらがなの「い」の字が極端に右上がりなのが特徴的、と私は自分の頭にインプットした。

 そんなK君☆は相変わらず長い休暇の真っ最中だ。が、この時期に休むことは相当前から予定されていたらしく、コンテンツの供給は相変わらず途切れることなく続いている。

 ファンの間で今もっともホットな話題は「ARTIST-MADE COLLECTION」と題したメンバー自身が企画・デザインしたグッズの販売で、それをアピールするテレビショッピング風の動画が連日公開されている。グッズはアパレルだったり、雑貨やアクセサリーだったり、文具だったりと様々だ。

 でも、私が一番驚いたのは彼らがこのテレビショッピング風動画を撮影したのがなんと昨年の夏だということだった。動画に登場したK君☆の髪色と彼のこの時期の仕事量から推定するとおそらく八月頃じゃないかと思う。私たちファンには見えないところで密かにグッズを企画して、何ヶ月も先に公開する映像の撮影を着々と進めていたかと思うと事務所もよく考えている。アイドルというのは本当に働き者でなくちゃつとまらない。

 公式にはこうした「以前仕込んでおいた映像」を小出しにネットに流しつつ、ご本人たちはのんびり休暇を過ごしているはずなのだが、ファン思いで仕事熱心なわが推しK君☆は毎日のようにInstagramに写真をUPしたり、事務所のSNSでファンの質問に答えてみたりと休暇中にもかかわらずちょこちょこと姿を見せてくれる。実に有難い。有難すぎて本当は仏様の化身なんじゃないかと思うくらいだ。

 最近はどうやら毎日のように作業室に通って明け方まで曲作りをしているらしい。自分の仕事を愛し、楽しみつつも周囲への感謝を忘れず自らに課した義務は怠らず粛々と遂行する。K君☆ならどんな仕事についても成功に恵まれたことだろう。

 そんな努力家の彼もSNSの書き込みはもっぱら韓国語だ。しかも彼は擬音語や擬態語を多用するのでSNSの翻訳機能では意味不明なことも多い。そういう時は仕方なくTwitterで韓国語の得意な人が解説してくれるの待つのだけれどタイムラグがなんとももどかしい。

 というわけで、私もこの冬ついにスマホにPapagoを入れました(パチパチパチパチ)!

 PapagoはK韓国の大手ポータルサイト「ネイバー」の運営会社が提供する翻訳アプリだ。「K-POPファンの推し活必須アプリ」だと言われていることは知っていたけれど、実際に使ってみてあまりの便利さに私は舌を巻いた。

 画像翻訳機能というのがついている。SNSの画面をそのままパチリと画面コピーして「Papagoで翻訳」というメニューを選ぶだけ。お手軽かつスピーディーに韓国語のメッセージを日本語にしてくれる。時には手書き文字まで拾ってくれるし、韓国語→日本語の翻訳の精度はGoogle翻訳よりも良い。

 K君☆たちのグループのメンバーも休暇が長期になってきたせいか、最近はInstagramに投稿するネタにも困っているようで、Netflixの動画やテレビ番組の1シーンを撮ってそこにちょっとしたメッセージを書き加えるなんてことをよくやるのだけれど、こういうのもPapagoならたちどころに翻訳できる。なんだか素晴らしい秘密兵器を手にした気分だ。

 愛する推しの言葉を見逃さない。まずはこれを私の2022年の抱負としたいと思う。

 冷静に考えるとまったく今年も先行き不透明ではあるのだが「それでもなんとか生きていける」という根拠レスな自信を与えてくれるK君☆に私は今年も愛を捧げる。

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