東京宝塚劇場スイーツランキング
宝塚歌劇とスイーツは似ている。甘く芳しく、おとめ心(&元おとめだった女性たちの心)を惹きつけてやまない。だから、というわけではないけれど、私も宝塚を観る時だけは幕間にスイーツをいただくことにしている。それはもはや観劇の一部なのだ。
そんな私が勝手に選んだ「東京宝塚劇場内で食べられるスイーツ」ランキングベストスリーをご紹介しよう!
★第3位 公演デザート
「公演デザート」とは、各公演ごとに発売される限定スイーツのこと。最大の特徴は、公演にちなんだ少々駄洒落気味のネーミングにある。例えば、2016年2月末現在の公演デザートは上演中の宙組公演の「ダイナミック・ショー HOT EYES!!」にかけて「ダイナミック・シュー ホッと♡パイズ」(410円)。チョコムースの上にシューとパイが載っているというもの。
私が最初にこの公演デザートを食べたのは、「ファントム」(2004年宙組)の時だったと記憶している。コーヒーゼリーの上に金箔の仮面が載っているだけのスイーツとしては比較的シンプルなもので、名前も「ファントムゼリー」といたって普通だった。
現在のように毎公演凝った名前が付けられるようになったのはいつからかを調べてみると、どうやら再々演「ファントム」(2011年花組)の公演デザート「ランランパリジェンヌ」がその先駆けらしい。当時の花組トップコンビは蘭寿とむ&蘭乃はな。二人合わせて「ランラン」コンビと呼ばれていた。
この駄洒落ネーミング、最近ではすっかり宝塚ファンの間に定着した。初日が近づくとTwitterには今度はどんな名前のデザートが登場するのかを予想する書き込みが見られるほどである。
だが、凝った名前の割にどの公演の限定デザートも傾向はよく似ている。二層のムースやゼリーの上にソースをかけて、その上に生クリームとちょっとしたアクセントのクッキーやフルーツ、チョコレートなどが載っている。演目が日本ものだと、小豆や抹茶味のフレーバーが使われることもある。
注文はは2階の喫茶・ラウンジ「Cafe de Repos」で。長ったらしいデザート名を告げなくても「公演デザートください」で通じる。ただし、公演初日から数日はあっという間に売り切れてしまうので要注意。確実を期すなら開演前に食べるか、あるいは開演前に予約して幕間に受け取ると良い。
★第2位 カルーアソフトクリームゼリー
「公演デザートは一度は食べることにしている」という宝塚ファンは多いが、これには当たりハズレがある、というよりハズレも頻繁にある、と言った方が正確だろう。味や香りが今ひとつだったり、ボリュームが足りなかったり、自分の好みに合わなかったり、といったことはママある。
そんな時、東京の宝塚ファンは気を取り直して「定番」に帰る。東京宝塚劇場の定番スイーツとして、宝塚ファンに絶大な人気を誇るスイーツ、それが「カルーアソフトクリームゼリー」だ。
カルーアというのはコーヒー豆から作られるリキュールのこと。カルーアソフトクリームゼリーは、カルーアを使ったコーヒーゼリーにバニラ風味のソフトクリームが載っていて、さらにゴーフル風の薄い三角のクッキーが添えられている。コーヒーゼリー、ソフトクリーム、クッキー、この三種のバランスがほどよく、最後まで美味しくいただける。ゼリーが甘すぎないのもいい。
しかも、お値段も380円と非常にリーズナブルだ。コストパフォーマンスを考えると公演デザートよりお得かもしれない。名より実を重視する方にも自信を持ってお勧めできるスイーツである。
こちらも2階の「Cafe de Repos」で購入できる。幕間に観察すると、結構な数の人がカルーアソフトクリームゼリーを購入していくのが分かる。ソフトクリームがチョコレート味の「モカソフトクリームゼリー」というバリエーションもあるのだが、やはり「カルーアソフトクリームゼリー」の人気は揺るぎない。東京宝塚劇場に来たら、一度は食べておきたいスイーツだ。
★第1位 TOKYOどらロール
TOKYOどらロールはその名の通り、ロール型のどら焼き。黒糖風味の薄めの皮の内側にはあんこ、そのさらに内側にはマーガリンが入っている。箱から出して、その周囲を包むフィルムを剥いて一口かじると、優しく、そしてどこか懐かしい甘味が口の中に広がる。パッケージや見かけこそ愛らしいけれど、宝塚歌劇がかつて温泉の余興として誕生したことを思い出させてくれるような庶民の味である。
売っているのは「Cafe de Repos」のある2階から2フロア上がった4階ロビーの売店。4階ロビーは2階S席、およびA席、B席への入り口に当たるため、学生さんや団体さん、何度も観劇するディープなファンの利用も多く、売店にはおにぎりセットや肉まんといった食事メニューからプログラム、お土産品、ちょっと小腹を満たしてくれるお菓子類まで豊富に揃っている。
そんな売店のカウンター上でひときわ目立つ大きな冷蔵ケース。上段に並ぶ白く細長いのはスティック型のチーズケーキ、下段の紫の小箱に入っているのがどらロールである。お値段は1つ150円。気軽に買える金額なのは本当に嬉しい。
どらロールはコーヒーにも紅茶にも日本茶にもよく合う。寂しいぼっち観劇のときも、お芝居が憤慨するほどつまらなかったときも、ただ口寂しいときにも、どらロールは必ずあなたの心を癒してくれるはずだ。あなたが「あんこ嫌い」でさえなければ。
(最後に、TOKYOどらロールが東京宝塚劇場限定のスイーツではないことを注記しておく。実は、シアタークリエの売店でも買える。が、チケットを持って劇場に入った人しか買えない点は東京宝塚劇場と同じである。)