推しのいる日々ーその28 推しがコロナにかかった
推しがコロナに感染する、その可能性があることを忘れていたわけではない。韓国はこのところ連日ものすごい人数の感染者が出ているという。国民の五人に一人くらいの割合らしい。K-POP界隈でもどこそこのグループの誰それが感染したというニュースが次つぎと流れてきている。そんな状況なのだから。
私の推しであるK-POPアイドルK君☆(仮名)の所属するグループでも、昨年末から相次いで五人に陽性反応が出ていた。もっともその時期彼らはずっと休暇中だったし、陽性反応がでたメンバー全員が無事に復帰して三月上旬には韓国でのコンサートもやりきっている。
K君☆はとても真面目で几帳面な人だし、誰よりもコンディション管理には気をつけている人なので、彼がコロナにかかることなんてないのだと、私はいつしかそう思い込むようになっていた。
が、無情にも彼は最悪のタイミングで感染してしまった。
事務所によれば「喉の痛み以外に症状はない」「自宅で療養中、回復次第渡米してスケジュールに合流する」ということだったが、陽性が判明した時点で約10日後に迫ったグラミー賞のラスベガスでのステージにはおそらく間に合わないだろう。昨年からあれほど楽しみにしていたステージに出演できなくなってしまった彼の気持ちを想像するだけで私も胸が潰れそうだ。
もちろんまだそうと決まったわけではない。だが、最悪を想定してそれに備えるというのは、私の大人としての知恵だ。
彼のコロナ感染に関して、日本のファンコミュニティの皆さんは「心配だ」「早く元気になって」といったとても穏やかな反応を示している。でもYoutubeを見ると、米国在住と思しき英語話者のYoutuberの皆さんからは「グループが4月のアメリカでのスケジュールを全面的にキャンセルするのでは」という観測も出はじめている。当然だろう。
そうだよなぁ、今は休暇中じゃない。メンバー同士毎日顔を合わせていただろう。一度感染しているからといって他のメンバーが絶対に大丈夫という保証はない。そんな状況で出国できるのか? 米国に入国可能なんだろうか。
K君☆はあれだけ熱心にやっていたインスタグラムの更新もこのところすっかりご無沙汰でずっとだんまりを続けている。ファンや他のメンバーに申し訳ないという気持ちがあるんじゃないかと思う。陽性反応が出てしまったことは仕方のないことで彼が自分を責める必要は全くないのだけれど、密かに一人で苦しんでいたりするかもしれない。
たとえそうだったとしてもK君☆はそんな姿を人には見せない。彼はプロだから。
それ以上に心配なのは「喉の痛み以外に症状がない」という事務所の発表がどの程度真実なのかが疑わしいことだ。というのも、十二月に陽性反応が出た同じグループのメンバーであるSさんが先日のVLIVEの時に、「実はあの時は症状が出て結構大変だった」と告白している。つまり、真実が包み隠さず発表されるなんてことはないのだ。K君☆の現在の健康状態を私が知り得る術はどこにもない。
拙い検索能力で調べたところでは、韓国では陽性判定がでてから一週間で隔離は解除されるらしい。彼がすでに回復しているならあと二、三日で外に出られるはず。でも、もしまだ症状があるのならそれがいつになるかはわからない。
ああなんてもどかしいんだろう。
そんな彼の最新の消息はメンバーがインスタグラムに投稿した写真に「いいね」をしたことだ。少なくともスマホでインスタを見るくらいのことはできる。高熱で意識がないとかそういう最悪の状況ではなさそうで少しだけほっとした。
どうか彼がこの自己隔離期間を大好きな猫動画とか見ながらのんびりと過ごしていますように。喉の痛みで苦しんだりしていませんように。できることなら望み通り夢の舞台に立てますように。
元気な姿を見られる日を心待ちにしつつ、私はただひたすら彼の回復を祈る。できることはそれだけだ。
K君☆の笑顔がなければ、私には生きていく甲斐がない。生きている意味もない。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?