汀(みぎわ)で、新しい仲間を募集します。
はじめに。
こんにちは。
株式会社KUUMA(クウマ)代表 濱部玲美(ハマベレミ)です。
今日は、KUUMAで運営している一見変わったレストランを一緒に創ってくれる新しい仲間を募集したいと、筆をとっています。
レストランの名前は、汀(みぎわ)。
まだ開業前に描いていた記事はこちら(開業1年を迎えいろいろ変化していますが、当時の熱い気持ちはそのまま。お時間あればぜひ読んでほしいです)。
2021年11月末にオープンを迎えて、ただいま2年目。まだほやほやのレストランですが、いろんな汀的な景色が生まれてきました。
汀(みぎわ)ってどんなところ?
「食とアートの交差点」を合言葉に、食べること、表現することを繰り返しながら、子どもも大人も、いろんな生き物も混ざり合って新しい景色を創っていけるといいなぁと、生まれた汀。
店名である汀は、水辺と陸地が混ざり合う場所を指す言葉。
汀は、満潮になれば水の生き物たちの住処になり、干潮になれば陸地に暮らす生き物たちの居場所になる。境界線はつねにゆらゆらと移りかわり、汀にかかわる生き物同士は、言葉が通じる通じないに関わらずコミュニケーションをしながらその場所を使いこなしていきます。それにより、汀は豊かになり、文化が生まれていったといいます(京都府立大学大学院生命環境科学研究科准教授 松田法子さんによる「生環境構築史」より)。
そんなこんなで、汀と命名したレストラン。その名の通り、場所としての定義が曖昧(画一的な機能に依存しない)で、いろんな生き物が混ざり合うことを大切にしています。
街を見渡せば、どんどん均質化され定義づけされた場所が多い、今。都心部のなかに、おいしい食を入り口としながら、様々な使い方ができる場所があれば、街はもっと楽しくなる、未来を担う子どもたちの居場所もできるのでは、と汀ははじまりました。
なので、汀で使う調味料は当たり前ですが基本的に手づくり。安心しておいしい食をいろんな世代に届けていきたいと思っています。
いろんな世代が愉しめる、ちょっと風変わりな内装
北野坂の交差点、古いレンガ造りのビルの1階に汀はあります。アーチ型のエントランスをくぐると、店内を見渡せるキッチンカウンターがあり、奥にはワインセラーと、ロフトにつながる階段。壁面一面の本棚を横目に階段をあがっていくと、奥に躙り口(にじりぐち)のような穴が。よっこらせっと、四つん這いになって入ると小さな部屋がお目見えします。小さな部屋は、そこについた小窓からレストラン全体が見渡せる特等席。階段は、座って本を読むもよし。ワイン片手に団欒するもよし。登ったり降りたりただただ遊んで過ごすのもよし。ときには、ここを舞台に音楽やダンスを、食事をしながら愉しむイベントを開催したこともありました。いろんな過ごし方ができる居場所になっています。
レストランは、街のなかの動かない場所。そして、ドアを開ければいろんな人が自由にはいってくることができる場所。だからこそ、ただお腹を満たすだけではない在り方を提案できるのではないか。そんな想いから、こんな空間が出来上がりました。
汀(みぎわ)で思う、これからの食の可能性。
食べることが大好きなんです。
急ですが。
そして、幼い頃から自然や生き物が、大好き。食は、そんな大好きなものたちの恩恵であり、日々それらとの接点になる存在でもあります。
リジェネラティブ、サスティナブルと世間で言われ、コロナを経て、食の在り方は世界的にどんどん見直されてきています。毎日に欠かせない接点であり、生きていく上で必要不可欠なもの。それだけではない、食の可能性があると思うのです。
汀で実践していること、そして一緒に表現していきたいこと、を紹介します。
1,自然を学ぶ教材としての食。
自然、そしていろんな動植物の恩恵である食は、生態系のなかでの人間の立ち位置を考える教材と言えます。料理のうしろに、どんな生き物がいるのか?どんな自然環境が広がっているのか?どんな生態系でつながっているのか?こんなことを考えていると、興味がとまりません。
汀で提供している料理に、『神戸六甲牛の生ジャーキー』があります。
神戸市西区の神戸牛牧場という肥育牧場で育った六甲牛。牧場に見学に行かせていただき、命をいただき尽くすことの大切さを実感して生まれた、六甲牛の生ジャーキー。ステーキで提供する芯以外の端っこ部分を無駄なく食べるために、うすくスライスして自家製ソミュールに漬け込み、燻製をかけます。燻製には、神戸で育った葡萄の木の間伐材を使用。神戸生まれの牛と葡萄が、料理でつながります。まだまだ書ききれない、料理のうしろにある、いろんな生き物や自然の話。学んでも学んでも、学ぶことは尽きません。
2,環境づくりができる、食
子どもも、大人も、人間以外の生き物も。多様な人たちが混じり合うための環境づくりとして、食はとても最適。食があることで、いろんな人がつながっていきます。例えば、アーティストを先生にむかえて開催した、子ども向けアート教室のとあるワンシーン。普段は飲食スペースであるダイニングフロアが、子どもたちのお絵かきスペースになりました。レストランから生まれた野菜の端材などを絵の具に、お絵かき。囲むように、大人たちはコーヒーやワインを片手に子どもたちの姿を愛でながら食事を愉しむ。子どもたちは途中、手作りのお菓子をほうばりながら真剣に表現を楽しみます。レストランの空間は、アートとともに、肩の力が抜けて混じりあう環境に変わっていきます。食は、そこにいる人たちを柔和してくれるチカラがあるのかもしれません。
3,食は、クリエイティブを愉しむ共創手段
共創手段としての食。表現者でもあると考える料理人は、いろんな分野との共創が実現します。汀では、定期的にアーティストやクリエイター、生産者さんたちと一緒にイベントを開催します。どのイベントにも料理は重要。コンセプトにあわせて、料理でどうコラボレーションするか。そんな実践を日々愉しむことができる場所です。
ここでも、ひとつ事例を。
虫たちを観察し、探求し、ともに過ごすことから見える”造形“や”生態“、”思考“を形にするジュエリーブランド『hunch』 のレセプションパーティを、汀で開催したときのワンシーン。
ジュエリーのテーマにちなんで、虫たちが普段食べているものや暮らしている環境からインスピレーションを受け、汀の料理人たちが趣向を凝らした料理を提供しました。
提供した料理のうちの数品をピックアップ。
まずは、オオモモブトハムシ。豆科のクズを主な食草とし、2006年以降に発見されている日本のオオモモブトハムシは、クズの茎に産卵し幼虫になるとクズの蔓にゴール(虫こぶ)を作り、ここで冬を越すといわれています。クズがマメ科であることから、豆料理として、ひよこ豆フムスのクロスティーニが登場。
次は、ゾウムシ。その名前の通り、長く伸びた口もとをしているゾウムシ。とにかく食いしん坊で、花の奥にある実や種、枝の中までも食べるのだそう。食べやすいように口の先にあごのある細長い口もとで咀嚼をしているんだとか。米びつをあけるとたまに登場するゾウムシは、コクゾウムシ。お米が大好きなゾウムシにちなんで、牛ラグーのアランチーニ(ライスコロッケ)。
最後は、バイオリンムシ。男性の握りこぶしほどの大きさながら、体の厚さは5mmほどの薄さのバイオリンムシの薄い体は、木の隙間に隠れるのにとても便利。木に生えるキノコであるサルノコシカケの隙間にも入り込み、キノコをやそこにやってくる虫も食べます。
隠れ家であり食べ物であるキノコのお料理として、平茸の香り衣フリットが生まれました。
汀の2階には、薪を熱源とした完全予約制のリストランテerre
夫である濱部隆章さんは、同ビル2階にあるリストランテerreのオーナー。
開業当時から、コンセプトを一緒に相談しながら、ときには一緒に生産者を訪ねたり、海外料理視察に行ったりする、良きパートナーです。
開業6年目を迎えるリストランテerre。季節ごとに10皿以上のコース料理を丁寧に仕上げるレストラン、そして料理が大好きなチームです。
やる気や実力次第で料理の相談やコラボレーションも。ぜひ良い刺激をしあえる仲間になれれば嬉しいです。
そして、汀を運営する企画編集を行うKUUMA(クウマ)とは。
あらためて、自分は神戸で企画編集会社を経営してます。
食、教育を軸に様々なメディアを生み出します。普段から多くの生産者やクリエイターと協働することが多いため、汀でも定期的にイベントを開催しています。
形にしてみたいアイデアがあれば、ぜひ一緒に実現していけると楽しそうだなぁ。
一緒に働きたいと思う人。
最近、大学で講義をさせてもらうときに、次の世代に伝えている言葉が、「こうでないといけない、をとっぱらって考えてみる」。
知らず識らずにしいてしまっている自分のルートや誰かの姿。
もちろん真似ることから学べることは多くあると思いますが、自分だったらこうするなぁ、こんなふうになればいいのになぁという気持ちを大切にもっている人と一緒に新しい景色を見ていきたいと思います。
さぁ行ってみよう、求人概要。
シェフ候補と、マネージャー候補と汀の中核を担う人を探しています。
社員でも、アルバイトでも、複業スタイルでも。
ちょうどいま求人サイトに掲載中ですので、求人概要はこちらをご覧ください。
余談。
最後まで読んでくださった方は、本当にありがとうございます。
長くなりましたが、チーム作りってほんとうに大変で難しいものですね。でも、だから面白いんでしょうね。
それぞれの働き方、それぞれの暮らし方、それぞれの大切にすること、それぞれの体力、みんな違うけれど、どうせ一緒にやるなら、一緒に見てない景色つくっていけるといいなぁと思います。
ちなみに、わたしは汀にずっといません。
オフィスでカタカタ、かきかき、プランニングしてたり、文章描いたり、打ち合わせしてたり、外に取材してたり、とすることが多いです。
汀をぐいぐい引っ張っていってくれる人をリスペクトしながら、刺激しあって、共創していけると嬉しいです。
2023年があけまして、2週間ですね。
今年もいい感じにヒリヒリしていきそうです。
ハマベレミ
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