3月の午前6時
先日、会期も終わりに近づいた「インゲヤード・ローマン展」を見るため、国立近代美術館工芸館を訪れた。
タイトルは、展示の中にあった作品名だ。
ワシントンDCのハウスオブスウェーデン(スウェーデン大使館)にある、溶けはじめた氷の表面を想起させるようなガラスのアート作品で、今朝乗った電車の結露した窓にも似ていた。12月の午前9時。
インゲヤード展は自然光の入る展示室の中、ガラスやセラミックの器が囲いのない平らなテーブルに並ぶ、すばらしく贅沢な空間だった。
ところどころにインゲヤード本人が語るインタビュー動画があった。
例えば、代表的な作品であるカラフェとグラスのセットは、群島での思い出から派生したものであるとか。柄杓から直接飲みたくなるくらい、冷たく澄んだ水。それを再現するかのように、冷蔵庫から出したばかりの水をカラフェの上のグラスに注いで飲む。
扱いにくいと苦手意識のあった天然素材に取り組んだ頃を振り返り、原因は素材にあるのではなく、自分の力が足りないのだと言う姿がかっこよかった。天然素材の作品も当然すてきだったことは言うまでもないだろう。
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