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設計実務時代、木造耐震補強事業で、設計者が利益をあげられる仕組みを考案した話。
こんちは。
アーキテクチャーフォトの後藤です。
今日は、少し話を遡って、私が設計の実務に携わっていた時代の話を書いてみたいと思います。
私が勤務していた設計事務所は静岡県にありました。静岡県と言えば、東海地震に備えて、色々な場面で防災に意識の高い地域として知られています。
木造住宅に関しても、耐震診断や耐震補強に関する意識が高く、行政からの補助金制度が整っています。
また建築士会が、行政からの委託をうけ、無料で耐震診断を行うという仕組みも構築されています。
事務所があった市では、「昭和56年5月31日以前に建築工事を着手した在来工法の木造住宅(併用住宅を含む)で、危険と判断された住宅」が補助金の対象となっていました。
私は数十件の在来木造の耐震診断や耐震補強計画の作成、工事監理を行いました。その大部分は先に書いた行政の補助金事業を利用して行われるのですが、その提出物は行政によって異なっていました。
事務所のあった市は、近隣と比較しても非常に厳しく、耐震補強個所の、工事前・工事中・工事後の写真を全個所撮ることが求められました(筋交い・構造用合板の釘ピッチ・金物のボルトの数など、写真に撮れていないと設置したと認められないのです)。
このように、補助金に関する報告書類の制作業務は膨大でした。
この作業を、施工者の監督に任せて、設計のみに集中するということをやるということも可能で、実際にそのようにした事務所もあったようです。
私の事務所では、代表が懇意にしていた大工の一人親方のような方がいたので、その方に施工を相談することが多く、工務店と相見積りをとって価格を安く見積もってくれた方に頼むということを行っていました。
建築関係者の方ならご存知の通り、一人親方が監督と大工を兼務して施工を行う場合の見積りと、しっかりと現場監督が一人ついて、その下に職人を手配する場合では、その施工費の見積りは大きく変わります。
結果として、ほぼ全ての施工を、その一人親方にお願いする形で補強をしていました。
その業務に関する設計・監理料ですが、耐震補強のみの場合施工費がどうしても、それほど大きな金額にならないので、最初のころは、その金額もかなり小額(数十万円台の前半の方くらい)で見積もっていました。施工費に対して、それくらいの費用くらいしか認められないと思っていたのです。
しかし、一人親方が施工を担当する場合、現場での記録等を任せるのが難しく、設計者が何度も通って、記録したり、施工個所の最適な施工方法を指導したり確認したりする機会が非常に多く、「数十万円台の前半の方くらい」の金額で受けるのは難しい仕事だなと感じていました。
そこで、私は、実際の施工費と、設計・監理にかかる実務内容を明確化し、その業務の費用と、施工費の合計を出したうえで、クライアントに判断を委ねるという仕組みを考えました。
この仕組みを導入してから、今までの数倍の設計・監理料の見積りを出しても、クライアントにはすんなり了承していただくことができるようになり、実際の実務にもより充実して取り組むことができるようになりました。
以下に、その具体的に仕組みを書いてみたいと思います。
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