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建築コミュニティの中で、建築家の心情を理解したタイル会社として活躍するーー水野製陶園ラボ・水野太史さんの試み
今日は、大学の後輩でもある、水野製陶園ラボ・水野太史さんの活動を長らく拝見して感じたことを書いてみたいと思います。
水野さんは、建築家として自身での設計活動をする傍ら、タイルやレンガを取り扱う会社「水野製陶園」の一員として、「水野製陶園ラボ」という活動を立ち上げ、活動しています。
水野さんの会社が扱うレンガは、過去に坂倉準三や吉村順三が自身の作品にも採用したという歴史も持っています。
学生時代の水野さんの活動もアグレッシブです。
詳しくはこちらの書籍にも寄稿されているのですが、大学時代に親族が地元に集合住宅を建てるという話を聞き、大学を休学し、ほぼ実務経験のないまま、その設計に取り組み、様々な苦労を乗り越え、実作として実現させています(その作品は、地元で話題の、皆が住みたいという集合住宅になっているそうです)。
また、地元・常滑で独立されてからも、自身の住む町の都市計画に関する提案をつくり、市長にその提案を持ち込んでプレゼンしたこともあったと聞きました。
そのような建築家として活動する水野さんが、並行して関わっていた水野製陶園での活動を「水野製陶園ラボ」という専門のウェブサイトを立ち上げ、本格化させる様子を色々と見てきました。
水野さんは、当時、様々な場所に、実際のレンガを持ち歩いて、その商品の良さを周知していました。ある時は、浜松の建築家の集まる飲み会に、その場で誰かが、電話したところ、常滑からすぐさま駆けつけたりもしていました(凄い行動力です)。
そんな水野さんの人柄と、つくっている製品のクオリティの高さから、関西を中心に様々な建築家が、水野製陶園のレンガを作品に使用する、という面白い現象が起こっています。
木村松本さんなどは毎回その作品の外構の一部として、レンガを使用しているほどですし、UME architects / 梅原悟さんも、その作品に大胆に、このレンガを使用しています(アーキテクチャーフォトで紹介させてもらったページはこちら)。
この水野製陶園ラボの普及・活躍には、水野さんが、自身が建築家としても活動をしていて、建築家の心情を非常に理解した上で、レンガを紹介していること、そして、建築家のコミュニティの中において、(おそらく)唯一のタイル会社であったということが大きいと思います。
水野さんは、もちろんそれを狙っていたわけではないと思います。しかし、結果としてその構造が、水野さんにタイルやレンガを依頼するということに寄与しているのは間違いないでしょう。
建築業界を見渡すと、建築家の心情を理解して少し、建築家とは異なる活動をしている人たちがいます。
その世界特有の心情や、作法を理解して、その中で、他にはない立ち位置で存在するということは、価値があると思っています。
長らく、水野さんの活動を紹介してきましたが、この水野さんの立ち位置のように、建築家の立場で、違うコミュニティに属するということも可能なのではないか、とふと思いました。
説明していきます。
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