2021年を振り返る③
3回目に到達してしまったこのシリーズ。アーキテクチャーフォトのビジネス的な側面でもトライがあったなと思い返し、少し綴ってみたいと思います。
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アーキテクチャーフォトでは、様々なマネタイズの活動もメディア活動として並行して行っており、それがあるからメディア運営が続けられるという、相互関係で成り立っているという背景があります。
サイト運営の方向性は色々と考えることがあって、一時はサイト全体を有料コンテンツにしてしまった方が良いのではないか?と思った時期もあったのですが(2010年代中盤くらい)、古書を販売したり、バッグを販売したり、広告を出稿して貰ったり、求人を出稿して貰ったりと、色々な手段をトライする中で、今に繋がっています。
今思うと、コンテンツが無料で閲覧できるという仕組みを続けてよかったなと思います。恐らく、2010年中盤というのは、ネットでの有料コンテンツが受け入れられない社会状況だったとも思いますし、なによりネットメディアらしくなと思うんです。
2003年にネットでの発信を始め、2022年には19年目を迎えているわけですが、色々なコンテンツがフリーで発信されて、それがリンクでつながる、というのは、インターネットのすばらしさの根幹にあるものだと思うんです。
ぼくは、常々、アーキテクチャーフォトは、インターネットから生まれたメディアであって、メディアが手段としてインターネットを使っているというわけではないと自負しています。
後者の「手段としてインターネットを使う」というのは、2020年前後に出てきたメディアをみるとそれは顕著だと思います。もちろん批判しているわけではないですし、ネットが通常インフラとして定着したからこそ、ビジネスにネットを活用していこうとする企業が増えるのは当たり前です。
そんなスタンスの企業を数多見ていますが、アーキテクチャーフォトは、ネットから生まれたメディアとして、ぼくが2000年前後に感激したネットのすばらしさを持ち続けるメディアでありたいと思っています。
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話が少しそれましたが、アーキテクチャーフォトのビジネスの側面でも、色々なトライがありました。
その一つは、二つの大きな企業さんとコラボし、コンテンツを作成したことです。ご存知通り、2021年には、リコーさんと日本ペイントさんとコラボレーションを行いました。
僕からすれば、本当に素人が0から始めたメディアが、日本を代表するような企業さんとコラボできたということは身に余る光栄ですが、それを後押ししてくれていたのは、弊サイトの地道な活動を見てくれていた実務者の皆さんでした。
やはり依頼をくれる企業の皆さんも、そのメディアが依頼するに値するところであるかどうかリサーチをかけるようでして、実務者の方々にヒアリングしてくれる中で、多くの方がメディアとして、アーキテクチャーフォトを押してくれていたようなのです。
これは本当にありがたいなと思いました。特にぼくは設計実務に関わってきた期間も長いですし、やはりその方々に届くメディアでありたいとも思っているので、そのような読者の方々が押してくれたというのは凄く有難かったです。
そんなわけで、リコーさんと日本ペイントさんの企画でコラボすることになりました。
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最初に書いておくと、これはコラボレーターの皆さんの協力がなければ成り立ちませんでした。特に編集者の矢野優美子さんと中村謙太郎さんの協力なくしては成立してなかったと言ってもいいです。本当に感謝です!
ここまでガッツリ企画から綿密にやり取りするケースは初めてだったこともあり、企画提案から現地インタビュー、出来上がったものまで、全てに目を通していたのですが、これが通常のメディア運営と重なったり、弊サイトの法人化のタイミングと重なり、なかなかに大変でした(笑)。
例えるならば、設計者の皆さんが、お施主さんの為にすべてをカスタマイズした住宅や建築を設計するように、企画全てをカスタマイズすべく、取り組みました。結果出来上がった特集記事は、我々の「作品」と言って良いものになったと思っています。
これは素晴らしいことだったなと思います。
ここで自覚されたのは、アーキテクチャーフォトというメディアが、僕自身が長年一人で手掛けてい他メディアだったこともあり、全てのコンテンツに目を通さないと気が済まないところがあるんだなと改めて気づきました。
例えばですが、完全に場所貸しのような感覚で、他者の編集者やライターが作成したものを載せるという選択肢を取れば、労力もかけずにお金を稼げるのは明白です。
というか、ほとんどのメディアは、そういう感じで運営されており、様々な関係者の作成物をまとめて一冊の媒体として完成するんだと思うんです。
そう考えると、全てに一人の編集者の目が入っているコンテンツを載せ続けるアーキテクチャーフォトの方が異常な訳です。笑
ここの拘りを手放すことでサイトがスケールしていくだろうという自覚は僕の中にもあるんです。でも、今はですがそれはなんとくなく気持ちが悪いんですよね。
やはり背景にあるのは、常日頃交流があるアトリエ事務所の皆さんの仕事ぶりに降れているというのが大きいんだと思います。一つの作品に、本当に魂を込めている。そんな姿勢をまじかで拝見しているからこそ、僕もそれぞれの記事に手を抜けなくなっているんだと思います。
STUDIO MOVEさんだったと思うのですが、アーキテクチャーフォトを「アトリエ事務所に最も近いメディア」とSNSに書いてくれたことがありました。これは何かジンとくるものがありました。
メディアなので、一線を引いて皆さんと交流しなければいけないのは前提なのですが、そうやって、皆さんと同じようなパッションを持ったメディアであると、伝わっているのだなと感じたのです。
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長々書いてきましたが、2021年は、今までに大切にしてきたことを守りながら、色々な人たちに参画してもらい、少しづつですが、サイトの在り方を変えていければとも思っています。
ぼく一人ではできなかったことが、皆さんとのつながりやコラボによって実現出来るという感覚が芽生えたのが2021年だったように思います。2022年のアーキテクチャーフォトの飛躍も是非ご期待ください(といっても地道にがモットーです。笑)。
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