神奈川優勝で終わってしまった夏の続きを(東海大相模高校OB 山中裕平インタビュー)
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憧れの縦縞と共に甲子園へ
――野球を始めたきっかけについて教えてください
自分が野球を始めたきっかけは、兄が元々野球をやっていて、その付き添いで通っていて、その影響を受けて野球を始めました。
――チームに入られたのはいつ頃でしたか?
年中くらいの頃からずっと付いて行っていて、そこから流れで気が付いたらチームに入っていたという感じです。
――東海大相模高校への進学を決めた理由を教えてください
自分自身、甲子園にすごく行きたいと思っており、色々な高校からオファーをいただいた中で、甲子園に一番近いのは東海大相模だと思っていました。また、縦縞にも憧れがあったので、東海大相模に進学を決めました。
体力的にも、精神的にも厳しいメニューをこなして
――甲子園を目標としていた当時の練習に対する思いなどを教えてください
自分たちの1個上の代も夏の甲子園に出場しており、自分たちも甲子園に出場したいと思っていました。日本一が目標だったので、日本一を掲げてやっていく中で、毎日これでもかというくらい1人1人が全力で野球をやれていたのではないかと思います。
――当時の印象的なエピソードなどがあれば教えてください
野球をやっている以上グラウンドでは上下関係はないので、後輩とぶつかったり、同級生同士でぶつかったりすることもありました。そういうことがあるからこそ、1人1人の思いの強さを感じられました。
特にこれといったエピソードは決められないのですが、ぶつかり合いながら切磋琢磨してやっていたことが印象的です。
――当時の記憶に残っている練習メニューなどはありますか?
夏場はほとんど決まった練習メニューなのですが、冬場は走り込みなどが多かったです。『地球走』というメニューがあって、校内を1周するというもので、それなりの距離があって階段の上り下りもあるということで結構きつかったです。冬場ということで気温も低く風が強いため呼吸もなかなかできませんでした。
ランニングは体力的な面でキツかったのですが、精神的な面ではマシンシートなどの実戦形式の練習がキツかったです。1打席1打席が自分のアピールの場になるので、メンタル面では実践練習の方がキツかったです。
オフも仲間たちと共に過ごす時間を
――山中さんは寮生活でしたか?
自分は元々通いだったのですが、コロナが流行し始めて甲子園がどうなるか分からないとなった時に、寮に入れてもらいました。約1か月の間、寮生たちと一緒に練習していました。
――寮生活をしていた頃のエピソードなどあれば教えてください
野球はいつも通りにやっていたのですが、寮だと通いと違ってチームメイトと一緒にいる時間が長かったです。基本的にオフの前日などは後輩が自分たちの部屋に来て、一緒に遊んだり携帯ゲームをしたりしていました。オフの中でも、家にいる時間と寮にいる時間は全然違うので、そういった時間が印象に残っています。
――選抜出場が懸かった秋季大会では関東大会ベスト4という成績でしたが、秋季大会について印象に残っていることはありますか?
目標は甲子園ですし、神奈川で1位になれないと甲子園も、日本一も届かないと考えていました。自分たちの代は2年生の頃から試合に出ている選手も多く、その選手たちが引っ張ってくれたので、自分たちはそれに乗っかっていくだけでした。なので、やりやすい面は多かったです。
――2020年の2月に春の選抜出場の知らせを聞いた時はどういった心境でしたか?
その時は室内練習場にいて、皆で選抜の出場校発表を聞いていました。ただ自分たちは聞いて待っているのも落ち着かなかったので、皆でバッティング練習をしながら神奈川の発表があるまで待っていました。
発表された時は目標が日本一だったので、日本一になれる機会を与えてもらったので嬉しかったです。
甲子園がなくなっても、神奈川県大会を信じて
――選抜中止の第一報を知った時はどういった感情でしたか?
正直高校野球に懸けていた面も大きかったので、なくなったと聞いた時はモチベーションも下がりましたし、このままコロナでまた大会がなくなったらということも考えました。高校野球をここまでやってきて自分たちの集大成がこれってなって、結構メンタル的にダメージもあり、しばらく野球の練習から離れて色々と考えていました。
――当時はまだ夏の大会の可能性は残っている状況でしたが、夏に向けてもう一度練習を再開したきっかけはありますか?
監督さんとコーチたちにグループを作っていただいて、そこで話し合いをしたり、個人個人でオンラインの面談をしたりしました。自分たちも気持ちが落ち込んでいる部分もありましたが、コーチスタッフ皆さんのお陰で夏の大会を信じて皆でもう一回やろう、日本一目指そうということで、もう一回立ち直って練習を再開しました。
練習再開できたのは監督さんたちのお陰だと思います。
――そういった中で、5月20日に夏の甲子園の中止も発表されましたが、この発表を聞いた時はどういった心境でしたか?
日本一を目指してやっていた中で夏の甲子園もなくなってしまい、どこに目標を立てればいいのかということも自分たちの中で分かりませんでした。甲子園がなくなってしまい、神奈川県大会も中止になるかもしれないということで、気が付いたら引退なのかもしれない、高校野球人生が終わってしまうと落ち込んでいた部分もありました。
――そういった中での監督の言葉で印象に残っている言葉はありますか?
監督さんたちからは「(神奈川県大会が)あることを信じてやるしかないでしょ」と言っていただいて、それもそうですし、ここまでせっかく自分たちも練習を頑張って日本一を目指してやってきたので、信じた方が得だと思います。
自分たちがやってきたものもあるので、監督さんたちにサポートしてもらいながら「神奈川県大会があることを信じて皆でもう一回やろう」ということでやらせていただきました。
3年生全員、そしてチーム全員で神奈川県1位に
――先程のお話しにもありましたが、各都道府県で独自大会開催の動きが進み、神奈川県でも開催されると聞いたときの心境を教えてください
やっぱり信じてよかったなという感じでした。自分は高校野球に懸けていた部分もあるので、そういった面でも大会があると聞いた時は凄く嬉しかったです。
――独自大会計7試合の中で印象に残っている試合はありますか?
独自大会ということもあり、監督さんも3年生全員をベンチに入れていただいて、集大成を皆で戦おうということでチームメイト一丸となってやらせてもらいました。日本一は無理でも、チーム全員で神奈川県1位に向けてプレーしました。
3年生皆で、そしてチーム全員で野球をやれたし、どの試合がというよりも、一番はそうやって皆でやれたことが思い出に残っています。
――決勝戦に勝利し、優勝を迎えた瞬間はどういった心境でしたか?
新たに立てた神奈川1位という目標を達成できて、それと同時に引退だったので、最後にいい形で終わることができたという気持ちもありながら、複雑な思いもありました。ただ、最終的には勝って終わることができたので、すごく良かったかなと思います。
夢の舞台での貴重な経験
――選抜の出場予定校が、甲子園交流試合という形で1試合ずつ甲子園で試合をすると聞いた時はどう感じましたか?
甲子園は高校球児にとっての夢の舞台なので、甲子園交流試合があると聞いた時は素直に嬉しかったです。
――試合では大阪桐蔭と対戦し、惜しくも敗れてしまいましたが、交流試合を振り返っていかがでしたか?
日本一になっていく中で大阪桐蔭さんは倒さなければならない相手だと思うので、そのような最高の対戦相手と甲子園でやれたことは凄く嬉しかったです。
自分自身はサポーターとして甲子園の中に入らせてもらって、そこでしか体験できないものも多くあったので、交流試合を開催していただいて自分自身もいい経験になりましたし、いい思い出にもなりました。
日本一を決める夢の舞台へ
――この「あの夏を取り戻せ」というプロジェクトについて聞いたときはどう思いましたか?
正直神奈川県大会で優勝して引退、その代わりも特にないと思っていたので、この話を聞いた時は素直に嬉しかったです。甲子園でもしかしたらできるかもしれないということで、神奈川1位になって良かったな、このようなプロジェクトがあって良かったなと思いました。
――最初は何も決まっていない状況でしたが、甲子園での開催決定、記者会見の実施、クラウドファンディングの開始と少しずつ進んでいく中で感じたことはありますか?
運営さんの中にも野球経験者ではない方もいらっしゃって、そういった方でも自分たちのために動いていただいて、お金も集めていただいて、すごくいい大会になるんじゃないかと思います。
最初の方はここまで行くと思っておらず、ただプロジェクトが立ち上がっただけで終わると思っていたので、こんなにいい形でお話が進んでいって、自分たちも凄く嬉しいです。プロジェクト自体も凄くいいものになると思うので、是非参加させていただきたいという感じです。
――このプロジェクトでの目標について教えてください
まずは高校卒業してから各大学に行って会えてない仲間もいるので、そういった仲間と会う機会を作ってもらったと思っていて、そういった仲間と合流してまた一緒に野球できるというのがすごく嬉しいです。個人的にはこのプロジェクトを通して皆で交流して、野球は勝たないといけないスポーツなので、皆で一丸となって勝てればと思います。
――最後に応援してくださってる方々へ意気込みをお願いします
自分自身は正直、神奈川県大会で優勝して終わりだと思っていたのですが、こうやってプロジェクトを開催していただいて、たくさんの応援してくださる方々のお陰で、自分たちも甲子園に行くことができます。
自分たちの目標は日本一だったので、日本一を目指す夢の舞台で開催ということで、自分自身も他のチームメイトもモチベーションが上がっています。支援していただいた以上は、自分たちも全力で野球を楽しみ、勝ちにこだわってやっていきたいと思うので、大会が終わるまでは東海大相模OBの応援もよろしくお願いします。
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