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『MONDAY MAGIC』Autumn seasonを全部生観戦した感想を振り返る


はじめに

2023年秋にスタートし、今やプロレスリング・ノアのブランドとして定着し始めた『MONDAY MAGIC』。

2024年春にシーズン3の開催が発表された『MONDAY MAGIC』だが、秋開催の今回は2nd seasonに倣った【3rd season】ではなく、【Autumn(=秋) season】という副題が取り入れられた。


Autumn seasonの日程は、2024.10.21、10.28、11.11、11.18、11.25の計5大会。
祝日だった11.4を除くと、私は毎週のように新宿FACEに通っていたことになる。

しかも、『MONDAY MAGIC』開幕前は、9.30&10.7新宿FACEに10.14後楽園ホールと、NOAHの通常興行が月曜夜に継続開催。
約2ヶ月間にわたり月曜夜のNOAH観戦が染み付いてしまった私は、これを書き終えた翌週以降の月曜夜をどう過ごそうか思案しているほどだ…。

中でも、9.30新宿FACEではカニエ・ウェストが御忍びで観戦に訪れていたこともあり、私は開幕前から早くも「月曜夜の魔法だあ!」とルンルン気分になっていた(笑)。


そんな今回の『MONDAY MAGIC』Autumn season開催にあたり、幾つかの変化がブランドに訪れた。


まず、これまで3,000~4,000円だったチケット代が、4,500円~5,500円と大幅に価格改定。
2nd seasonまで1大会のチケット代が最安3,000円で見れていたことを考えると、Autumn season5大会(4,500円×5枚=22,500円)で7大会分は見れてしまう計算になる。

今までの3,000円という価格設定が異常だったとしても、前売完売が当たり前だった『MONDAY MAGIC』で当日券が出る状況を見て、「チケット代は、現地に行く・行かないを左右する材料になり得るよなあ」と実感させられたのであった…。
(ほぼ当日カード発表の『MONDAY MAGIC』だと、値段の影響は分かりやすく出た印象)

とはいえ、価格改定は決して悪い事ばかりでも無かった。
何故ならば、南側奇数列中央の好位置が会場先行販売の段階で買えてしまったからである。これは、1st seasonや2nd seasonでは考えられなかった話だ。

だから私は、全5大会分を同じ座席位置から観戦することに決めて、チケットも会場でまとめ買いしてしまった。
(いいな、いいな、南側奇数列正面っていいな)


また、season1より『MONDAY MAGIC』の大会アンバサダーや中継のゲスト解説を務めていたファンキー加藤が、Autumn seasonと自身のソロツアーが重なった影響により、早々に登場しないことが発表。
(それでも、最終回にサプライズで出てきたのは流石!嬉しい!)


加えて、season1、season2で中心的な役割を担っていた『Good Looking Guys』も今夏に解散し、ジェイク・リーもNOAHマットから離脱…。


それでも、回を追う毎に人は増えていき、最終回では北側ステージ席と東側立見席を追加。西側カウンター席後方の通路にもパイプ椅子が1列増席されるなど、過去3シーズンで一番観客が集まる大盛況が生まれたのである。


様々な変化が訪れた『MONDAY MAGIC』Autumn seasonだが、全5大会を生観戦して感じたのは、過去2シーズンから変わることの無い会場の熱気と盛り上がりだった。

今回は、そんなAutumn seasonで得た秋の実りと、個人的感想について綴っていきたい。


①3シーズン目の積み重ねと信頼関係

団体問わず豪華メンバーが毎大会集結した1st season。


両国国技館ビッグマッチ『WRESTLE MAGIC』に向けて地力勝負が目立った2nd season。


そして、両国国技館で行われたビッグマッチ『WRESTLE MAGIC』。


『MONDAY MAGIC』というブランドの盛り上がりは、この過去2シーズン(+両国ビッグマッチ)で高まりを見せたが、【基本的にカードは当日発表】という法則は守りながらも、カラーリングやコンセプトは対照的だった。


そして、2024年秋に行われたAutumn season。
総括するならば、今まで積み重ねられた『MONDAY MAGIC』ブランドに対する信頼関係の強さを活かすシリーズだったと私は感じている。

極端な話、「『MONDAY MAGIC』の舞台なら、何が出ても会場は盛り上がる」という信頼関係を下にして、攻めのカードを切ってきた印象が強い。


そうした攻めの姿勢を感じたカードが、私の中で2試合ある。

EP3(2024.11.11)の『ケビン・ブラックウッドvsタイタス・アレクサンダー』によるWCP世界ヘビー級王座戦と、EP FINAL(2024.11.25)でメインを飾ったGHCヘビー級王座戦・『清宮海斗vsブライアン・ケンドリック』だ。


この2試合はタイトルマッチでありながら、【今のNOAHマットに馴染みの薄い選手】が一方にいるというシチュエーションで行われた。


前者の場合、王者のケビン・ブラックウッドは本興行も含めて(恐らく)NOAH初参戦で、しかもウェストコーストプロ管轄の王座戦は当日発表での実施。


この冒険的なシチュエーションを盛り上げたのは、タイタス・アレクサンダーの人気に他ならない。

『MONDAY MAGIC』でNOAH初参戦を果たした若武者は、2024年の『N-1 VICTORY』参戦を経てNOAHファンから人気を掴み取ったのだが、その積み重ねが攻めのカードで活きることになった。
どこか様子を窺いながら見ていた会場が、自然とタイタスコール一色に染められたのである。


当然、試合自体が素晴らしかったというのもあるけれど、初参戦のケビンや唐突な王座戦という掴み所の難しい状況が、タイタスの人気で一気に切り拓かれた。

仮に、このようなシチュエーションが1st seasonや2nd seasonで実現したとして、恐らくここまでの盛り上がりにはならなかった気がする。
それはきっと、『MONDAY MAGIC』から積み重ねたNOAHでのタイタス人気と、彼の信頼感無くして成立し得ない光景だったと私は思うのだ。


『清宮海斗vsブライアン・ケンドリック』も事前に告知されていたカードとはいえ、序盤は戦況を窺う空気が会場中に流れていた。


しかし、ケンドリックが清宮の首を攻め始めた辺りから、会場の空気は張りつめたものへと変化していく。


序盤戦は体格差を感じる場面があったものの、ヘッドロックを極める際の肘や顎の当て方を見て、ブライアン・ケンドリックのファイトスタイルに私は惹き込まれてしまった。

シンプルな攻めから、清宮にとって危険な場面を何度も作っていくしつこさは、王座戦ならではの緊張感を形成したのである。



大会後に知人と会話を交わしたタイミングで「小川(良成)さんの試合を思い出した。」という感想が出てきたのも納得だった。

嫌らしい攻めで追い詰めていくケンドリックに対し、清宮も同じ土俵で対抗すると、最後は"変型オガワマジック"とも言える4の字式エビ固めで王座防衛に成功した。


2nd seasonではGHCタッグ王座の挑戦者をオープンチャレンジ形式で募る展開もあったが、この時は本興行で出来ないような実験的要素が強かったのに対し、Autumn seasonで行われたこの2試合は「会場が盛り上がる」という団体側の確証と自信を感じずにはいられなかった。

この確信に基づいた攻めの姿勢こそ、3シーズン目の『MONDAY MAGIC』で結実した強みなのかもしれない。


②マンマジレギュラーが入れ替わっても不変だった盛り上がり

今回のAutumn seasonで起きた主なトピックを、個人的に纏めてみた。

EP1
・『ダガvs佐藤光留』
・拳王&永田裕志のタッグ登場

EP2
・マスカラコントラカベジェラ戦でクリストバル敗戦
・『佐々木憂流迦vs望月成晃』

EP3
・WCP世界ヘビー級王座戦『ケビン・ブラックウッドvsタイタス・アレクサンダー』
・GHC女子初代王者決定戦

EP4
・GHCハードコア王座戦『石川修司vs田中将斗』

EP FINAL
・『MONDAY MAGIC』で初のGHCヘビー級王座防衛戦開催
(清宮海斗vsブライアン・ケンドリック)


EP1で佐藤光留と永田裕志(新日本プロレス)、EP2で望月成晃(DRAGON GATE)と外部ゲストが登場するも、全体的にNOAH所属やレギュラー参戦組が中心のカード編成で、NOAH本興行とのリンクに重きを置く2nd seasonに近い印象を受けた。


ただ、Autumn seasonでは主要メンバーが入れ替わった。

その代表例が拳王だろう。
試合が組まれていない大会でもマイクアピールで登場するなど、2nd seasonまでほぼ皆勤の拳王だったが、Autumn seasonでは開幕戦のEP1でメインに登場するも、その後の4大会は試合出場も来場も無かった。



また、2nd seasonではGHCタッグ王者として、マミーブラザーズやメタルウォーリアーズの挑戦を受けたジャック・モリスも、新ユニット『TEAM 2000X』結成後のAutumn seasonでは一転して試合出場がゼロ。
唯一の登場機会も、NOAH本興行で抗争を展開している佐々木憂流迦のタッグマッチに乱入した場面だけであった(EP3)。



2024年秋に結成して以降、NOAH内でブーイングと注目を浴びつつあるヒールユニット『TEAM 2000X』だが、Autumn seasonではユニットで出揃う機会は1度も無し。

Autumn seasonではNOAH本興行で行う王座戦の前哨戦が複数組まれるなど、本興行との相関性は強かった一方で、売り出し中のヒールユニットが出ない結果は個人的に意外だった。


一方、拳王やジャック・モリスといったレギュラー陣と入れ替わるようにAutumn seasonを牽引したのは、NOAH所属の若手選手や外国人選手だった。

1st seasonでは豪華メンバーが集う反面、NOAH所属の若手が出場していないことを嘆く意見も聞かれたが、Autumn seasonでは大和田やカイ・フジムラ、宮脇純太の存在感が随所に光っていた。


中でも、2023年7月デビューの大和田侑はAutumn season皆勤賞を達成。
EP2では【敗者チーム同士によるカベジェラコントラマスカラ戦】が賭けられたタッグマッチでクリストバルから勝利を収め、EP4のメインで組まれたGHCヘビー級王座前哨戦では、主役の清宮海斗や杉浦貴を喰らう勢いでカイ・フジムラと熱戦を展開した。


極めつけは、EP FINALで実現した丸藤正道とのシングルマッチだろう。
大先輩とのマッチアップでも物怖じすることなく、素早い切り返しと機転を発揮する姿は、キャリア1年半に満たない若手とは思えぬ頼もしさすら感じた。



そして、外国人選手の活躍は『MONDAY MAGIC』Autumn seasonでも健在だった。

NOAH本興行ではあまり見られない外国人選手だけで編成されたタッグマッチも、決して実験的要素で切られたカードではなく、①で述べたような信頼関係に基づく意図を感じた。

これはもう、コロナ禍を経て、2022年春以降に参戦が本格解禁されたNOAHのレギュラー外国人選手達の活躍と積み重ね無くして、実現し得なかった光景だろう。


特に、EP FINALで実現した外国人選手による8人タッグマッチは、さながらアメリカvsメキシコの国別対抗戦という様相。

新宿FACEでUSAコールやMexicoコールが飛び交うほどの盛り上がりと試合後の大団円に、私は思わず胸を打たれた。

"月曜夜の魔法"というキャッチフレーズが度々用いられる『MONDAY MAGIC』だが、この理想的光景は魔法なんかではなく、NOAHの地力で叶ったと言えるのかもしれない。


また、2nd seasonでは登場しなかった潮崎豪率いる『TEAM NOAH』の面々も、Autumn seasonで『MONDAY MAGIC』初登場。


12.19後楽園ホール大会で3ブランド合同興行を控える中、EP FINALでは『MONDAY MAGIC』からプロレスデビューに繋がった佐々木憂流迦と潮崎豪による強烈なマッチアップで会場を大いに盛り上げた。


通常興行に有りそうで、絶妙に無かった組み合わせの実現。
陣容は変わっても、『MONDAY MAGIC』ならではの特性は不変だった。


③NOAH女子戦線の変化

『MONDAY MAGIC』を軸に定着しつつあるNOAHの女子プロレス戦線にも、Autumn seasonで明確な変化が訪れた。

その最たる例がGHC女子王座の新設だろう。


EP3で行われた計11選手によるランブル戦を制して初代女子王者に輝いたのは、まだタイトルを手にしたことの無い天麗皇希だった。


このランブル戦には、ロッシー小川率いる女子団体・マリーゴールドから4選手が参戦。
(林下詩美、青野未来、ボジラ、天麗皇希)

2024年5月の団体旗揚げ前から『WRESTLE MAGIC』に登場していたマリーゴールド勢が、今回のAutumn seasonで『MONDAY MAGIC』に本格参戦。
この新風も、女子戦線の景色に明確な変化を加えた。


国内女子他団体との絡みが見られないマリーゴールドだが、Autumn seasonではMarvelousや実力派フリーランスと対峙する場面も多々見られるなど、NOAHマットでしか見られないマッチアップも実現している。



EP FINALでは、団体間の垣根を超える新展開も生まれた。
パートナーの愚零闘咲夜に裏切られたMarvelousの彩羽匠をマリーゴールドの天麗皇希が救出すると、天麗はバックステージでタッグ結成を打診したのである。



果たして、この続きはNOAHマットで実現することになるのか…?
それとも、双方の団体で相互参戦に結び付いていくのか…?

こうした新展開が生まれるようになるまで、NOAHマットでの女子プロレスは違和感なく定着しつつある。


正直なところ、NOAHで組まれる女子プロレスマッチに対して、皆が皆、賛同している訳ではないのかもしれない。

でも、2022年冬に女子のカードを組み始めてから、この流れが一過性で終わることなく、【NOAHでしか見れない女子プロレス】の方向性が見えるようになってきたことは大きな一歩だと私は考えている。

会場の盛り上がりや反応を見ていても「ただ女子の試合を組んでみました」という雰囲気にはなっていないし、寧ろ、客席から熱量を感じる内容になっているのだから…。


まとめ

3シーズン目を終えたNOAHの看板ブランド『MONDAY MAGIC』。
前述の通り、チケット代の価格改定もあってか、序盤戦は当日券も出る異例の事態を迎えたものの、現地や配信で視聴した人を満足されるフルコースは流石のものだった。

チケット代が上がっても尚、「『MONDAY MAGIC』に行ってみたい」という興味の高まりを他の方からも多く聞いていたので、こうした反応にブランドの積み重ねを実感した次第だ。


振り返れば、Autumn season開催期間中のNOAHビッグマッチは、11.17ドルフィンズアリーナの齋藤彰俊引退記念大会のみで、2025年元日に行われる日本武道館までNOAHのビッグマッチは無い。
NOAH本興行+『LIMIT BREAK』+『MONDAY MAGIC』の3ブランド合同興行(12.19後楽園ホール)を控える12月も、『LIMIT BREAK』を含めて4大会しか行われない。

話題性が落ちると思われた2024年秋のNOAHだったが、外部ゲストを多数呼ぶ1st seasonのような打ち上げ花火を出さずとも、今のNOAHをベースに勝負していったAutumn seasonは、まさしく収穫の秋と言える充実の内容だったように思う。


Autumn seasonを終えて、次はいよいよ2024.12.19後楽園ホール大会の3ブランド合同興行。
『LIMIT BREAK』提供試合として『潮崎豪vs永田裕志』のシングルマッチも決定する中、『MONDAY MAGIC』提供試合が2試合行われることになった。


EP FINALの締めで「主役を取りに行く」と堂々宣言した、プロデューサー・NOSAWA論外。
また貴方に騙される準備は出来てます!楽しみ!

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