『MONDAY MAGIC』season2を全部生観戦した感想を振り返る
はじめに
プロレスリング・ノアが2023年に立ち上げたブランド・『MONDAY MAGIC』。
2023年10月~12月にかけて全5大会が開催されたseason1は、ブランド名通り月曜開催という条件でも、初回を除く大会が前売り段階で完売する盛況っぷり。
season1最終回では、2024年4月に全4大会からなるseason2が発表されると、チケットも全4大会が前売り段階で完売。
2024.5.4に控える『WRESTLE MAGIC』に向けた強化月間とも言うべき側面も強いseason2だったが、season1とはガラッと雰囲気を変えて、新たなる"月曜魔術"の真髄を提示してきたのである…。
今回の記事では、4大会から構成される『MONDAY MAGIC』season2を全大会生観戦して、個人的に感じたことを書いていきたいと思う。
season2も面白かった!
※文中のEP表記→season2のepisode
(EP1→episode1)
①通常興行との深い相互リンク
今回のseason2・全4大会を観戦して私が一番感じたのは、NOAHの通常興行と内容が地続きだった点だ。
season1の場合、通常興行でリンクしないような選手を外部から多数参戦させて、豪華カードを惜しげもなく投入する豪快さがウリでもあったが、season2では一転してNOAH内で完結する闘いを見せる方向性へとシフトしていた。
清宮海斗&大岩陵平&安齊勇馬組やHAYATA&ライジングHAYATO組など、season1では多数実現した団体の垣根を超えるドリームタッグも、season2ではEP1で実現したイホ・デ・ドクトル・ワグナーJr.&ルイス・マンテ組や小川良成&外道組くらいしか思い浮かばない。
season1ではLJ・クリアリーやTERRY YAKIらが登場したNOAH初参戦の新顔枠も、season2はEP4で登場したスターボーイ・チャーリーのみ。
(NOAH本戦にも出たりする展開、あるかな…?)
ゲスト参戦や新顔の存在に依存せず、NOAHの通常興行にリンクさせていく方向性がseason2では強く押し出された印象だ。
その為、season1と比較してしまうと全体的に派手さに欠ける部分は否めなかったものの、地に足を付けて盛り上がりを獲得したという点では、season1以上に充実していたのではないだろうか?
私自身、その象徴だと感じた出来事がある。
今年3月に勃発した、清宮と拳王のいがみ合いからなる【めんどくさい問答】だ。
2024.4.11後楽園ホール大会を挟みながらも、4月の『MONDAY MAGIC』を通じて、拳王と清宮のやり取りは賛否を起こしながら周囲へと拡がっていった。
めんどくさい流れに巻き込まれる清宮海斗だったが、4月の後楽園ホール大会では拳王、『MONDAY MAGIC』EP4ではジェイク・リーをシングルで次々に撃破。
2024.5.4『WRESTLE MAGIC』でイホ・デ・ドクトル・ワグナーJrの持つGHCヘビー級王座への挑戦権と、弁の立つ相手に放つ「めんどくさい」のカウンターアタックの2つをseason2で手に入れた。
一方、拳王は両国国技館大会で新日本プロレスのヤングライオン迎撃を宣言。
かつて、新日本プロレスでヤングライオンがトップや中堅に挑んでいくチャレンジマッチ『夢☆勝ちます』になぞらえて、『逆・夢☆勝ちます』をブチ上げた。
そして、EP4で清宮とのGHCヘビー級王座挑戦者決定戦に敗れたジェイク・リーは、翌日の新日本プロレス後楽園ホール大会に乱入して内藤哲也を襲撃。
『MONDAY MAGIC』season2は、連続ドラマのようなスピード感も相まって、今のNOAHを牽引する中心人物3選手のアクションと周囲の盛り上がりを増幅させた。
2024年4月はNOAHにとってビッグマッチの無い1ヶ月だったが、その間の話題を提示できていたのは、『MONDAY MAGIC』season2が通常興行の流れと相互にリンクし合っていた事も大きい。
派手さは無いけど立役者!
②GHCで感じた実験色の強さ
前述のようにseason2ではドリームタッグ結成といった派手さこそ少なかったものの、『MONDAY MAGIC』特有のサプライズは健在だった。
そのサプライズと盛り上がりを担保していたのは、GHC王座の存在である。
5大会中2大会でGHCハードコア王座戦が実現したseason1に対し、今回のseason2では、開幕戦を除く3大会でGHC王座戦が組まれた。
ただ、通常興行では縁の無いスポット参戦組の登場や、通常興行でやると賛否分かれそうな挑戦者など、『MONDAY MAGIC』の特色をGHC王座戦に取り込む動きが見られたのである。
EP1で来場⇒挑戦表明からのJr.タッグ王座獲りを狙った『ヤンキー二丁拳銃』(宮本裕向&木高イサミ)のように、今のNOAHと接点がない所から挑戦決定するまでのスピードに違和感を覚えなかったのは、毎週開催だったseason2ならではの利点と言えるだろう。
実際、このカードを見るために、NOAHに足を運んだという方もいるのだから。
GHCタッグ王座を保持しているジャック・モリス&アンソニー・グリーン組による提案から(EP2)、後半2大会でオープンチャレンジのチームと防衛戦を重ねる展開も興味深かった。
EP3ではマミーブラザーズ、EP4ではメタルウォーリアーズ(=横須賀ススム&望月成晃)が挑戦したのだが、事前情報に乏しい中でも未知の挑戦者を相手に防衛したことで、タッグチームとしての強さを改めて見せつける機会となった。
その盛り上がりは、モリスとグリーンの人気の高さに拠るところも大きい。どんな当日発表の相手が来ようとも、2人に注がれる声援の大きさが無ければ成立しなかったのだから。
5.4両国国技館大会でも、オープンチャレンジ形式でのタッグ王座防衛戦が決まった。王者チームへの有力な対抗馬がいない現状で、誰が挑戦するのか個人的に注目したいところだ。
そんな実験色を重ねた『MONDAY MAGIC』season2内のGHC王座戦で、私自身印象に残った一戦は、EP3のメインイベントで行われた『ニンジャ・マックvsアルファ・ウルフ』によるGHCハードコア王座戦だ。
NOAHではドラゴン・ベインとのタッグ屋としての印象が強いウルフが、シングルプレイヤー&ハードコアレスラーとしての本領を十二分に発揮した一戦は、NOAHの通常興行では実現できなかったように思う。盛り上がり方もseason2屈指の好勝負にして名場面だった。
何より、選手の新たなる一面がNOAHで見られたのは、『MONDAY MAGIC』による魔法の力によるものだろうか…?
実験色が強すぎて、『MONDAY MAGIC』にしては珍しく反応の薄い試合(=EP3のマミーブラザーズ戦)もあったけれど、まあ、そういう時もあるさっ…🥺
③所属&既存参戦選手の成長譚
season1よりも実験色が強く現実路線で進んだ今回の『MONDAY MAGIC』は、既存選手の成長も密接に感じられるシリーズとなった。
若手の出場機会が少なかったseason1とは対照的に、NOAHでキャリアの一番浅い大和田侑がseason2で大岩陵平やジェイク・リーとシングルマッチで激突。
本興行では実力差の関係故に実現が遠そうに見えるカードでも、観衆の声援が大和田を後押ししていた事で、大会序盤から会場が盛り上がる要因となった。
season1のエキシビションマッチを経て、2024年1月にプロレスデビューを果たした佐々木憂流迦も、EP1のメインイベントで清宮海斗とのシングルマッチを託されるなど、今や試合内容も含めNOAHに欠かせない存在となった事を証明している。
EP1~EP3で組まれた女子プロレスマッチでは、2024.1.2有明アリーナ大会でのデビュー戦を最後に音沙汰の無かった愚零闘咲夜が再登場。
正直、有明アリーナ大会の試合は印象に残る内容と言い難かった咲夜だが、season2では試合数を重ねるに連れて、タッグを組んだ野崎渚との連携も良くなっていくなど、キャラクター先行ではない部分も見せつけた。
そんな咲夜との3試合で、全て対角線に立った高瀬みゆきの活躍も見逃せない。
真っ向から勝負しに行く高瀬と、のらりくらりと躱す咲夜の対照的なコントラストは、観客も掴みかねていた愚零闘咲夜というキャラクターを色濃く認識させることに貢献した。
EP1で咲夜と対峙した名無しの怪奇派対決でも、難しい雰囲気の中で試合を成立させる高瀬の安定感が光ったし、個人的には『MONDAY MAGIC』season2裏MVPの1人だったと感じている。
所属選手や既存参戦選手の成長や活躍を密接に感じられたのは、season2における収穫の一つと言えるだろう。
まとめ
season1の派手さを纏うオモチャ箱のようなサプライズの数々から一転して、団体の地力と手堅さで勝負してきた『MONDAY MAGIC』season2。
毎週開催のseason2が連続ドラマに近い位置付けだとしたら、2024.5.4両国国技館の『WRESTLE MAGIC』は、season1も含めた『MONDAY MAGIC』全9大会の総決算でもあり、謂わば劇場版という立ち位置になるのだろうか?
EP4の最後で、大会プロデューサーを務めるNOSAWA論外から明かされたのは、「両国国技館大会が全12試合」という概要のみ。
そのうち半数にあたる6試合は既にカードが発表されているものの、拳王やジェイク・リーといった主力級の対戦カードも大会当日まで分からないのだから恐ろしい。
残り6試合の中には、恐らく毎大会VTRが流れた謎の動物の正体だったり、(新日本プロレス福岡ビッグマッチと同日だけど)拳王の『逆・夢☆勝ちます』シリーズだったりは確実に含まれてくるのだろうけれど、2022年4月にジュニアヘビーだけで両国国技館大会を開催した時とはまた違ったチャレンジ精神が感じられて、個人的にはワクワクとソワソワが同居している印象だ。
さあ、現地組も配信組も、2024.5.4は『WRESTLE MAGIC』見ようぜ!!!
『だまされて両国』の時間だあああああああああああ!!!!!
P.S.
ドラえも~ん、5.4は富山にいるファンキー加藤に『どこでもドア』を出してあげてよ~