令和4年のGO ACTION〜第十三回・RHYTHM & VIOLENCE~
はじめに
2022.6.12
歴代最多・5度目の戴冠を果たした潮崎豪のGHCヘビー級王座政権は、防衛回数0回、僅か1ヶ月半で幕を閉じた。
4度目の防衛ロードで武藤敬司に敗れた時と同様、外敵に流出する屈辱的な結果…。
私自身、現地で見ていて結果への納得感はありつつも、心のどこかで悔しさを拭えずにいた記憶がある。
あれから約2ヶ月が経ち、潮崎號のGHCヘビーへの道が再び開かれた。
2年ぶりとなる『N-1 VICTORY』参戦。
『N-1』を制した者はGHCヘビー級王座への挑戦が近づく状況で、潮崎の初戦の相手となったのは藤田和之。
2022年4月に両国国技館で実現予定だった一番は、直前で叶わず…。
約2年5ヶ月振りにして有観客の舞台では初のシングルは、リーグ開幕から早くも天王山の様相を呈していた。
『N-1』開幕戦の舞台は、8.11横浜武道館。
元々このカードは2020年3月に横浜文化体育館で予定されていたものの、新型コロナウイルスによる大会中止&後楽園ホールにスライドされた経緯がある。
あれから約2年5ヶ月の月日が流れ、横浜文化体育館は閉館したものの、文体跡地の斜向かいにある横浜武道館に場所を移して実現した事に、私はどこか、因縁深いものを感じずにはいられなかったのである。
2022.8.11『潮崎豪vs藤田和之』
2020年3月のGHCヘビー級王座戦以来となる、両者の一騎討ち。
王座戦は互いに30分以上にらみ合う、伝説級の内容だったのだが、この時と違うのは、リーグの公式戦で、30分1本勝負だった点。
時間切れドローも有り得るルールの中、試合はグラウンドの探り合いからスタート。
場外での攻防から流れを手繰り寄せた潮崎だったが、リングインの最中に藤田に場外へと弾き飛ばされると、試合は一気に藤田のペースへと突入。
潮崎の足腰を痛めつけながら、試合を支配する藤田。
藤田は、言葉でも潮崎に圧力をかけ続けた。
「また両国休んじゃうぞ!」
「塩対応か、お前。もっと暴れろ!」
足4の字固めの最中も、潮崎を焚きつけながらコントロールしていく藤田。
無観客試合の時も藤田のトラッシュトーク的な煽りは見られたが、約2年半の間、別の試合で藤田が潮崎を「シオ!(※)」と呼ぶなど、距離感は詰まっていたように思う。
※【糸】と同じイントネーション
故に、ただの罵倒ではなく、潮崎に対する叱咤の意も含まれていたように私は感じた。
「まだ、こんなもんじゃないだろう?」という、問いにも似た何かを…。
強大なる野獣を前に抗う潮崎。
リミットブレイクや豪腕ラリアットで反抗するも、カウントは2。
潮崎が藤田を掴み、流れをモノにしようとした刹那、藤田が強烈なバックドロップ!
じっくり動いた中盤までとは雰囲気が一転。
藤田による圧倒的暴力の大洪水が、容赦なく潮崎を攻め立てる。
最後はビーストボムで潮崎を粉砕。
潮崎豪という元王者の存在を以て証明された、藤田和之によるリズム&暴力(R&B)の凄惨さ…。
無観客での『潮崎vs藤田』は、無観客の特性を活かしたシーン(長時間の睨み合い、バルコニーやエレベーター前での攻防etc)がフィーチャーされた印象だったが、有観客では【藤田の圧倒的暴力性と、それに抗う潮崎】の対比を押し出す内容だったと私は感じた。
恐らく、2020年に有観客で実現したとしても、同じような対比が生み出されていたのではないか?
私は試合を見終えて、ふと、そのような事を思ったのである。
まとめ
『N-1 VICTORY 2022』開幕戦は黒星スタートとなった潮崎。
藤田が勝利後に吐いた言葉は、敗戦直後の潮崎に重くのしかかる事となった。
救いなのは、今年の『N-1』が7試合制だった事か。
2021年のような3試合制なら、1敗すら絶望的な状況だったけれど、今年は未だ6試合残っている。
(勿論、猛者の集うリーグ戦で、残り試合の白星を拾える保障も確約も無い状況ではあるけれど。)
まだ、『N-1』は始まったばかりなのだから…。
※関連記事
(2022年の潮崎豪の試合について、私なりに纏めています!)
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?