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「ちゃんとプロレスしようぜ」に対して私が思ったこと
2022.6.12、さいたまスーパーアリーナにて行われた『サイバーファイトフェス2022』を観戦してきました。
サイバーファイトグループの4団体が集う、2度目の合同興行。
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今回のフェスで注目カードとして押されていた一つが、DDTプロレスリングとプロレスリング・ノアの対抗戦。
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計3試合組まれた対抗戦の中でも、戦前から最も火花を散らしていたカードは、『樋口和貞&遠藤哲哉&秋山準vs稲村愛輝&小峠篤司&中嶋勝彦』の6人タッグマッチでした。
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しかし、試合は思いもよらぬ結末に。
試合序盤、遠藤のエルボーを受けた中嶋が、強烈な張り手。
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遠藤は立ち上がることが出来ず、レフェリーストップ負け…。
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【CyberFight/NOAH/DDT】開始直後の中嶋ビンタで遠藤失神、対抗戦はレフェリーストップ決着 秋山苦言「ちゃんとプロレスやろうぜ」https://t.co/lQjAyp7i6h#noah_ghc#ddtpro#cffes2022 pic.twitter.com/1TBjfgWS4y
— プロレス/格闘技DX編集部 (@PKDX) June 12, 2022
試合後、秋山はバックステージでこのようなコメントを残しました。
6.12 サイバーファイトフェス 試合後コメント📢
— DDT ProWrestling (@ddtpro) June 12, 2022
秋山「遠藤がかなり深い脳震盪で試合を止められました。受ける受けないの問題じゃない。テンプル入れられたら、こっちが受ける気でも相手がそうじゃなかったらダメだよ」#cffes2022 #ddtpro #noah_ghc pic.twitter.com/6znhuu5izG
秋山「俺の大切な仲間が…だからと言ってやり返しにいこうとかそういうことじゃない。こうやってプロレスラーは意識失っても試合するんだよ。そして大きなケガにつながって、今みんなそうだろ! 大きなケガが続いてダメだろ! ちゃんとプロレスやろうぜ」#cffes2022 #ddtpro #noah_ghc pic.twitter.com/zv5M0v4SyF
— DDT ProWrestling (@ddtpro) June 12, 2022
「ちゃんとプロレスしようぜ」
この言葉に対して、ヨカタの私が技術論云々にまで言及はできないです。
ただ、それでも、この言葉が私の中でどうしても引っかかったし、この件で色々違和感を覚えたのも事実。
この件で、私なりに感じたことを今回は吐きたいと思います。
半ば愚痴のような文章ではありますが…。
①噓と"権威"で事実が捻じ曲げられる怖さ
結論から言うと、秋山の発言は悪手でしかなかった、と私は思っています。
今回の件で、「中嶋が悪い」論と「(張り手で倒れた)遠藤がダメ」論を見かけるのですけれど、秋山の言葉を媒介として、そうした極論を支持しうるシチュエーションを作ってしまったから。
そして、試合を見ていない人達が、そうした極論に乗っている。
こめかみに当たってもいない張り手を、秋山が「テンプルが〜」と言ったことに対しても、です。
ハッキリ言って、当該選手のファンや団体のファンがキツい思いを感じている中で、雄弁なのは、秋山の発言を材料に「危険だ」と騒ぐ、試合を見てもいない人達だけ。
遠藤や御家族が(謝る必要のない)謝罪をしている一方、嘘を拡散している側は平常運転でツイート。
団体や選手に対する誹謗中傷はどうかおやめください。
— 遠藤哲哉 tetsuya endo (@entetsu_ddt) June 14, 2022
全員プライドを持ってリングに上がってますので。#ddtpro #noah_ghc
酔っ払いの独り言🍺🍶
— 北の大地を目指す 宮城の還暦ライダー (@xelvis_sl230) June 14, 2022
息子が先日の日曜日の試合で脳震盪を起こしレフリーストップになってしまいましたが、この件につきましてはお互いプロのレスラーとして対峙していたと思います。
結果こうなってしまった事には皆様いろいろ想う事があるでしょうが、どちらの選手にもどうぞ中傷はやめて下さい🙇 https://t.co/UufEMkRYN2
この状況が正常だなんて、私にはとても思えないのです。
嘘がまかり通り、見てもいない意見で事実が曲げられ、隠される。
そういう過程の一端を、今回の件で垣間見た気がしますし、私がハッキリ危険だと言える点かもしれないです。
リングの上の事を誤魔化すのはあり得ん。
— Hideki Suzuki (@Hideki55Suzuki) June 12, 2022
ミスリードをしてもすぐにバレる。
— Hideki Suzuki (@Hideki55Suzuki) June 13, 2022
まずテンプルの場所さえ知らない奴が言うてるんだろうなとは思う。
— 超マルチタレント・小橋太っ太 (@F_kobashi_sma) June 14, 2022
ねぇ、知ってる?
今回の件を見ていて、(シチュエーションは全く異なりますが、)2019年に堀田祐美子が行った公開説教を思い出しました。
それなりに権威ある人間が言い切ってしまうことで、見ていない人に印象を植え付け、権威付けされてしまう見方。
そこにライドして作られる、対象者を批判する導線。
大谷晋二郎の件でも感じた事ですが、現況を見てない人ほど声が大きい現状が、私は一番怖いです。
(ついでに言うと、倒れてる遠藤を上から撮影しに来たカメラマンもヤバいな、と思いました。どういう神経してるん…?)
対抗戦の当該試合をUNIVERSEで見返しているのですが、倒れている選手を真上から撮ってくるカメラマン、【見てないのに決めつけてくる人】と同じくらいアレかもしれんよね、と思いました(消さない)
— レンブラント🍻🤼🎸🍴🍹 (@rembrandt_kbs) June 15, 2022
②当該試合の評価は難しいけれど…
期待されていた対抗戦で、今回こういう結果になった…。
私としては、「評価をつけるのは酷」な試合だったと感じています。
それはもう単純に、試合時間が短いなど、圧倒的に判断材料が乏しかったから。
なので、「中嶋が酷い」とか「張り手に耐えられなかった遠藤が酷い」とか、そういう方向に評価がされるのも違うのかな、と。
個人的に、あの試合で唯一評価できると感じた点は、小峠篤司が秋山とマッチアップした後で、中嶋が笑みを見せながら小峠の肩を叩いた事。
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会見で小峠にキツく叱咤した中嶋が、どこかで小峠を認めたように私には感じられたんですよね。
今回の対抗戦を通じて、秋山とのマッチアップでも引かない小峠の姿に、私は胸を打たれました。
今後、注目して見ていきたいです。
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③今こそ見てほしい、『中嶋勝彦のYES or NO』
上述の発言で、「中嶋はちゃんとプロレスしてない」と思われるのが一番癪だし、遠藤が中傷されるのも間違っている。
対抗戦後にモヤモヤしていた時、ふと思い出した事がありました。
それは、2020年にWRESTLE UNIVERSEで配信された、『中嶋勝彦のYES or NO』…。
当時、NOAH本隊に属していた中嶋の練習風景を追ったドキュメンタリー番組です。
You Tubeでもさわりは視聴できるのですが、今でも忘れられないのは、終盤の練習シーン。
若手である岡田欣也との合同練習で、岡田に息をつかせる間もなく課される、受け身の嵐。
練習後、中嶋は岡田に受け身の重要性を伝えます。
「気を抜いたら頭を打って死んじゃうかもしれないし、怪我もするんだから。受け身は命懸けだよ。」
ちゃんとプロレスしている人だからこその言葉ではないでしょうか?
だからこそ、今一度再評価されてほしいし、見てほしいドキュメンタリー番組です。
まとめ〜「ちゃんとプロレスしようぜ」ならば…~
最後に、これは私個人の勝手な意見になりますが…。
「ちゃんとプロレスしようぜ」という流れに沿うなら、極端な話、「遠藤が中嶋にリベンジする」道だって立派なプロレスだと思うんですよね。
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選手の生き様や行動から、点を繋げて線を創り出す事が如何様にも出来る。
これは、私がプロレスに感じている魅力の一つでもあります。
今回の件で、(グループ内だけど)DDTとNOAHの交流の道筋が絶える事もあるかもしれないし、ここから生まれるストーリーだってあるかもしれない。
例えどんな行方になろうとも、「ちゃんとプロレスしようぜ」という言葉で線に繋がる可能性を否定されそうなのは、何だか惜しいと私は感じてしまうのです。
私自身、対抗戦の敗戦をバネに、強さを増した選手は数多く見てきました。
④お客さんは見えたものしか判断材料はないから憶測込みで好きに判断すればいい。今回残ったのはDDT側の屍のみ。…じゃねえぞ。てっちゃんは壊されたがまだ生きていて、高鹿小嶋は足りないもの考えて、ついでに佐々木は酒飲んで前を向いている。これが一番重要な事だ。立ち上がる強さもまた強さ。
— 男色"ダンディ"ディーノ (@dandieno) June 14, 2022
今回の件で、私は遠藤哲哉が描いていくストーリーの行方が気になっています。
KO-D無差別級王座を敢えて返上し、0から這い上がる道を選んだからこそ、その気持ちは私の中で強くなっているから…。
応援してくださる皆様へ#ddtpro pic.twitter.com/ZUA1TZvgxN
— 遠藤哲哉 tetsuya endo (@entetsu_ddt) June 14, 2022
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