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空に向かう灯"沖縄 残波岬灯台"
今年の夏に訪れた沖縄県の読谷村。
沖縄本島の中部に位置し、村の西端には泡盛でも有名な残波岬がある。
岬は約30mの断崖絶壁が続き、荒々しい岩肌に波がぶつかる様子が見える。
残波岬一帯はその恵まれた自然環境を保全するために、海岸国定公園に指定されている。海岸線が人工化していないのでサンゴ礁が生息する希少なエリアでもある。
そこにそびえるのが残波岬灯台だ。当時この地が米軍の実弾演習場として使われていた頃、海運関係者の要望により建設が始まり、昭和49年に完成した。
ホテルがある読谷村をドライブしていると遠くに灯台が見える。灯台が見えると何故かそこに向かいたくなる。
灯台は海を見守りながら、人々の生活や航海の目印にもなっている。その灯台の魅力とは何か。
1.白亜の塔の造形美
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灯台は船舶が安全に航行するために、光を発するなどして目印となるのが役割だ。
どこからでも視認できるように装飾はなく、白亜の円柱がスッと真上に伸びる形状だ。台風にも耐えるために、程よく上部に向かって径が細くなっている。表層は太陽光に照らされて、マットな質感がストイックな印象だ。塔頂部付近の展望デッキと手摺の傾斜も美しいフォルムを構成する重要な要素だ。
2.のぼって見える絶景
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残波岬灯台は内部の階段を利用して上までのぼることができる。このような参観灯台は国内で珍しく16箇所しかないという。ちょっと途中から挫けそうになるくらいの急な階段を登った先には、何も遮るものがない景色が広がる。
海と空の境目の地平線が微かに湾曲しているのを見ると改めて地球が円いことを認識する。
波で削り取られた断崖の岩肌を見ると自然の脅威を感じる。
美しい絶景を見ると同時に、人は自然に抗えないことを痛感する。
3.海と土地を見守る心の拠り所
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灯台は当然ながら岬にあるため、周辺に建物はなく、灯台がある付近の空と陸地は遠方からも確認できる。
現代では航行はほぼGPSで管理され、灯台そのものの存在意義が問われているという。しかしながら、灯台は物理的な目印であるだけでなく、航行をしている人たち、そこに住む人たちにとっての暮らしを見守る精神的な心の拠り所なのではないかと思う。旅行者である私はその場所の暮らしとは関係ないが、そんな灯台の存在に何か自分の身の回りの事象を重ね合わせて共感したりする。
灯台がある場所は、スカッと空と海と陸が存在する。そこに建つ灯台を含む景色はシンプルであり人々の心をいつも清々しくする。