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新鋭クリエーター発掘も楽しい"メゾン・エ・オブジェ・パリ展"

時間とお金があれば毎年行きたいと思っていた"メゾン・エ・オブジェ"。毎年パリで開催される家具の国際展示会。ミラノ・サローネと並びインテリアデザインのトレンドを牽引する存在である。

本家の展示会を主催するSAFIが総指揮をとり、日本橋高島屋で開催された"メゾン・エ・オブジェ・パリ展"。仕事の合間に覗いたが、平日にも関わらず盛況だった。

本展は3部構成で、1部は過去に「デザイン・オブ・ザ・イヤー」に輝いたクリエイターの紹介。2部はWHAT'NEWとして、新作コレクションが並ぶ。こちらは新作でありながら、自然素材や伝統工芸を現代にアップデートしたサステナブルなデザインが多く見られた。

導入部では、高島屋と繋がりの深いシャルロットペリアンの作品が展示されている。百貨店がかつてフランスと日本のインテリアデザイン界の架け橋となっていたことに驚いた。そして簡単に外国に行けない今、こうやって世界のデザイントレンドを会社の近所で知ることができるとは、何ともありがたい。

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豪華なデザイナーが並ぶ中、ちょっと定番に近いが改めて私が共感するデザイナーが以下の3人だ。

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1.遊び心溢れるフィリップ・スタルク

ちょっとヤンチャでスマートでゴージャスなデザインで見る人を楽しませるフィリップ・スタルク。日本では吾妻橋にあるアサヒスーパードライホールや金の泡が靡くよるなシルエットのオブジェを手がけたことで有名だ。家具はもちろん、世界中のホテルデザインも手掛け、ロンドンのいくつかのホテルを以前見学したが、アーティスティックでユーモラス、デザインすることを自ら楽しみ、人々に楽しんでもらいたいという思いで溢れている。

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2.尖ってそうで実用的コンスタンチン・グルチッチ

幾何学的なデザインで有名なchair_one。かっこよくてかつて勤めていた事務所、ジャスパーモリソンの系統も組むシンプルさも感じられる。個人的にはMAY DAYという照明器具が好きで、他にも可動式のコンテナなど、実は日常的なオフィスや住宅シーンで使われる、実用的で普遍的なデザインが多い。

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3.建築も家具もエレガントなパトリシア・ウルキオラ

勝手に建築やインテリアデザイン界の女王と位置づけている。あらゆるインテリアブランドから引っ張りだこの彼女。コレ好きかも、というデザインの多くは彼女のデザインによるものだった。マテリアルの特性をうまく活かして、照明器具などはレースやジュエリーをまとうようなデザインを得意とする。建築も含め決して女性的、というだけでなく品があり、ある種正統派な印象を受ける。

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本展は、3部の新鋭クリエイターを紹介する「ライジング・タレント・アワード」がさらに面白い。複数の日本人も選出されている。

その中でもシュールな動きで、立ち止まらずにはいられないのが、三澤遥氏による「動紙」だ。紙の磁力の働きを活用して、紙が立ち上がったり裏返しになったり、ランダムに時にまとまって動く。

言わずもがなな有名デザイナーから、自分が発見した感ぎ楽しめる新鋭クリエイターまで、世の中のデザインの動きを百貨店で楽しめる。


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