書評|作品集『GROUND』収録作品 X編、1990年代
※この投稿は、過去の投稿を再構成したものです
作品集『GROUND』発表に向けた作品紹介シリーズ、第1弾は、1991年から2002年の初期作品からチョイスした、ファイル「X」です。
X(1991-2002) from k.fujita
解説
30年という長い長い時間を作品集としてまとめる『GROUND』を企画したとき、一番、困りそうなパートが、この「X(ローマ数字で10を示す)」であった。
1991年から1995年3月までは手書きで制作されていたこと、過去の作品を1995年11月頃に焼却したこともあり、手元に残っている作品は少ない。
1995年4月から1996年の活動休止までは、ワープロを使い感熱紙で印刷をしていた。一応、フロッピーディスクはあるが、フォーマットが異なること、読み取れるハードウェアがない。
オリジナル作品集ではないが、1996年当時のベスト作品集が感熱紙で残っていたもののコピーをいただくことができ、今回、アプリで文字起こしをしてアレンジすることで初期の作品も実現することができた。このコピーが現存していなければ、今回のGROUND制作委員会は発足しなかっただろう。
また、本編前の表記では、作品集名と発表年を記憶のある限り遡った。雑多に作品を制作していた時期から一歩進んだ1992年以降は、まさに神話レベルの記憶の発掘ができた。本noteでは、このような原体験的な部分をいつか自伝として整理したいと考えている。
収録作品としてカウントしていないが、活動休止前の大傑作『Love Revolution』(1996年)で組曲として扱った、「Key of Love」と呼ばれる4作品が、約28年振りに全編収録されるのと、また当時の技術では表現できなかった世界観を2024年版としてリニューアルできた。当時、描きたかった世界観が作品の合間に挿入されていることがトピックである。
今回の『GROUND』では、最後のリマスター版になるだろう、それぞれの時代から選ばれた各作品を整えた。書き方も残し方もバラバラで、表現方法も違った。制作にあたり、著作権や固有名詞、過度に不均一な表現は変更しながら、できるだけ当時の質感を楽しんでもらいたいと思い、作品の体系は変えていない。
アルバムの構成美を30作品でも伝えたいと、内容よりも並び順重視な作品とした。
作風も変化し続け、執筆を始めた1991年から1994年、実家から独立し愛媛県新居浜市に移住した1995年、そして勉学のために東京都江戸川区に留学した1996年、活動再開した1999年から2002年までと、時代も異なる。
10代から20代前半という、到底、ひとつの時代としてまとめることはできない期間と経験と試行錯誤が積み重なっているが、自然に構成されたであろう2024年だからできた振り返りをぜひ堪能してもらいたい。