見出し画像

電波少女の日記

幼い頃から、私は絵を描くのが大好きだった。

あまり自分で自分の親をこういう言い方したくないが色んな人が言うからに私の両親はかなりの毒親で過干渉らしく、私は進学する学校も将来の夢もみんなみんな親に決め付けられて身の丈に合わない学校に無理やり入って勉強していた、いや、こう言わせてくれ。させられていたんだ。3年生の時に鬱を発症して中退するまでは息継ぎができない水槽の中にぶち込まれた鉛玉になっていた。
そんな私の唯一の楽しみがお絵描きだった。下手くそだったけど、絵を描いてる間だけは現実を忘れることが出来た。酷めの妄想癖を拗らせている私の頭の中にある世界を具現化する手段がこれだったからだ。
高校生頃いた界隈で私の絵は多くの人に刺さったらしく、簡単なアニメーションを載せていたYouTubeのチャンネル登録者数は最高で2万5000までいった。その後は有償依頼を始めたがシンプルかつレトロでデフォルメの効いた唯一無二な絵柄が受けたらしく依頼殺到、300件ほど仕事絵を引き受けただろうか?Vtuberの体も何体か制作したまである。正直こんなnoteの隅っこでほぼ誰にも見つからないまま救難信号を撒き散らし続けている透明な電波がそんなに有名だった存在などと誰も信じてくれるはずもないのでこの話は虚言だと思ってもらって構わないが...
それこそ当時付き合ってた人に面と向かって「君の絵柄が好きじゃない」って言われて筆を折るまでは気が狂ったように1日に何枚も絵を描いていた。この人とは別れたがあまりにもショックで半年くらいは絵が描けなくなった。はい、あたし言います。1万人の大好きより彼氏1人の嫌いの方が影響力強いです。

その後色んな事情で引退し、違う活動名でひっそりとTwitterで活動するようになった。転生後も絵柄でバレるのでは?とは思いつつ全くの別界隈でひっそりと絵を描いていた私は伸び悩むようになった。1度数万単位の承認の甘い蜜の味をしってしまえば"たかが"数十いいねで満足できる訳もないのである。承認のために絵を描いていた訳じゃないのに、自分も堕ちるとこまで堕ちてしまった。自分の絵柄は唯一無二ではあるが私より絵の上手い人なんていくらでもいる。承認欲求目的で描くようになったらそれは全ての終わりを意味する。
決して絵は下手になってないのに、それどころかむしろ上手くなってるはずなのに。自分の絵が幽霊のように見えるのだ。高校生の時描いた絵の方が、魅力的だった。今の絵に魅力なんてなかった。ちょっと前にふと昔の私の絵を見た親友が「この頃の貴女の絵はまだ生きていた」と呟いた、まるで私の心みたいだ。躁鬱・度重なるトラウマ・まだ精神的にも身体的にも幼い私が背負うにはあまりにも惨すぎる現実で心がすり減って私自身の心が死んでしまったから、私の作品も死んでしまったようだ。絵の魅力がなくなってしまったのを裏付けるかのように有償依頼も2ヶ月に一度一くればいい程度になってしまった。
私が絵を描くより3DモデルやAIに私の絵柄を模倣させる方がよっぽど早い。
そして何より、私の絵を大好きだと褒めてくれた貴方は、まだ下手くそだった頃に私に最初に仕事絵をくれた貴方は、遠い空に消えてしまった。
私に絵を描く理由なんかもうひとつもない。

あぁ、絵を描くのが、辛くなってしまった。


日記の最後に、毎回恒例の私の好きな曲を紹介します。
「ドーナツホール」
失った感情ばっか数えていたら
貴方がくれた体温まで忘れてしまった
https://youtu.be/qnX2CdOBcDI?si=sHFYfr0Y8AdHWwlK

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?