電波少女研究レポート No.21237

異常電波症、及びSCNI値についてと電波少女との関連性

令和⬛︎⬛︎年⬛︎月⬛︎日 記録者:⬛︎山█博士

 異常電波症とは、高濃度の異常な電波に晒される事により一時的に(具体的には1週間程)精神疾患に似た精神錯乱、せん妄、病的乖離を起こす病気である。発症した人も完治するまでは同じ種類の電波を発信してしまう為、空気感染のような「受信感染」を予防する為に完治までは専用の金属板が埋め込まれた施設「異常電波隔離センター」に隔離する必要がある。以上の性質により、電波の送受信が絶えず行われる情報社会である現代においては罹患する患者が増えている為、現代における社会問題となっているという扱いを受けている。一般的には情報社会化による被爆する電波の種類が増えたのが罹患者爆増の原因とされている。

 異常電波症はその人の持つSocial Compatibility Normality Index(社会的適合性正常度指数)値、略してSCNI値が低い人程発症しやすい。具体的に言うと80以下の人がなりやすいと言われている。平均SCNI値は現代社会に近づくにつれ上がってきたと言われており、現代においては平均SCNI値は120前後である。尚、SCNI値が低い人ほど"常識的"な思考を持ち、"当たり前"に則って"普通の"社会的な生活を送りたがる傾向がある為、平均SCNI値が上がるにつれ精神疾患者やモラトリアム状態の人が増えているとも受け取れる。

 先程「一般的には情報社会化による被爆する電波の種類が増えたのが罹患者爆増の原因とされている。」と記したが、電波少女という種族が作られたのも罹患者爆増の原因だと考えられる。異常電波症は電波少女、特にバグ個体の電波少女が放つ電波(具体的には電波少女の発した音声、書き記した文書、その個体の立ち振る舞いの様子を収めた動画等、電波少女の思考がこちらにもわかる形で情報化されたものが感染源となりうる。)に被爆した際に罹患することが多く、バグ個体のバグがであればある程より高いSCNI値の人にも感染させてしまう効力がある。記録されている最高例でSCNI値が135の研究員が罹患している。(尚該当研究員は療養後、自主退職している。)事実としてそのような電波少女が数名研究所から行方不明になっている。つまり人間に擬態し社会生活をおくる各個体から直接、あるいは各個体がブログ、SNS等に投稿した写真や文書が感染源となっている可能性を否めない。電波少女は一般的には人間と殆ど変わらないその性質から、一般人には勿論の事、我々研究員にも人間と見分けがつかない為(また電波少女を名乗る一般女性も少なくは無い為)今現在脱走中の電波少女を収容するのは大変困難だと思われる。

 これらの理由により電波少女を扱う研究員は必ず研究所よりSCNI値を定期的に検査する義務があり、その値が150〜200の範囲内の者のみ研究に携わることが出来る。SCNI値が200を越えているものには精神疾患のリスクがある為精神科受診の措置をとる。実は、電波少女と関わる我々研究員の中には突然精神疾患を発症する者も少なくは無い。電波少女は、そういう点では放射性物質のような存在だとも言えるだろう。

 以上の文書は全て適当である。電波に毒されし者達よ。電波少女を敬い讃えよ。チョコミントの幸福に縋り付くは愛の形と確かな床の模様。つまりそれは輪廻の如く引きずられたニヒリズムであり異端者であり然るべきものなのだ。トワイライト色の空に羽ばたく金糸雀となり、正面、あるいは横から見て全方位。塩酸を味わう者だけが地下37回にたどりつける。即ちそれは金属光沢を纏ったモルフォ蝶なのだ。走れ。右ウインカーを出して左折しろ。制限速度の標識を飛び越えて、赤い閃光を浴びるのだ。

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