レスター派サックス万歳
私は初期のレスター・ヤングを溺愛しているのですが、そうなると必然的にレスター派と呼ばれるレスターの影響下にあるサックス奏者も気になってきました。
レスター派をざっくり紹介しますと、まずレスターと同じ黒人ではポール・クイニシェット。彼はレスターのニックネームがプレズ(大統領の略)に対してヴァイスプレズ(副大統領)と呼ばれたくらいレスターにそっくりな演奏家ですが、個人的にはどちらかというと後期のレスターに近いのが少しだけ残念です。他には?と聞かれると・・・レスターのスタイル自体がアーリージャズのCメロディサックス奏者で白人のフランキー・トラムバウアーに大きな影響を受けて完成された為か、ストレートなレスター派と呼ばれる黒人ミュージシャンは非常に少ないようです。しかしワーデル・グレイは主にビバップ期に活躍した黒人ミュージシャンですが、チャーリー・パーカーからの影響とともに初期レスターの影響をストレートに感じることができる貴重で大好きなミュージシャンです。
他にはヨーロッパのサックス奏者も、50年代にレスターのスタイルで演奏した人が多くいますが、ほとんどのミュージシャンが、その後コルトレーンのスタイルに鞍替えしていきました。しかもヨーロッパのミュージシャンの場合はその実、レスターの影響というよりもスタン・ゲッツからの影響が強く間接的な意味でのレスター派といえるかもしれません。
他にはレスター直系以外でもアルトのチャーリー・パーカーへのレスターの影響はよく知られていますし(レスターのレコードを持って山籠りした)、レニー・トリスターノの高弟リー・コニッツ、ウォーン・マーシュ、テッド・ブラウンもレスターの影響を強く感じさせるミュージシャンです。
今や絶滅危惧種ともいえなくないレスター派ですが、コンテンポラリージャズサックスの巨匠マーク・ターナーはウォーン・マーシュからの影響も語っていますので、レスターの遺伝子は今のジャズにもこっそり受け継がれているともいえるかもしれませんし、ヒップホップやクラブミュージック後の音楽を不思議な魅力でジャズにも接続するアーティスト、サム・ゲンデルもアルバム『フレッシュ・ブレッド』のライナーで、1番好きなサックスプレイヤーとしてレスター・ヤングを挙げていたのも嬉しい驚きでした。
私は「レスターこそ珈琲を飲みながらリラックスして聴くのにぴったりだ」と常々思っていますが、もちろんそれはレスター派の面々にもいえる事だとも思っています。レスター派万歳!!
〈私の知っているレスター派〉
ポール・クイニシェット,ワーデル・グレイ、スタン・ゲッツ、ズート・シムズ、ハービー・スチュワード、アル・コーン、アレン・イーガー、ブリュー・ムーア、ビル・パーキンス、ボブ・クーパー、リッチー・カミューカ、ディック・ヘイファー、ジェリー・コーカー、ボブ・グラフ、スティーヴ・ホワイト、バディ・ワイズ、アーノ・マーシュ、フィル・アーソ、ジャック・モントローズ、マイク・コゾー、フランク・スコロウ、デイヴ・ペル、ジョー・ホリデイ、レイ・ターナー、サム・マーゴリス、ボブ・ハーダウェイ、ヴァーティ・ハロウートゥニアン、サンディ・モス、マーティ・ホルムズ、ジム・レイダー、ジョン・ドーテン、ボビー・ジャスパー、ジャンニ・ヴァッソ、トミー・ウイットル、エリク・ノードストローム、ニッセ・サンドストローム、ルード・ブリンク、レナート・ヤンソン、スパイク・ロビンソン、ノエル・ジュークス、ペッカ・トイヴァネン、フレイジャー・マクファーソン、ジム・トムリンソン・・・・ヨーロッパの一流ミュージシャン、ドン・レンデル、エラルド・ヴォロンテ、ヨキ・フロイント、ロニー・スコット、ハンス・コラーなどの初期、それから尾田悟さん、西条孝之介さん、渡邊恭一さん・・・・きっとまだまだいるんだろうな〜♪
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