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1952年のスタンゲッツ
1952年頃のスタン・ゲッツが大好きです。もう少し細かくいえば1951年後半から53年末頃までのスタン・ゲッツがとにかく好きです。元々は村上春樹さんの著書で知った『Jazz at storyvill』(51年10月)を聴いたのがきっかけだったと思います。
スタン・ゲッツ、アル・ヘイグ、ジミー・レイニー、テディ・コティック、タイニー・カーン、最高のバンドだ。「ジャンピング・ウィズ・シンフォニー・シッド」のゲッツのソロをテープにあわせて全部口笛で吹いてしまうと気分はずっと良くなった。
その後それなりにゲッツの録音を色々と聴いてみましたが、やはり私は1952年前後の録音が好きだと分かりました。
もちろん他のどの時代の録音にも違った魅力があり、人それぞれの好きな時期があるだろうし、もうゲッツならなんでも好きだよというコアなファンもみえると思います。村上春樹さんも2020年11月号の文藝界のインタビューでは50年代前半以外の作品もおすすめしてみえましたしね。
でも私はやっぱり1952年前後が1番好きです。40年代はまだ試行錯誤中といった感じだし、1950年頃はちょっとクールすぎて線が細く感じるし、50年代中頃からはちょっとソフトすぎてフワーっとしすぎてるし、50年代後半以降からは歌い上げすぎるところがちょっと気になってしまうのです。あくまで個人の感想で申し訳ありませんが。
私が一番好きな52年前後はクールなスタイルに少し温かみが加わってきた感じがとても好きです。まろやかで温かい音色ですが同時に決して熱くなりすぎないクールさも残したこの時期の演奏が大好きです。そして初期のレスター・ヤングをもっと流麗にしたような、メロディをまるで鼻唄のように軽々と、アイデアが泉のように淀みなく溢れて吹いているこの時期の演奏が最高なんです。珈琲片手にこの時期のゲッツを聴くという幸せ。う〜んたまりません!
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『スタン・ゲッツ 音楽を生きる』ドナルド・L・マギン 村上春樹 訳、を読むと1952〜53年頃のゲッツがプライベートも幸福な時期だったことが分かりました。それがどう音楽そのものに影響があったのかは分かりませんが、それを知ってちょっと嬉しい気持ちになりました☕️
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