白鷺になりたい
【創作エッセイ】継続加筆中
お互いのお休みが合うと、相方とハイエースで県内のあちこちに出掛けている。
毎週更新している会社のSNSのネタ探しが1番の目的だけど、地元とはいえ、今まで知らなかったイベントや行事、景色、色々な人と出会い、何より、とにかくドライブ好きなので、道の駅めぐりも兼ねて、いい気分転換になっている。もっとも、相方は美味しいランチがお目当てのようだが…。
相方は助手席ではなく、いつも、セカンドシート(助手席側)で、お気に入りの音楽を聴きながら、車窓を流れる季節の移り変わりを楽しんでおり、僕はといえば、車内に流れる音楽を聴きながら、カメラで切り取ったら面白そうな風景を見つけると、クルマを停めては、素材用の写真を撮りながら、目的地に向かうハンドルを握ってる。
「あ、白鷺!そんなところで、あんた何をしてるの?」
景色を見ながら、いつもの相方の口ぐせ。
田圃や小川にポツンと立っている白鷺がお気に入りで、その姿を見つけると、まるで知り合いと出会ったみたいに話しかける。
そんな相方に「白鷺?」と声を掛けて、いつも「いつか、白鷺に生まれ変わるのもいいか」と思っている。
真意のほどは確かではないけれど、「人が、また人として生まれ変わるためには、自分では選ぶことのできない他の生き物に生まれなければならない」と誰かが話していた。
基礎疾患を持つ僕は、たぶん、相方より早く旅立つと思う。
旅立った後、違う生き物に生まれなきゃならないなら、白鷺に生まれ変われれば、おばあさんになった相方に見つけてもらえる。
「おっ白鷺じゃ、そんなところであんた何をしとるんじゃ」
そう、話しかけられるのも悪くない。
それに、そもそも群れるのも苦手なので、ポツンと一羽でいる白鷺は僕らしい。
おばあちゃんになった相方、気付いてくれるだろうか…。
白鷺に生まれ変わった僕は相方のこと、覚えているだろうか…。
『あとは神様次第だな』とひとり言。
日頃、頑張ってるんだから、神様もお願いを聞いてくれると信じている。
旅立った後、白鷺を見かけたら、案外、僕の生まれ変わりかもしれません。
『間もなく目的地です』
ナビの声で気持ちを切り替えて、さぁ、今日も取材だ…。