金融は「心臓」報道は「内臓」
MLBの大谷翔平選手やNBAの八村塁選手やサッカーの三笘薫選手など、海外で活躍する日本人スポーツ選手が本当に増えて、しかも実力も実績もホントに素晴らしいですね。試合を見ながら、ホントにワクワクします。
大リーグの試合も、地上波ではまだ少ないものの、以前と比べれば、気軽にテレビ観戦もできるようになり、野球ファンの私も楽しませてもらっています。
とりわけ、大谷選手は打席毎の結果やプライベート、さらには先日の事件(ここでは触れません)など、様々な情報が各局で大きく時間を取って報道されています。もっとも、大谷選手については「大谷ハラスメント」と言われているくらい、正直、過剰報道ではないかと感じています。
マスコミ的には「旬の人」なので、大谷選手の話題を流せば数字が取れるでしょうし、他局が流す以上、自局は流さないという訳にいかないから、某総理ではないけど、まさに「異次元の報道状況」。
一部では、国民が政治や経済などの話題に目が向かないように偏った放送をしているという陰謀論を唱える人もいるようですが、マスコミの内情までは分からない以上、個人的には国民はそんなに単純ではないと信じています。
ただ、極端な報道が続く中、気になるのは国内でプレーするプロスポーツ選手やそのスポーツでプロを目指す子どもたちのこと。
現在、国内のプロ野球の話題は、数試合をダイジェストでまとめて、後は試合結果のみ、選手たちの活躍など、その内容はほとんど聞こえてきません。
この状況に現役選手やプロを目指す選手たちは何を考えるか。
普通に考えれば、契約金や処遇を見ても、やはり大リーグを目指すと思います。では、スポンサー企業はどうでしょう。国内の露出が少なくなっていくのですから、当然、海外チームのスポンサーになろうと考えますよね。
結果、想像出来るのは、国内スポーツの衰退です。
もちろん、今年のオリックスのように、絶対的エースが移籍したことで苦戦する…。という短期的な話ではなく、プロを目指す若手有望選手の国外流出、スポンサー企業からの資金も減っていくこと。球界全体としての問題です。
この問題に対して、報道はどう考えるのか。
さらに、この「野球界」というキーワードを「芸術」や「物作りの技術」に置き換えると…。
避けられない人口減、経済も厳しい。円安で国力が落ちているのも事実でしょう。その上、有望な人や技術が海外に流失していく。日本が抜け殻みたいになっていく感じで、恐くないですか?
学生時代、金融業界に進みたくて、ゼミで金融論を学びました。
お金は血液です。お金が流通しなければ経済は成り立ちません。お金を必要なところへ流す金融は、人や企業、自治体などにお金という血液を送り込む「心臓」のような存在だと思います。
反面、報道は「内蔵」だと考えています。
偏った食生活では、体は正常に整いません。今の報道は、スポーツにしろ、政治・経済にしろ、数字に追われて、偏食に陥っているんじゃないかと思います。このままの状態が続けば、ジワジワと体を蝕み、気がつけば取り返しのつかない状態になってしまうのではないかというのは、考え過ぎでしょうか。
報道の目的の1つには、国内の様々なものを「育てる」「共有(スポットをあてる)」があると思います。今の状態を見れば、その視点が欠落しているのではないかと、危惧しています。
全てが海外で通用するとは思いませんが、文化や技術などを含めて、日本が抜け殻、空洞化してしまう前に考えるべきことだと感じています。
先延ばしではなく、今。