コンテリエと黒のジュエリーについて。
こんにちは。
relan vintageオーナーの寺島です。
さて、本日はタイトル通り『コンテリエと黒のジュエリー』について。
漆黒のジュエリーと言うのは、品があり、凛とした女性の美しさを醸し出す。
それは、光の存在とは、影があるからこそ。
決して華やかであることだけが、女性の装いでないことを教えてくれます。
先日、コンテリエについて色々と調べていたんです。そしたら面白い発見がありました。
早速ですが、コンテリエとは?
けし粒ほどの小さなビーズのことです。
管状のビーズをカットし磨き上げられたシードビーズのこと。
(左)のビーズは、コンテリエ
(右)丸小ビーズ
ヴィンテージで13〜14世紀頃から作られていましたが、機械の開発により1800年代後半1900年初頭が隆盛でした。
ヴェネツィアのビーズ産業はチェコとの競合に敗れていき、コンテリエ工房はわずか1か所。
インピラレッサ(糸通し針子)も高齢化で1~2名を残すのみ新たな生産は行っておらず、
現在の取り扱いは過去の生産物とチェコ製のものになっているそうです。
一方、黒のジュエリーについて
黒のジュエリーというと真っ先に、ジェットが思い浮かべられます。
この2つに関連性があると深く考えたことがなく、初めは、別々で調べ物をしておりましたら、
なんと!コンテリエの製造と、ジェットのジュエリーの流行時期がほとんど同じだったんです。
では、ジェットのジュエリーとは?
地中深く蓄積した流木が化石化したもので漆黒の宝石のことです。
磨くことで、美しい艶が出る。
比較的柔らかい素材なので、加工がしやすく彫刻のような立体的な作品も多いのが特徴。
そして今回のテーマは、
ジェットがモーニングジュエリーとして流行したってこと。
【モーニングジュエリー】としてのジェット
モーニングって朝のこと?朝食のこと?!ではなくて、mourning 〔死者や遺族への〕哀悼、悲嘆、喪服、喪章
こちらの意味なんです。
ローマ帝国の時代から魔除けなどの意味合いで装身具として使われていたジェット・ジュエリー。
ですが、1800年代後半から1900年前半の一世紀を風靡しました。
1861年、イギリスのヴィクトリア女王がアルバート公の急死し、
女王表舞台から身を引いて約25年もの間喪に服したのでした。(20年と書かれる資料もあります。)
その際に身につけられていたジェットは、ヨーロッパ中の宮廷や上流社会に急速に広まり、
故人を偲ぶ時につけるジュエリーとして社会現象になりました。
ヴィクトリア女王は25年もの長きに渡り喪に入りを服とジェット等の黒いアクセサリーをつけて執務に着くようになります。
その為、王室内の人々も喪服で入るようになることを制定されました。
規則に従順な女性たちは、ジェットのアクセサリーを身につけ更には、デザインをアレンジしていきました。
やがて喪服への規制が和らぐと、メーカーはよりファッショナブルな装飾品を求め、ジェットの人気は1900年前半まで続いていきます。
イギリス王室だけでなく、ヨーロッパの人々の間で流行します。ジェットとは、植物が化石化した漆黒の石。
イギリスのヨークシャー州ホイットビーというの小さな漁村で採掘されていましたが、生産量が追いつかないほどの人気に、
天然ジェットは枯渇していき、早期に天然ジェットは珍しいものになっていきました。
その一方で、ドイツやフランスのビーズメーカーがイミテーションとして作られたのがガラス製のフレンチジェット、ヴェネツィアの黒いシードビーズ、
【コンテリエ】などもよく使われたり、樹脂製のものも作られるようになりました。
さらにはジュエリーだけでなく、当時はボタンやドレスにつける形で用いることも多かったようです。
一時期程の人気は衰えたものの。アンティークブームと中国での原石の発見により、再び人気を呈しているのです。
(現在は中国製のものが多く、以前,作家さんの作品で中国製のジェットを取扱させていただいてたこともあります。)
この時代の後に、アールデコの時代に入り、コスチュームジュエリーが華ひらく時代へと
移り変わり、今度は、ラリックなどのガラスのジュエリーの時代、そしてスワロフスキーへと進みます。
アトリエNatureさんの黒のコンテリエは、
まさに上記の文章のように、
コンテリエとモーニングジュエリーの歴史の背景を再現されたような作品であることをに気付かされ、
作品というのは、作家の思いと
また新たに人の思いや解釈が重なりいろんな捉え方を楽しんでいただければと思います。
こちらは、アトリエNatureさんの『ノアールシリーズ』 フランス語では黒と言う意味です。
漆黒が見せる美しさ。そして、モーニング ジュエリーと言われてしまうと、喪に服すジュエリーとして 明るい気持ちにはなれないようですが、
1人の人を愛し抜く意思のある凛とした人。そんな象徴でもあるような気がします。冒頭でも書きました通り、光の存在とは、影があるからこそ。
そして、コンテリエというその貴重な素材と歴史背景としてなぞらえてこの作品を解説してみたかったのです。
長々とお付き合い下さり、
ありがとうございました😊
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