BIKE SHOP FORZA様にて、LEOMO BIKE FITを受けた話

はじめに

”ハードウェア(機材)に投資するのではなく、ソフトウェア(体の動きなど)に投資しよう”というのが2023年の目標です。
シクロクロス用バイクを購入したBIKE SHOP FORZA様にて、LEOMO開発のモーションセンサー を利用したフィッティング・動作解析(LEOMO BIKE FIT)のお話をいただいたので、よい機会だと思い利用させていただきました。

LEOMO BIKE FITとは?

LEOMOが開発した5つのモーションセンサー(MS:軽量かつ装着しやすいというのがポイント)を用いて、MPI (Motion Performance Indicators:後掲のFoot AR・LEG ARなど)を集計し、サイクリングフォームの質を客観的に評価しようというものです。
従来の動作解析のイメージ(プロ向け)と異なり、一般向けにも(比較的安価に、かつ、簡易な方法で)動作解析を普及させるガジェットとして発売当初から興味はありあした。それでも、素人である私が解析結果(数値)を分析できる自信もなく躊躇っていたところ、よい機会をいただけました。

LEOMO HPより


解析結果はいかに?

プロモーションがしたいのでもないので、商品やサービスについてはLEOMO HPBIKE SHOP FORZA様のHP・NOTEなどを参照いただくとして、さっそく解析結果を見ていきます。

FIT前の数値

BIKE FIT前の分析結果は上表のとおりです。
”DSS”・”Foot AR”など評価項目は多岐にわたりますが、LEOMOにおける特徴的な評価項目を見ていきましょう。(評価項目のイメージはLEOMO HPの説明(動画)を見ていただく方が分かりやすいです。)

Foot Angular Range (Foot AR)

“The Foot Angular Range is calculated by subtracting the angle of the foot at its lowest point from its highest point. ”

LEOMO  HP 

"Foot AR"は、ヒールアップ・ヒールダウンの動きの動作角度であり、いわばどれほどアンクリングが発生しているかという点を評価する項目という感じでしょうか。Foot AR(Q1)は特に力を込める必要がある場所(12時から3時まで)の間の動作を評価するものです。

Foot AR
※左から、200W:L(左)→R(右)、230W:L(左)→(右)、290W:L(左)→(右)、320W:L(左)→R(右)の順
Foot AR(Q1)の評価基準
LEOMO HPより抜粋
Foot ARの評価基準
LEOMO HPより抜粋

実測数値と上表の評価基準を照らし合わせると、以下のような評価となります。まずは数値を評価基準にあてはめただけの単純な評価です。

結果:Foot AR(Q1)➢L:20.0〜25.0°、R:36.4〜39.0°
[評価]
L(左)は「一般的」であるが、R(右)は「あまり良くない(踏み遅れている)」。特に、R(右)は320W(L5)あたりになると「良くない(大きく踏み遅れている)」に近くなる。

結果:Foot AR ➢L:57.4〜64.0°、R:54.9~64.7°
[評価]
L(左)・R(右)ともに、290W(L4)までで「あまりよくない(こねるような動き)」であり、320W(L5)で「良くない(アンクリングの動きが入る)」となる。

Leg Angular Range (Leg AR)

“The Leg Angular Range is calculated by subtracting the angle of the thigh at its lowest point from its highest point.”

LEOMO HP

次に、”Leg AR”は、ペダリング中に上下に動くふとももの角度範囲であり、骨盤を安定させてLeg ARが大きくなると、大きな筋肉(股関節主導の動き)を有効に使ったペダリングに近づくといえるでしょうか。

Leg AR
※左から、200W:L(左)→R(右)、230W:L(左)→(右)、290W:L(左)→(右)、320W:L(左)→R(右)の順
Leg ARの評価基準
LEOMO HPより抜粋

結果:Leg AR ➢L:50.2〜51.2°、R:49.8~50.5°
[評価]
L(左)・R(右)ともに「一般的」の中でも低い数値となっており(一部「良くない(小さな動き)」)、股関節主導の動きとまではいえない。

解析結果から何が分かるのか?

LEOMOを利用する利点

ここで、LEOMOの動作解析を利用する一つ利点を挙げておきます。

DSS

DSS (Dead Spot Scores、ペダリング動作の最適性)を見ると、概ね2.0以内に収まっており、評価基準から「スムーズな動き」とされます。一方で、Foot ARやLeg ARを見ると、上記のとおり改善すべき点が見られるのです。
この点、DSSに近い評価項目はパワーメーター等におけるペダリング効率等としても確認することができますが、足(Foot+Leg)の動作まで解析できるもはあまりないでしょう。
そのため、パワーメーター等におけるペダリング効率を確認して「問題なし」と考えていると、(LEOMOを利用していれば分かる)Foot ARやLeg ARといった評価項目から見える改善点に気づくことが難しくなるように思います。

解析結果の更なる分析(深化)

では、DSS上の評価はよいが、Foot ARやLeg ARから改善点があるというのは、具体的にどのような状況にあるのでしょうか。各項目の良し悪しは、モーションセンサー付のキッドを購入すれば理解できるのですが、(その先の)どのような動作が原因となっているのか(どう改善していくか)というところまで深堀りしていくとなると、フィッターの方の助言が必要になってくると思います。
ここからは、フィッターの方から説明・アドバイスいただいた内容も踏まえて、自分なりに理解したことを振り返っていきます。

①左足のアンクリングについて

左足(foot部分)について、Foot AR(Q1)が「一般」に収まっているにもかからず、Foot AR(全体)が「あまり良くない」となっているのはどういう現状なのか?
Q1が12時から3時までの範囲における評価なので、Q1(12時から3時)までの間に大きなアンクリングは発生しておらず、それ以外の箇所で大きなアンクリングが発生しているということになります。
撮影していただいた動画を見たところ、後ろで無駄な動き(殿筋を主導としない無理な引上げ動作)が発生していました。

②右足のアンクリングについて

右足(foot部分)について、左足と異なり、Foot AR(Q1)・同
(全体)ともに「あまり良くない」という評価となっています。
Q1でも、それ以外の箇所でも、大きなアンクリングが発生していることになります。
再び撮影していただいた動画を見たところ、Q1においては踵が下がり過ぎており、後ろでは無駄な動き(殿筋を主導としない無理な引上げ動作)が発生していました。

③左右のふとももの動きについて

Leg ARを見ると、左右ともに「良くない」にまであてはまらないものの、理想的な動作範囲とも言い難いという現状です。Leg ARを改善して、より大きな筋肉(殿筋など)を主導とした動きへと移行して、無理なくパワーをかけられるようになるのが理想でしょうか。
上記①②の問題とも密接に関連しているように思います。(殿筋主導のペダリングとなれば、不要なアンクリングは発生しない。)

改善点と主観の一致

上記①から③の改善点については、私自身の経験や主観的な意識とも合致しています。(多様な要素が影響するので、正解かどうかは分かりません。)

いくつか例を挙げると、以下のような感じです。
・ドライブトレインのある右足の方を意識していた。
 →右足では、過度な力をかけようとしたことが原因となり、
  Q1でアンクリングが発生している(②)。
 →無駄な意識のない左足のQ1では、比較的に自然なペダリングとなる
  (①)。
 →左右のパワー差も「48:52」となっている。
・低いケイデンス(80以下)で高いトルクをかけようとしていた。
 →Q1で踏むだけでは足りず、無理な引上げ動作(Q1以外でのアンクリン
  グ)が発生している(①②)。
・ツール・ド・おきなわをはじめ、足を攣ることが多かった。TTEも短い。
 →殿筋を主導とした大きな動きができておらず、末端の筋肉に頼ってお
  り、長時間継続することが難しい動きとなっている(③)。

改善策とその結果は?

長くなるので後掲記事でまとめています。

おわりに

結果として、BIKE SHOP FORZA様でLEOMO BIKE FITを受けて良かったと思っています。数値から動作を解析し、改善策を提案していただく案内人のような位置付として、値段を考慮しても(私はキャンペーンで無料で見ていただきましたが)フィッターの方の意見は聞いておいて損はないと思います。(既に5,000字近くなっており記載しきれないのですが、ポジションなど他にも多くアドバイスを受けています。)
一方で、BIKE FITを受けることで、「時速〇km早くなる、FTPが〇倍あがる」などと期待されている方では満足できないかもしれません。誤解を受けないようにいうと、そもそも、数時間のアドバイスをして、少し意識を変えさせたでだけで何かを劇的に改善させることができる「魔法使い」などいないと思っています(改善するのであれば、そもそも明らかな練習不足なのではないでしょうか)。
では、BIKE FITが不要なのかというと、そうではありません。動作を数字で見れることで、再現性が高まりますし、(おそらく証明できませんが)地道な動作改善に取り組むことで一年後のパフォーマンスを改善できる(例えば、殿筋主導のペダリングを意識することで、足の攣りがなくなるなど)可能性があります。
私も機材への投資や単純な(目に見て分かりやすい)フィジカルトレーニングへの取組みなどを経て、ようやく今回のBIKE FITのような取組みの重要性にも気付けた訳です。興味のある方はぜひお試しください!


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