富士ヒル2023ゴールド~パワーデータ・機材で振り返る~
はじめに
第19回Mt.富士ヒルクライム(2023)にて、念願のゴールドリング(64'12)を獲得できました。今後ゴールドリング獲得を目指す方に向けてのデータ提供です。
本稿は、機材やパワーデータなど、「本番」に着目した内容としましたが、後日トレーニング内容などもまとめようと思います。
1、機材・ウェア編
本番に使用した機材・ウェアは以下のとおりです。
【機材】
フレーム :specialized tarmac sl7
ハンドル :roval rapide road bar
バーテープ :スパカズ
レバー(ブレーキ):sram rival(油圧)
FD :sram force axs
RD :sram rival axs
クランク :sram red 48/36(パワーメーター付)
チェーン :sram force
スプロケ :sram force 10/30
サドル :tni litefly
ホイール :roval alpinist cl
タイヤ :pirelli pzero race TT(26c)
チューブ :cyclami TPU
重量 7.3kg(サイコン・ボトル抜き)
レース直前の悩みとしては、決戦用タイヤをどうすべきかという点にありました。私の選択肢としては、①パナレーサー agilest light(25C)or ②ピレリ pzero race TT(26C)の2択でした。
※パンク耐性の観点(特に台風後のコンディション)からveloflexは見送り。
重量(軽量化)を重視するなら①ですが(②と比較して前後計60g程度軽い)、路面の凹凸に弱く(タイヤが跳ねる)、タイムロスが生じる印象があります。
一方、少し重くなりますが、②はTTタイヤとしては路面の凹凸も上手く捌ける印象で(タイヤ跳ねによるロスがない)、試走の結果でも①と比較して1分近く早かったです。当然、他のコンディションに違いがあるので、一概にタイヤ性能による差とはいえませんが(これまでも長くagilestを使用しており、信頼感は変わりません。)、何かを変えないとゴールドに届かないという気持ちから、タイヤを変えたという感じです。
ちなみに、TPUチューブは思ったより耐久性があり、3カ月ほどの使用(3レース含む)において走行中のパンクがありません。
【ウェア】
ワンピース :bioracer icon(半袖)
グローブ :bioracer tt
ソックス :R×L TBK-300
ヘルメット :abus airbreker
シューズ :シマノ RC902
シューズカバー:rule28
シューズカバーやTTグローブがどれほどタイム短縮に役立ったのか不明です。しかし、ここまでこだわったのだという感じ(やることはやった)により、中盤の粘りや最後のひと踏みに繋がるのだと思います。お守り的な役割ですね。
2、富士ヒル本番のパワーデータ編
【総合データ】
タイム:64'12
power :ave263W、max432
PWR :4.35
hr :ave166、max177
【各区間データ】
3、データの振り返り
① 集団(ドラフト)による効果が著しく大きい
計測開始地点~2合目看板までは、PWRが4.5ですが目標タイムに届いていません。その要因としては、(ⅰ)勾配がきつく(特に料金所から1合目下駐車場あたりまで)、集団(ドラフト)による恩恵が少ないこと、(ⅱ)集団の乗継ぎ(様子見)や中切れを埋めるため、効率のよい走り方ができていなかったこと、など挙げられるかと思います。
一方で、2合目看板から3合目看板までは、PWR4.18と落ちつたにもかかわらず、平坦基調となる区間が大いことから、集団(ドラフト)の効果により1分以上の貯金に転じています。奥庭駐車場からゴールの平坦区間でも、PWR3.95に対して5分未満のタイムと集団(ドラフト)の効果が伺えます。
※集団の人数(自分より前だけ)は3合目看板までに30人程度、3合目看板からゴールまでに10名程度(途中5~10分程度は先頭)でした。
ちなみに、完全単独での試走時のタイムがPWR4.3で68'46(料金所からのタイムに1'30を加算)であることから、(PWRの差を考慮しても)4分程度は集団(ドラフト)効果により早くなっています。(試走時と本番で、風量などのコンディションに大きな差はなかったように思います。)
② 平均パワーよりもL5↔L3の動きに注目すべき
「これくらいのPWRで、集団に付けばよいのか」とも考えられますが、各1kmのパワーデータ(max power)を見ると、アベレージよりインターバル体制が必要であることが分かります。
具体的には、各1kmのパワーデータの特徴として、数秒間の350W(L5)と数分間の250W(L3上限)が繰り返されており、全区間(特に前半~中盤)において同じ傾向が見て取れます。集団の位置取り・平坦での加速・中切れを埋めるといった走り方が必要になるからです。
これをトレーニングに落とし込むと、単調なSSTよりはcrisscrossのようなL3・L5の出し入れ(インターバル)の方が本番に近いといえるのかもしれません。(単純にフィジカルを高めるという話であれば別ですが。)
③ 気象条件による差
上記①において、奥庭駐車場からゴールまでの平坦区間について集団(ドラフト)効果と述べましたが、気象条件(特に風向き)による影響は小さくないです。大集団といえどもPWR4未満で5分を切ることは難しく、風向き(事前に調べたところ、1m弱の追い風)による影響が大きかったといえます。
逆に、3合目看板から大沢駐車場までに貯金をほぼ切り崩しているのは、パワーをセーブした以外に、(微風ながらも)逆風であったことが影響していたと思われます。
当然、富士ヒル当日の気象を操ることはできないのですが、風向きは頭に入れておいて、目標タイムを修正するという事前準備は必要です。(昨年度は大沢駐車場以降で凄い逆風だったので、大沢駐車場で「オンタイム=ゴールド赤信号」となりました。)
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