部隊長と兵隊 (東海林太郎・上原敏)。
土曜は軍歌戦時歌謡に関して書いていますが、久々の投稿。東海林太郎と上原敏の歌う「部隊長と兵隊」。佐藤惣之助作詞、飯田景應作曲で、黄金時代を謳歌していたポリドールから出た人気歌手同士の共演と云う豪華盤です。日華事変勃発以降は歌の世界には時局関連楽曲が溢れ返り、各社の男性歌手は其の手の歌を吹き込み始めました。ポリドールの二大車輪である東海林と上原には、それぞれ「○○と兵隊」と「○○だより」と云う人気シリーズがあり、いずれも好評を得ていました。しかも此のうち大ヒットした東海林の「麦と兵隊」の裏が、上原敏の「北満だより」だったりと、恐らく発売側もどっちをA麺にするか悩んだのではないでしょうか。両人の共演作が書かれるのも自然の流れでした🙂。
「部隊長と兵隊」は隊長役を東海林、兵士役を上原が担当しており全五番構成。作曲者はそれまでお馴染みだった阿部武雄に変わって、新進の飯田景應が担当しており、戦時歌謡ながら気軽なタッチの明るいメロディです。ワンコーラス五行から成り、曲の長さは3分42秒とSP盤のキャパシティを限界まで使った歌となりました。歌詞の内容は部下思いの父親の様な隊長と、忠実な部下のやりとりであり、実態から察するに違和感ありありですが、時局や検閲を考えたらそれもアリだったのでしょう。四番の歌詞、上原の歌う「隊長殿よ」の語尾と、続く東海林の「我が部下よ〜」が、やや不自然で重なりそうなのは御愛嬌。ポリドールらしい大衆性に富み覚えやすいシンプルな歌でした。裏面には北廉太郎の「進軍の一夜」が組まれており、レコードは昭和13年秋に発売されています😀。