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盛岡小唄 (中瀬季子)。

明けましておめでとうございます。本年も駄文を何卒宜しくお願い致します。さて私は元日から久々に北東北へと来ておりまして、只今岩手県盛岡市に投宿して此の拙文を打っております。という訳で、御当地の新民謡の「盛岡小唄」を。北畠喜代志作詞、古賀政男作曲で、極初期の知られざる古賀メロディです。彼が作曲家した昭和一桁の頃は、日本各地の名所や都市をテーマにした「新民謡」が多く書かれており、野口雨情や西條八十、中山晋平や佐々紅華らが筆を振るっていました。そして自身の出身地の新民謡を手掛けるのは一つの栄誉であり、古賀も既に出身地である福岡県の為に「博多小夜曲」を出しています。此の「盛岡小唄」は、丁度藤山一郎の「酒は涙か溜息か」が売れ出した頃に吹き込まれました。当時の古賀は約束で月2曲書いて居たので、これは臨時の仕事の可能性も🎼。

此の曲は岩手日報社の手で企画され、作詞の北畠喜代志は岩手県在住の詩人と思われます。他「大盛岡行進曲」「盛岡音頭」も手掛けました。四番構成で盛岡の四季を一番づつ歌うという流れ。一番の🎵“春の盛岡、朝日が挿せば、京にも勝る艶すがた…”と、出だしからして決めています。伴奏は三味線と尺八に加えて、ギターやバンジョーが加わっており、特にギターの少し弾ける様な音色は日本調とはいえ『若さ』を感じさせる響があり、昭和という新時代を迎えた盛岡の賑わいを鼓舞するかのよう。尺八は長年コロムビアで活躍した川本晴朗が吹いており、七孔尺八の功労者でもありました。演奏家だけでなく作曲も行い、戦争中は「少年飛行兵の歌」を書いております。歌う中瀬季子は歌声からして邦楽調ではなく、澄み切った明朗なアルトが印象的。残念ながら詳細は分かりません😔。

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