櫻の日本 (彌生ひばり他)。
近所の桜も雨の中でも咲き誇り、それがまた美しく見えるのも不思議なもの。と云う訳で先日に続いて桜の歌を。これは彌生ひばりと松竹少女歌劇合唱団による「櫻の日本」で、定番演目である「東京踊り」の挿入歌の一つと書かれています。松竹楽劇部としてスタートしたこの劇団は、水の江瀧子や江戸川蘭子などの活躍で宝塚に匹敵する存在となり、昭和7年秋には「松竹少女歌劇部」と改称されます。また生え抜きスター以外にも外部招聘を積極的に行い、例えば人気歌手の小林千代子を編入してステージに立たせるなど、宝塚とは違う展開を見せました。彌生ひばりも其の一人であり、元々は新宿のステージで歌い、同時に録音もこなしていた若き歌姫。早速レビュー主題歌として「子供の唄」「ネスパ・セル・プランタン」を入れたのですが、実に可愛らしい歌声の持ち主でした🌸。
手元に資料が全くないので、此の時の「東京踊り」の詳細は不明ですが、挿入歌「櫻の日本」は舞台上に舞う桜の花びらを浴びて踊りながら歌っていたのでしょうか、春風の様な可憐でしなやかなメロディです。全三番構成で、少女らのコーラスをバックに彌生ひばりが囀るように歌い、そのバックでは、鉄琴、バイオリン、フルート、バイオリン、小太鼓、トランペットが桃色なサウンドを奏でており、聴いてるだけで桜の精霊の舞を観ているかの様です。作詞者は松竹のスタッフと思われ、作曲はクラシックやジャズ、映画主題歌などで輝かしい実績を誇る堀内敬三が手掛けるなど豪華な組み合わせ。彌生は此の後「花の精の唄」を入れますが、これが松竹歌劇主題歌ではラストになりました。カップリングは小林千代子の歌う「春の花束」で、レコードは昭和8年春に発売されています😀。