朝鮮国境守備の唄 (陸軍戸山学校軍楽隊)。
陸軍戸山学校軍楽の伴奏、作曲、歌唱による「朝鮮国境守備の唄」。朝鮮軍作詞とあり、実の作曲者は軍楽隊の一員でテューバ奏者の市川鉄蔵と言われております。隊内での楽曲コンペに関しては全く不勉強で分からないのですが、当時は作詞作曲者は伏せられて、陸海共に“軍楽隊作曲”と記載されていました。此処に出て来る朝鮮軍とは、陸軍歩兵19師団及び第20師団の2個師団から構成されており、その名の通り半島の南北に分かれて守備を担当。前者は朝鮮北部羅南に本部を置き、満州との国境を流れる豆満江から白頭山を守備しており、満州事変の際は時の師団長林銑十郎将軍の独断で、満州領内へ進軍しています。国境は山深くて気候も険しい地域であるのに加えて、対日抵抗組織が潜伏遊弋していた事から、緊張感みなぎる日々の中で守備兵らは任務を全うしておりました🔥。
『朝鮮国境守備の唄』は四番構成で、覚え易いスローテンポのメロディになっています。🎵千古の鎮、白頭の…(中略)…延々遥三百里…と、国境地帯の風景が一番では歌われ、続く二番では🎵長白颪荒ぶ時、氷結四方を閉じ込めて…と酷寒の真冬が、三番では🎵野山も里も水枯れて、日毎百度の炎熱に…と今度は茹だるような真夏の光景が出てきます。四番では気候も穏やかな春秋の風景が歌われて、守備隊の兵士は遠い昔、此の地で戦った強兵らの活躍を偲ぶという流れでした。実際安土桃山時代の朝鮮出兵の折、加藤清正らの軍勢が朝鮮北部まで進軍したと云う記録があるので、兵士らは遥かな昔の先輩達に恥ない働きをしようと云う決意を抱いて守備に励め…と云う思いが歌詞に込められているのかも知れません。A面も同じく軍楽隊による吹奏楽「朝鮮民謡集」が組まれています🎼。