建国の歌 (コロムビア三部合唱団)。
コロムビア三部合唱団による「建国の歌」。杉岡幹也作詞、松本四良(四郎❓)作曲で、松竹少女歌劇部公演「秋のおどり」の挿入歌の一つです。創立以来「松竹楽劇部」と名乗っていた同劇団ですが、水の江瀧子らスターの人気が宝塚に並び始めた事もあって改称に至りました。正確な日にちは定かではないのですが、ターキーの人気を決定づけた「らぶ・ぱれいど」が演じられた昭和7年頃と推察されます。さて松竹歌劇にはしばしば「春のおどり」「秋のおどり」と称された演目が戦後に至るまで上演されています。素っ気なく思える題名ですが、其の中に幾つものお芝居やレビュー、歌やダンスを含めた演目の総称でありまして、同時にそれらの劇中曲は続々とレコード化されていました。面白いのは宝塚と違って、当初は専属スターではなく外部の有名歌手が歌っていたと云う事です。
この「建国の歌」も外部歌手が入れており、コロムビア専属の三人の声楽家が斉唱しています。少女歌劇主題歌にしては荘厳で神秘的な旋律で、室内音楽風の高尚なメロディとなっています。作曲は「桜咲く國」を書いた松本四良で、歌詞は二番構成。歌手はバリトン、アルト、ソプラノの三部歌唱ですが、恐らく一人はA面の「輝く日本」を歌う関種子で間違いないかと思います。うろ覚えですが、日本国の歴史を神話の時代から昭和の御代までを絵巻状に描いた物語でした。満州事変以後の高揚するナショナリズムに則った演目ですが、結びの歌詞に「剣持て、撃ちてし止まん」と云う単語が出て来るのには驚きました。撃ちてし…とは太平洋戦争中の造語とばかり思っていましたから。当演目からは、他に若山千代の「インフレーションの唄」や、瀧澄子の「娘の水兵」が音盤化されました🎼
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?