ブロンド・ヴィナスの唄 (渡邊光子)。
渡邊光子が歌う「ブロンド・ヴィナスの唄」。大沼?作詞、江口夜詩作曲で、これは米パラマウント映画「ブロンド・ヴィナス」の日本側で用意された主題歌です。なので当然ながら映画では使用されていないので、厳密にはイメージソングと言ったところ。本作はドイツが生んだ大女優マレーネ・デイトリッヒの主演、共演はハーバード・マーシャル、ケーリー・グラント、ディッキー・ムーアなどで、マレーネ同様にドイツ出身の監督のジョゼフ・フォン・スタンバーグがメガホンを取りました。本作は貧しくも幸せな暮らしをしていた家族の妻が主人公。しかし夫の闘病に必要なお金に困った妻は已むを得ず酒場の歌手になり、その美貌に金持ちのパトロンが惚れて医療費を用立てます。自身の栄華の裏で夫と子供、パトロンとの間で苦悶するヒロインを描いた、一時間半余りの映画でした🎬。
主題歌「ブロンド・ヴィナスの唄」は、その洒落たタイトルに流される事なく、しっかりと映画のストーリーを反映させた、物悲しさに溢れたメロディです。N・O楽団はバンジョー、ビブラフォン、ギター、バイオリン、クラリネット等から成り、クイック・テンポのアレンジじなっておりました。出だしの“🎵麗しく孔雀の如く装いて…”には、家族の為に泣く泣く化粧して酒場の歌姫にならざるを得ず、決して若くもないヒロインの嘆きがよく現れており、そこを渡邊光子がソフトな歌声で歌います。尚、本映画のイメージソングはコロムビアからも「母の唄」というタイトルで出ているのですが、何たる事か此方も渡邊が歌っておりまして、作曲は奥山貞吉でした。此の時代は洋画主題歌と称して日本独自のテーマソングが多く書かれていて、他に「トロイカ」「舞踏会の手帖」等があります😀。