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灯りを消さずに (川畑文子)。

川畑文子の歌う「灯りを消さずに」。奥山靉作詞、奥山貞吉編曲で、2世ジャズシンガーとして最も人気の高かった川畑が入れた内の一曲です。1916年、ハワイの生まれで本名をアリス・川畑と言います。両親は岡山県からの移住者でして、その後アメリカ本土に渡り、ロサンゼルスに居を構えては、文子もそこで多感な子供時代を過ごす事に。彼女は流行り唄を覚えては堂々と人前で披露したりと活発な性格であり、母親はその才能を伸ばしたいと地元のダンススクールに通わせます。文子も乗り気だった事から腕前はメキメキと上昇。発表会に出ては喝采を浴び、やがてRKO劇場側からスカウトされて全米を周る程のスターとなりました。時が流れ昭和7年の秋、母国日本を訪れた際にコロムビアの歓待を受け、交渉の結果専属歌手となり「いろあかり」を歌って初陣を飾るのです⭐️。

「灯りを消さずに」は、最初の2年余りの専属期間内に入れた歌ではラストになります。原曲はモルト・ディクソン&レイ・ヘンダーソンの二人が書いた“Bye Bye Black bird“で、エディ・キャンターが唄った他、サム・ラーニン楽団をはじめ多くのカバー盤が出ており、戦後も映画の中で歌われたりと息の長いナンバーです。川畑盤はバース(前歌)のパートを間奏に置き、サビのメロディを2番づつ日本語で歌うというシンプルなもの。伴奏はトランペット、ピアノ、サックス、バイオリン等の合奏であり、全体的にホッコリとしたサウンド。編曲の奥山貞吉は同時期に松竹少女歌劇主題歌の録音にも関わってたせいか、どことなく水の江瀧子が歌う様な雰囲気です。当初の予定では同日録音の「思い出の東京」と裏表になる筈でしたが、諸事情で別々のレコードとして発売されました😀。

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