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嬉しい仲 (美ち奴・楠木繁夫)。

美ち奴と楠木繁夫の歌う「嬉しい仲」。文芸部作詞、古賀政男作曲で、日活映画「ジャズ忠臣蔵」主題歌と記されております。当時、古賀はテイチクの専属作曲家兼文芸部長と云う要職にありました。彼の采配もあって関西のマイナーレーベルだったテイチクは、数年間で予想上の大躍進を遂げたのですが、その原動力の一つが映画会社「日活」とのタイアップでした。同社には優秀な俳優やスタッフ等が揃っており、その中にはアクターズバンドを率いていた島耕二や、既に歌を入れていた杉狂児や神田千鶴子達がおり、そこへテイチクの人気歌手達が合流する事で強力な布陣が形成されます。昭和10年にはディック・ミネや川畑文子、小杉勇に杉狂児らの共演、古賀自身も出ている音楽喜劇「うら街の交響楽」が制作されて、大成功を収めます。此の「嬉しい仲」も其の類いなの一曲でした🎼。

日活多摩川作品「ジャズ忠臣蔵」は、サトウハチロー自身が原作を手掛け、伊賀山正徳がメガホンを取った約77分のミュージカル喜劇で、出演は杉狂児、瀧口新太郎、高瀬実乗の他、テイチクからは楠木繁夫やディック・ミネ、そして美ち奴らが助演し、そのまま主題歌も担当しました。「嬉しい仲」は文芸部作詞とあるものの、恐らくはサトウ自身が書いたものではと思われます。全五番構成で、メロディはタンゴのリズムが用いられております。暗い感じながらも、軽さのある覚えやすいシンプルな感じの歌ですが、其の分だけ此れと云った特徴が無かったのか、期待した程のヒットには至らないまま終わりました。裏面は美ち奴と杉狂児の歌う「道行シャンソン」ですが、オサレなタイトルの割に和風なメロディ。レコードは映画の公開に合わせて、昭和12年春に発売されています😀。

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